kemio(けみお):SNSで全てをさらけ出したシンデレラボーイ

ケミオ語「どこまでいっても渋谷は日本の東京」「泣いた〜」「あげみ」は、新たな”共通語”として幅広い層に普及している。YouTubeで78万人ものフォロワーを抱えるkemio(けみお)に今までのこと、SNSとの付き合い方について話を訊いた。

by YOSHIKO KURATA; photos by KO-TA SHOUJI
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31 May 2018, 6:10am

YouTubeで「地球上のみなさん、こんにちは〜!K・E・M・I・O、けみおで〜す!」と軽快なテンションでお決まりのオープニングを迎える22歳の少年は、動画アプリVINEで一躍注目を集めてからの5年で数々の夢を叶えてきた。ただのお調子者のドリーマーではなく、彼の生粋のエンターテイナー気質とバイタリティが「スーパースターになる」という夢を着々と実現に近づけているのだ。

デビューから今までを振り返っても、高校生になったら絶対載りたいと決意していた雑誌『HR』で専属モデルをつとめ、VINEで高校時代の日常を配信してブレイクした後も、雑誌・イベント・テレビ出演、憧れのレディーガガとの対面、そしてアメリカ留学も実現させた。いわば現代版シンデレラボーイだ。

彼の武器は、スマホと自撮り棒のみ。マシンガントークから生まれたケミオ語:「泣いた〜」「あげみ」「どこまでいっても渋谷は日本の東京」は、高校生をはじめとした若年層から新宿の二丁目まで新たな”共通語”として普及している。i-Dは留学先のアメリカから一時帰国している彼に、話をきいた。

夢を本物にさせる

——スーパースターを目指し始めたきっかけを教えてください。

とにかく小さい頃から学芸会でも主役を奪い取るくらいに目立ちたがり屋で、気づいたら自分でなにか発信するようになってました。2歳で両親を亡くしてから祖父祖母と暮らしていたんですが、留守番中によく観ていた海外ドラマ・アニメに出てくるアメリカのザ・スーパースターに憧れていたことも影響してます。

——動画アプリ「VINE」を通して様々な人がけみおさんの存在を知るようになりますが、当時は何か発信する目的で始めたんでしょうか?

なにも意識してなかったです。高校でバイトしてようやく携帯を手に入れて、当時海外や原宿ショップ店員さんのあいだでVINEが流行ってることから、なんとなくクラスメイトと面白い動画をあげてたんです。そしたら、周りの方が反応してくれて、それが最初の扉を開けてくれました。

——渋谷・原宿のアイコンとしてものすごい勢いで活動していましたが、アメリカ留学を決めたきっかけは?

幼い頃から海外が憧れで、いつかは海外に住んで英語を学びたいと思ってました。それで20歳のときに自分のやりたいことができていなかったら、そのタイミングで留学しちゃおうと思って。

——高校生の頃よりもファッションや話す内容などすべて大人っぽくなったように感じるのですが、留学してからなにか新しい刺激を受けましたか?

語学の勉強以上に色々な刺激を受けてます。日本にいるときは、友達とアメリカのゴシップドラマのような話ばかりしていたんですけど、留学中、アメリカにいる同世代の友達との会話が、政治や現実的なことが多いと気づかされました。また簡単に「YES」って言うんじゃなくて、「NO」っていうことも大事なんだなって気づいた1年間でした。もともと何でもやってあげたくなっちゃう性格で、友達から頼まれると、ちょっとの時間でもやるしかない!って引き受けてたんです。でも、そうするとぼくも相手も共倒れしてしまうことが多くなって。それからは日常生活でも仕事でも「NO」って言えるようになりました。

地球レベルで考えれば

——「口に出してたら実現するから」とよくおっしゃってますが、夢を叶えるために日々意識していることはありますか?

人の意見を聞きすぎないようにはしてます。悩みごとは相談してアドバイスはもらえても、やっぱり最終的にその場面で闘うのは自分なので。アドバイスに100%染まるのではなく、ここらへん(頭斜め上を指して)「こういう意見もあるよ」くらいで聞くようにしてます。

——YouTubeではどんなバッドニュースでも何か失敗しても最終的にハッピーな気持ちにさせてくれますが、自身が悩んだりすることはないのでしょうか?

基本的に悩まないようにしてます。昔はよく嫌なことや悩みごとをノートに書いてたんですけど、大半は忘れてしまうし、それに時間をかけるのはもったいないかなと思います。アメリカに引っ越すときも将来のことが心配だったんですけど、「いまを心配しないと未来が空っぽになっちゃうな」って。地球レベルで考えれば、全部鼻くそ以下なんで!

——YouTubeでは、祖父祖母に泣きながら電話する自分の姿もさらけ出していますが、なにかに挫折しそうなときはどのように自分のモチベーションを上げているのでしょうか?

音楽やレディー・ガガのインタビューをずっと聴いて気分を変えています。そうやって自分を洗脳、コントロールしている感じですね。自分との闘いです。あと基本的に切り替えはすごい速いです。ポジティブに考えていった方が良いものも寄ってくるんじゃないかなって。特に留学してからは、ひとつの事件が起きたら、それに時間をかけてる暇がないくらいに次のことがすぐ起きるんです。例えば、YouTubeに投稿してたアパートに泥棒が頻繁に出入りしてたこととか、そういう環境もさらにスイッチの切り替えを速くしたように思います。

SNSとの付き合い方

——VINEでは男子高校生の日常を配信して、YouTubeでもそれは変わらず、ありのままのケミオさんの生活を配信してますよね。

自分の生活を共有する感覚でやってますね。リアリティショーのように「みなさん今日はこうでした〜」って毎日、日記をつけている感覚です。どこか面白いところ行くときに、思い出作りみたいな感覚で携帯とセルフィースティック持って出かけてます。

——日常を配信しているだけなのに私たちが夢中になってしまうのは、「泣いたー」「あげみ」など、まるで絵文字のようなキャッチーな「けみお語」によるものだと感じるのですが、普段もよく使ってるのでしょうか?

そうですね、友達が僕と似ているような子が多くて、自然と彼女たちと笑いながら会話してるなかで発してる言葉が多いです。あと、小さい頃からミュージカルが大好きだったので、言葉を歌うようにリズミカルに言うのが癖になってるんだと思います。

——ファンと関わる場所はSNSがメインですよね。ファンからの応援の声援もダイレクトに聞こえてくる一方で、ヘイトの声も見える環境だと思います。賛否両論の声をどのように感じていますか?

高校生の頃は、正直ショックでしたね。「みーんな好きになってくれるよね〜!」って気持ちだったので、最初はヘイトが送られてくるのとか怖かったんですけど、いまはなにも感じないですね。いまはそれ以上に僕の動画を待ってくださってる人のことを考えるようになりました。

——いま話してても、オン/オフに関係なく仕事しているように感じるのですが、ソーシャルネットワークに映る自分はどういう存在ですか?

仕事という意識よりもありのままの自分をシェアしている感覚が強いです。一般的にはエンターテイメントの世界で活躍してる方=「アイドル・タレント」というイメージだと思うんですけど、ぼくのファンの方は「友達になりたい」って思ってくれていて、実際そのようなコメントももらいます。それって本当に幸せなことで、友達になりたいと思ってくれる方がこんなにいっぱいいるのは嬉しいです。

——けみおさんにとってSNSとは?

自分の生活をシンプルに共有するツールだと思ってます。高校生で携帯デビューしたので、SNSがあった時代/なかった時代の両方を見てきました。昔以上に、みんな考える前に簡単に文字を打って送信できちゃうっていう悪い部分も増えてきたと思います。でもぼくの場合、そういうヘイトは全員宇宙人だと思ってます。もちろんコメントは目に見えますけど、彼らを面と向かって相手にはしていないので、そこに気持ちが入ることもないです。だから、どんどんSNSが進化してきても、最終的には「生と生」が大事だなあって思います。冷静に考えたときに、SNSでの意見をどこか架空のもののように思うこともあります。それでファンの方々とイベントで直接会ったときに、初めて「こんなに応援してくれる人がいるんだ」って実感できるんです。

——最終的にどんなスーパースター像を描いているのでしょうか?

うーん、けみおになりたいです! でも何になりたいとか具体的な夢はまだ模索中です。いつかアメリカのトーク番組「エレンの部屋」に日本代表として出たいなと思ってます。なにになるのかは分からないけど、他の人が代わりにできるものではなく、自分の形でしか発信できないものをとことん突き詰めていきたいです。そしたら自分のゴールに近づくんじゃないかなって思ってます。

Credit


Photography Ko-ta Shouji
Text Yoshiko Kurata