「コロナ以前は選択肢に限りがあることなんて思いもしなかった」自主隔離フォトダイアリー:RIKO UCHIDA

LAを拠点に活躍する映像作家、RIKO UCHIDAの目を通して見る自主隔離の日常。

by i-D Japan; photos by Riko Uchida
|
19 May 2020, 3:00am

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって浮かび上がった問題がひとつではないように、日常も多様な顔をもっている。見慣れた日常の風景も、今では少し違ってみえている。それではさて、写真家たちは目下のコロナ・デイズに何を見出し、どこでシャッターを切るのだろうか。

〈自己隔離フォトダイアリー〉第九弾は、現在、LAを拠点に活躍する映像作家、RIKO UCHIDA。外出宣言を少なくとも7月まで延長することが報じられらたLAでは、新型コロナウイルス感染症による死者数と新規感染者数は3月以降から増加傾向にある。そんな不安を感じる日々のなか、彼女にとって世界中の友人たちとのオンラインチャットは楽しい日課のひとつになっている。

── 新型コロナウイルス(COIVID-19)の感染拡大の前と後で変化した自分の考え方や、社会への認識があれば教えてください。

ある日を境にいろんなことが制限され、毎日のルーティンが変わり、人との接触もなくなりました。そんななか、いまでは日々の小さな出来事を観察するのが私の日課になりつつある。いままで一緒に住んでいたルームメイトたちがコロナの影響により帰郷してしまってから、自分にとっての心の支えだった場所がなくなってしまったり、他の友達たちに助けられたり、今日も彼らとの助け合いの日々は続いていて、私の新たな心の居場所となっている。大変な状況ではあるけれど、コロナを境に自分自身がより明確に見えてきたように感じています。コロナ以前は選択肢に限りがあることなんて思いもしなかった。例えば、目の前にある限られたものだけが並ぶブッフェから本当に欲するものだけを選んだり、いつもなら何十通りもメニューがあったタコススタンドで1時間以上も待って、数少ないメニューのなかから選んだものを一味一味噛み締める。これはただの視点の一例に過ぎない、徐々に日々の感じ方や過ごし方が変わってきている。例えば「ファストファッション」。日々、多くの人がどれだけファストファッションを消費しているのだろう。いままでみたいに10ドル札握っていれば、何かしら買うことができたけど、いまはそれさえもできない。服を買わずとも、クローゼットにある服で工夫していつもと違ったスタイリングをしてみる。本当に自分が必要なものとそうじゃないものを見極める。こういったひとつひとつの感覚が、ファッション業界が抱える「環境問題(sustainability)」への解決法に繋がっていけると嬉しいと思います。ヨーロッパの次季ファッションウィークが立て続けにキャンセルになっている最中、今後デザイナーたちがファッションと環境問題をどのようにリンクさせるのか楽しみ。そして、ファストファッションの闇、発展途上国での低賃金無賃金問題や児童労働、劣悪な労働環境などの改善に少しでもつながっていって欲しいなと思います。

── 今後の社会に期待することはありますか?

先にも話したように、ファッション業界です。若手デザイナーから影響力のあるLVMHといった大企業。コロナの後にファッション業界はどのように改善されていくのか。私たち消費者の姿勢が変わることによって私たち自身がコントロールしていく世の中にしていきたい。アメリカでは、年内に予定されていたフェスやライブコンサートなどの大きなイベントものは禁止になりましたが、Tik Tokなど家で楽しめるプラットフォームがメインストリームになっています。新たな生活の中で、クリエイターたちが新しい価値観や見たことのないプラットフォームを創っていく世界、それが楽しみ。例えば、iPhone前と後では私たちの生活は確実に変わりました。音楽の視聴方法、服や物の買い方など…。大袈裟に聞こえるかもしれないけど、いま私たちはそういったレベルの変化の境にいるんだと思います。

── 今回の作品について。

今回のプロジェクトでは、当たり前の”日常”を描きたかったんです。日々の周りで巻き起こる些細な”日常”を。FACETIMEを通してロンドンの友達・ルカとスケッチブックを見せ合いながらコミュニケーションをしてみました。現在、ロンドンに住んでいるルカは、毎日、家に居てご飯ばかり食べていると話していました。「It's a Quarantine15* !」ということで、食べている日々のご飯をスケッチブックに貼ってダイアリーにしてくれました 笑。私の方は、友達の両親がLA郊外のCHINOというところに住んでいて、その友達の家族との#STAYHOME の生活をダイアリーとしてスケッチブックにしました。

(*留学など親元を離れ一人暮らしになって15パウンド太ってしまうことを「Freshman15」と言い、コロナ禍での在宅太りのことを「Quarantine15」と言うそうだ。)

1589780888159-riko_page-2
LAの友達の家族、子供達たちは毎日家で遊んでいる。
1589780932347-riko_page-3
LA中の美容院やサロンが閉まっているので、庭でDIYヘアカット中の子供達。
1589780975069-riko_page-4
LAでの日常を切り取った写真と、LAのCHINOで使ったフィルムカメラの切り貼りメモ。
1589781005869-riko_page-5
ロンドンの友達・ルカとのFACETIMEチャット。
1589781028305-riko_page-6
ルカの日常:缶詰スープと許されている1日1回のお散歩。
1589781050654-riko_page-7
日々、自分が食べた食べ物をスケッチブックに記すルカ。
1589781076526-riko_page-8
ルカの #Quarantine15は今日も順調に進んでいます。

@rikouchida


All images courtesy Riko Uchida

Tagged:
quarantine in photos
riko uchida