最高にスタイリッシュな夏の映画9選

この猛暑のなかで何を着ればいいかわからないあなたのために、i-Dが最高にスタイリッシュな夏映画を厳選。

by Annie Lord; translated by Ai Nakayama
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aug 16 2018, 9:51am

Still from Do the Right Thing

『ドゥ・ザ・ライト・シング』(1989)
ブルックリンで高まる人種間の緊張を描いたコメディ・ドラマである本作。その制作日記で、スパイク・リー監督はこう記している。「この作品のルックは鮮やかにしたい。アフロセントリックな、目もくらむほどの鮮やかさ!」。その宣言通り、衣装はド派手で、露出が多いものとなった。本作に出演する女子たちは、キム・カーダシアンが Instagramにベルフィー(お尻のセルフィー)をアップするずっと前に、クロップトップやネオンカラーの近未来的なショートパンツをまとっていた。一方、男性陣が身につけていたのは、ナイキ・ジョーダン、ベースボールシャツ、火花が散っているような柄のシャツ、そしてフザけた丸メガネだ。

『ヴァージン・スーサイズ』(1999)
米国中西部の緑豊かな郊外を舞台にした、ソフィア・コッポラ監督の『ヴァージン・スーサイズ』は、5人姉妹の末っ子の自殺後、厳格なカトリック信者の両親から監視されるようになる姉妹たちの姿を見つめる。本作では姉妹の保守的なスタイルの服装が、彼女たちが嫌悪する狭い世界のメタファーとなっている。ひらひらのティードレス、くすんだ花柄のマキシワンピース、70年代風のストライプTシャツ、ボタンダウンスカート…。姉妹にとっては、その強要された控えめな〈制服〉が不愉快だったかもしれないが、現在では、のびやかさや茶目っ気を感じさせる人気の装いであり、タヴィ・ゲヴィンソンやペトラ・コリンズの作品のインスピレーション源にもなっている。

『スプリング・ブレイカーズ』(2012)
ハーモニー・コリン監督作。主人公は金に飢えた女子大生グループだ。彼女たちは水鉄砲でレストランを襲って強盗し、コカインを吸い、逮捕される。そしてグッチ・メイン演じる敵、ビッグ・アーチとの抗争に巻き込まれていく。ファッションは全体的にイケてないフロリダ・グラム。ヘソピアス、メッシュトップス、エド・ハーディースタイルのキャップやホットパンツ。登場人物たちの服装は、ネオンが爆発したようなけばけばしさだが、衣装デザイナーのハイディ・ビヴェンスは、それぞれの女優たちに300着以上の水着を試着させ、あえて派手な色同士を衝突させた。本作でいちばんアイコニックなルックが登場するのは、ジェームズ・フランコと女子3人のシーン。そのいでたちは、ユニコーンのワッペンがついたホットピンクの目出し帽、タイガープリントのモノキニ、お尻にシルバーで〈DTF〉と書かれたスウェットパンツだ。

『リプリー』(1999)
1950年代を舞台にした本作は、アンソニー・ミンゲラ監督による、緊迫感ある血みどろのスリラーだ。マット・デイモン演じるさえないホテル従業員が、陽光ふりそそぐ南イタリアへ向かい、ジュード・ロウ演じるディッキーと、グウィネス・パルトロウ演じるマージに出会う。本作の豪華なファッションは、白いヨットの上で風に吹かれる姿、絵になる邸宅でマティーニを飲む姿にぴったりだ。ディッキーは小ぎれいな50年代風リゾートウェアを着こなしている。足元はエスパドリーユ、半袖のシャツとスイムパンツ。彼の恋人のマージは、ギンガムチェックの水着に、シャツを羽織って裾をゆるく結び、大きめのかごバッグとべっ甲のサングラスを合わせている。軽く日焼けしたピンク色の鼻も、アクセサリーのひとつだ(日焼けには注意)。

『君の名前で僕を呼んで』(2017)
ルカ・グァダニーノ監督による『君の名前で僕を呼んで』は、既にアイコニックな作品になっている。主人公は、ティモシー・シャラメ演じる17歳のエリオ。家族と過ごす夏休みに、アーミー・ハマー演じるハンサムな博士課程の学生、オリヴァーが招待され、恋が燃え上がる。原作の小説では、衣服が見事にストーリーに溶け込んでいる。エリオは、別荘にやってきたオリヴァーの服装をこう表現する。「波打つ海のような青いシャツ、大きく開いた襟元、サングラス、麦わら帽子、むき出しの肌」。気楽な夏の装いの歓びがあふれんばかりの表現だ。映画も同様である。恋人同士のふたりは、まったく真逆の男性性を体現する。彫像のような身体つきの、成熟したオリヴァーは、かっちりしたシャツとプレッピーなスイミング・トランクス。一方エリオは、ロゴT、赤のタンクトップ、Lacosteのポロシャツを着ており、少年らしさが際立っている。そして美しいアクセサリーとして忘れてはいけないのは、あの桃だ。

『KIDS/キッズ』(1995)
本作が描く90年代の都会に生きるただれた若者たちに、ものすごくハッピーな感じはない。でも、不憫なほど無力なティーンエイジャーが、どうしてハッピーな服を選ぶだろう? 薄茶色のショートヘアに、襟元と袖口に白い縁取りがされた青のTシャツを着たクロエ・セヴィニー演じるジェニーは、思春期の無気力を象徴する存在となった。薄汚く、不満げな様子で、目の下には紫のクマがあり、バギージーンズを履いた女の子。『KIDS/キッズ』といえば、ニューヨークのスケーター・ファッションが、メインストリームのストリームウェアの仲間入りをするきっかけになった作品でもある。今作でラリー・クラーク監督は、当時周縁的文化だったスケーター・シーンに深く切りこんだ。

『ボーイズ'ン・ザ・フッド』
ジョン・シングルトン監督が3人の友情を描くこの作品は、LAのストリートスタイルを象徴する1本となっている。〈ウーバーグラム〉、すなわち超ゴージャスな女性たちは、ヴェルヴェットのターバン、大ぶりなゴールドのフープイヤリング、ビジューをちりばめた十字架のイヤリングを身につけている。一方、男性陣の服装は、派手な柄のシャツ、カラーブロックのシャツ、デニムオンデニム。本作が世に出るまで、地元の町名が書かれたTシャツを着るなんて、どちらかというとあり得なかった。キューバ・グッディング・ジュニア演じるトレが着用したあの〈CRENSHAW〉Tシャツは、実は、衣装デザイナーのダリル・ジョンソンが地元のバザーで売っていたものだった。以来、このデザインは、シルクスクリーンプリントでTシャツをつくるネット業者に利益をもたらし続けている。

『ロミオ&ジュリエット』(1996)
バズ・ラーマン監督の極彩色の世界でいがみ合うふたつの名家のファッションは、それぞれ異なっている。ジュリエットのキャピュレット家は、レザーのベスト、ブラックのシアートップス、ゴテゴテしたベルトのバックルなど、Dolce & Gabbana の過度にセクシーなぴったり仕立てられた装い。デコラティブな装飾、華美な十字架のネックレス、クラッチバッグとして使える銃ケースでキメている。一方モンタギュー家は、キャピュレット家に比べるとずいぶん実利的だ。蛍光色のアロハシャツのボタンを留めずに羽織り、ピンクの髪をジェルで固め、バギーのワークパンツに、コンバットブーツかチャックテイラーを合わせている。小汚いヤンキーか、やりすぎなほどセクシーな Dolce & Gabbana か。ぜひ、お気に召すギャングを選んで。

『もののけ姫』(1997)
もののけ姫のサンは山犬に育てられた15歳の少女で、自然を破壊する人間から森を守るため闘う。顔を血で汚し、茶色の硬い髪をしたサン。彼女のまとう衣服は自然由来で、尖った歯の首飾り、山犬の白くてふわふわした毛皮の羽織りもの(フェイクファーにしよう)など、自然界にある材料からできている。環境保護運動のために戦う姫として装う意味は充分にある。だってそもそもこんなに暑いのは、人間の大量消費が原因なんだから。

This article originally appeared on i-D UK.