スローなファッションを選んだJW Anderson

JW Andersonの2018年秋冬コレクションは、ファッション業界の流れと逆行した原点回帰。

by Steve Salter; photos by Charlotte O'Shea; translated by Aya Takatsu
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26 February 2018, 8:18am

ここ10年で、ファッション業界における期待の星になったジョナサン・アンダーソン。デリー生まれでロンドンを拠点に活動するこのデザイナー兼クリエイティブ・ディレクターは、再編成し、焦点を元あった場所に戻すことに情熱を注いでいる。それは、彼が昨シーズンにほのめかしたことでもある。「私たちはみんな、ヒステリックになってしまう。メディアが私たちをヒステリックにするのです。立ち戻り、物事が過ぎ去るのを待たなければなりません」。2017年9月に、iPhoneでメモを書き、ICレコーダーを振り回すメディアの輪に向かって、2018年春夏ウィメンズコレクションを終えたアンダーソンはそう説明した。そして今シーズン、彼はその話を再開させた。「もっと、もっと、と急かすファッション業界の声は耳をつんざくばかりに高まり、カレンダーはショーや展示会、新商品の発売日で埋め尽くされるようになっている」。

自身の名を冠したブランドとLoeweで、年に10ものコレクションを発表しているアンダーソンは、このシステムに疑問を投げかけるにふさわしい存在といえる。2018年秋冬コレクションで彼が出した答えは、ウィメンズとメンズ合同のショーだった。その直後に自身のブランドで2つのコレクションを発表し、毎年6回ショップに新作を出すという約束つきで、だ。「小さなコレクションを発展させるのは意味がありません。そぎ落とし、再スタートするときなのです。すべてを一緒に発表していた最初のころに戻りたいと思ったんです」。バックステージでアンダーソンはそう話す。「これは私にとって理にかなったことでした。変更したスケジュールを最大限に活用し、ワードローブをまとめることができます。今は、みんな買い物の仕方を変えようとしていますから」。少なければいいという言葉は、アンダーソンには向かないようだ。しかし、混沌のファッション界に秩序をもたらすというのは、合点がいく。

ショーは複数のコレクションを合わせたもので、服自体にもアイデアやテーマ、目的が混じり合っていた。実用的な服からかわいらしいもの、ガールスカウト風や士官学校生風のウエディングドレスまで、多様で若さにあふれたアイテムは、まさに万人に向けられたものだ。それは、これまでのシーズンのような迷いある冒険から離れた、確立した商業的な世界で、ジョナサン・アンダーソンがどれほどのことを成し遂げたかというデモンストレーションとなっていた。

ベルトのバックルから下がるドーナツ型の絵文字チャームと、ブランドのシグネチャーでもあるピアスバッグは、私たちを笑顔にした。一方で、明るいカラーでたっぷり傾斜のついたConverseとのコラボスニーカーは、今季のベストセラーとなるだろう。先日発表された通り、アンダーソンはこのショーと合わせて「Your Picture, Our Future」コンテストを実施している。次世代のクリエイターたちに発表の場を与え、革新的なキャンペーンヴィジュアルをつくることで、新たな才能を開花させることが狙いだ。気鋭のクリエイターを発掘するにしても、過酷に見えるファッション界のスピードを緩めるにしても、ジョナサン・アンダーソンは、ファッションの未来をよりよく、より明るくするためにその力を使っているのだ。

This article originally appeared on i-D UK.