「環境問題はコミュニティで取り組んでいくこと」haru.と考えるサステナビリティ

気候変動は私たちの世代にとって最重要のテーマだ。この巨大な問題をどう考えればいいのか。haru.は「すべての問題はつながっている」と言い、ナイキは真のサステナビリティを目指して、循環型デザインのスニーカー「スペース ヒッピー」を作り上げた。

by Mugi Tsukahara; photos by Houmi
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10 June 2020, 2:34am

「あたりまえの生活」を見直すことが求められている現在、「今できることをちゃんとしようと思いはじめた」とharu.は語る。東京藝術大学在学中に仲間たちとインディペンデント・マガジン「HIGH(er)magazine」を創刊し、2019年には株式会社「HUG」を設立。取締役としてコンテンツプロデュースとアーティストマネジメントの事業を手がけている彼女にとっても、2020年春の「自粛生活」はひとつの転機となったようだ。

昨今の世界的な感染症の流行も、急激な気候変動も、グローバル化の負の側面が深刻な被害をもたらした現象と言えるのではないだろうか。人類がこうした危機に直面するなかで、スポーツブランド業界においても、サステナビリティへの配慮は必要不可欠となった。地球環境を守ることはすなわちスポーツの未来を守ることでもあるのだ。

ナイキはかねてよりサステナビリティの向上に取り組んでおり、2019年からはさらに製造過程での炭素排出ゼロ、廃棄物排出ゼロを目指す取り組みMove To Zeroに力を入れてきた。このたび発売される「スペース ヒッピー コレクション」は、その成果の最先端を示すプロダクトである。工場の床に廃棄されるスクラップをナイキにとっての「宇宙ゴミ」に見立て、それらを最新のテクノロジーで再利用して、使用する素材やエネルギー、炭素量排出量を最小限に抑え、遊び心あふれるユニークなデザインを完成させたのだ。

今回i-Dでは、この新作スニーカーをharu.に着用してもらい、サステナビリティについて思うところを聞いた。東京に暮らすミレニアル世代として、クリエイティヴ企業を率いるディレクターとして、自分たちの暮らしと地球環境について、彼女は今どんなことを考えているのだろうか。

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──「スペース ヒッピー」いかがですか?

haru.:まず、包装方法としてめちゃめちゃ簡素な箱に入っていたのが新鮮でした。普通、靴箱って上にパカッと蓋を開けるタイプだけれど、これは閉じてそのまま配送できるようになっていて。梱包からデザインされているなと感じました。

──履いてみてどうでしょう?

haru.:軽くて、歩き心地も良かった。いろんな素材が使われてておもしろいですね。ガーゼみたいな感じだったり、糸だったり。ソールにいろんな色のチップが入ってて、見た目的にも楽しい。高機能なシューズを作っているナイキが、素材感がそのまま残っているようなスニーカーを出しているのがおもしろい。

──このソールには廃棄物をチップ状に砕いて再利用した新素材が使われていたり、アッパーにはプラスティックボトル、Tシャツや糸くずなどの再生素材が使われていたり、染料工程も省いているから原料そのものの色や素材感が残っているみたいです。一点ものみたいな仕上がりになっていますよね。

haru.:「スペース ヒッピー」っていう名前も、なんか不思議なバランスじゃない? 宇宙で農作物を作ってそうなイメージ。この靴を見て思い出したのは、最近Netflixでやってるアニメの『ミッドナイト・ゴスペル』。色合いとか、なんか世界観が。あれもすごいテクノロジーが発達した未来なんだけど、やっぱりフィジカルな感覚を大事にしてたり、そのバランス。自分たちのコミュニティでもZoomで会議しつつ「街つくりたいね」みたいな話してたりするので。

──haru. さんは普段から生活の中でサステナビリティを意識していますか?

haru.:マイボトルを持つとかお弁当を作るとか、無理の無い範囲で、って感じかな。あとは自分で料理する時にお肉をそんな食べないとか。

──それは昔からですか?

haru.:小学生の頃、友人たちがお菓子の袋とかを平気で地面に投げ捨てることにすごく疑問を抱いていました。誰もいなくなった公園に行ってゴミ拾いとかしてましたね。大人になってからは環境問題についてまったく意識的じゃなかったかというとそうでもないけど、今できることをちゃんとしようと思いはじめたのはコロナがあってからかもしれないです。それまではほんとに目の前のことで必死っていうか、夜中まで仕事して、ごはんもコンビニで済ませるみたいな感じの生活だった。

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haru.:最近はずっとおうちにいて、時間もできて、自炊もするようになって、「どれくらい買ったら残しちゃうんだろう」とか、そういうのが生活レベルでわかるようになって。調べたら家の近くにパッケージフリーのお店もあることがわかった。取り組んでいる人はいっぱいいるし、できることはいっぱいあるなって気づきました。

──そうなんですね。なんとなく以前から自然派みたいなイメージがありました。メイクとかファッションとか。

haru.:服は古着か、友人や知人のブランドで買うことがほとんどです。スキンケアは前からオーガニックのものを使っています。子どもの頃ドイツに住んでいて、そういうものが身近だったのもあるかもしれないですね。通っていたのがシュタイナー学校で、自然派のものが推奨されていたんです。学食とかも全部BIOで。

ドイツってリサイクルがさかんで、ビンの仕分けとかもめちゃうるさくて。町中にゴミ箱があるんですけど、ビンの色で分かれてる。ペットボトルもスーパーに持っていって小銭を返してもらうっていうのが普通だった。返ってくるから道端に捨てるっていう発想がない、みたいな。小銭として見てるから。そういうシステムがうまく回っているといいですよね。

──個人の心がけだけでは限界がありますし、国や自治体、企業がテクノロジーをうまく使って持続可能なシステムを作ってくれたらいいですよね。

haru.:そうですね。国や企業にはすごく責任があると思います。私の場合、環境問題に関しては、やっぱりコミュニティの影響が大きい気がしてて。周りにコンシャスな子が多くて、いろいろ教えてもらっています。そういう人たちが周りにいると自然とそういう指向になるし、いろんなトピックに対してアンテナを張ってないといけないな、と。

そのうえで、今回コロナで時間ができたことは、自分の生活を見直すきっかけになりました。みんなと一緒にいて楽しければ、その時間を優先しちゃうから。でも、ひとりになると生活レベルでいろんな疑問がわいてきて、「この食べものどこから来てるんだろう?」とか考えるようになった。いろんなトピックに触れるたびにこれとあれだ!ってリンクして、水道の民営化とか、これが新自由主義かってなったり。「ほんと全部つながってるんだ」ってすっごい実感しました。だから他のトピックと同様に環境問題についてももっと考えなきゃいけないし、コミュニティで取り組んでいくことだって感じています。

「スペース ヒッピー コレクション」は2020年6月11日よりナイキ取扱店およびSNKRSにて発売。

http://nike.com/jp/space-hippie

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