Photography Tomokazu Yamada from MV "Crawl".

踊ってばかりの国、下津光史は今日も希望を歌う:interview

5人組サイケデリックロックバンド、踊ってばかりの国。そのフロントマン、下津光史の歌声は何故こんなにも真っ直ぐ響くのだろう。混沌とした時代に光り輝く生粋のロックアーティストの魅力を探るべく話を聞いた。

by Sota Nagashima; photos by Tomokazu Yamada, and Kisshomaru Shimamura
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09 June 2020, 9:00am

Photography Tomokazu Yamada from MV "Crawl".

踊ってばかりの国結成から12年、活動休止やメンバーチェンジを経ながらも「やっと今スタート地点に立てた気がする」と下津光史も自ら話す通り、時代が今彼の歌を必要としている様に思える。盟友GEZANらと共に、ここ日本で音楽シーンのオルタナティブな可能性を僕らに提示してくれる下津光史という稀代の歌うたいについて。

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Photography Kisshomaru Shimamura from LIVE at LIQUIDROOM(2019.6.24)

—— 今日は下津さんを形成しているものを紐解くための質問と、今考えていることについての話を聞かせてください。まずは一問一答形式で。

根掘り葉掘りやっちゃってください。

—— ありがとうございます(笑)。生年月日と出身地は?

平成元年6月15日、兵庫県の尼崎出身です。

—— 好きな飲み物と食べ物は?

好きな飲み物はブラックコーヒー。食べ物は何やろ、オムライスかな。

—— 吸っているタバコの銘柄は?

アメリカンスピリットのライト。

—— 今朝起きて最初に考えたことは?

昨日、油物食べ過ぎたなー。

—— 好きな季節は?

夏ですね。バンド活動がピークの時期だし、夏のツアーって特別だったりするので。

—— では、夏の思い出と言われて思い浮かぶことは?

高校1年生の時に彼女と行った淀川の花火大会。”好きな女の子の浴衣姿”というのを初めて見て、俺の中の何かが覚醒した瞬間でした。

—— どんな子供でしたか?

マジでじっとしてない子供でしたね。給食が嫌いで、逃走して家に帰ってしまうぐらい(笑)。なんか煩わしかったんですよね、早く遊びたいし。

—— もし、ミュージシャンになってなかったら、何になっていたと思いますか?

サッカー選手か獣医になりたかったです。地域柄なのか野良猫が多くて、道端で出産したりしていて。それを助けている近所のおばちゃんを手伝ったりしてました。

—— 好きなサッカー選手は?

セレッソ大阪にいた森島寛晃。自分も小学校までセレッソのユースにいました。

—— 思い出の映画は?

「フォレスト・ガンプ」。小学生の時に初めて自分で観た映画で、ベトナム戦争やヒッピーの話など、ロックが生まれたカルチャーの土台になったことがいっぱい詰まってます。

—— テーマソングを自分で作りたいと思う映画は?

ラリー・クラークの「KIDS」。ダニエル・ジョンストンの曲が映画で使われていて、あんな脳味噌から直結みたいなシンガーソングライターになりたいし、それを超えていきたいと思うので。

—— 何度も読んでいる本は?

「チャップリン自伝 若き日々」。人生が辛くなった瞬間に読んでます。ドブネズミみたいなところから這い上がっていくチャップリンの半生が描かれているのですが、彼よりはマシだから頑張ろうと(笑)。

—— 好きな言葉は?

一期一会。

—— カラオケの十八番は?

サザンオールスターズの「いとしのエリー」か、反町隆史の「POISON」。

—— 初めて楽器を手にした時の経緯は?

小学校2年生ぐらいの時に、親父がミニギターを買ってくれました。俺の子ならギターぐらい弾けよと。恐い親父で何か一緒に共有できる物がないとコミニケーションが取れなかったので、ギターはそのツールでした。でも、夏休みの宿題をせずに一日中弾いていて、そうしたらそれを結局叩き折られるんですけど(笑)。

—— 譲れないこだわりって何かありますか?

作曲している時に横やりを入れられるのは嫌いですね。

—— 好きな空は?

秋の夕焼けと冬の朝。

—— 今入っている中でお気に入りのタトゥーは?

シンプソンズと太陽。

—— 最近イラっとしてしまった出来事は?

三輪車に乗っている娘に向かって、チャリに乗ったオッさんがベルをすごい勢いで鳴らしてきたこと。

—— 最近思わず笑った出来事は?

ボビー・オロゴンの日本語がめちゃくちゃ上手かったこと。

—— 最近涙してしまった出来事は?

マックシェイクを飲んだ後に刺身を食べたら食当たりになったこと。トイレで泣きました。

—— 自粛期間中に家でよく聴いていた音楽は?

アシッドフォーク。Weyes Bloodというアーティストをよく聴いていました。

—— 最近ハマっていることは?

宅録。

—— 人生で一番興奮した瞬間は?

子供が産まれる瞬間。立ち合いはホンマにやめた方が良い。貧血で倒れて待合室で点滴打ってました(笑)。

—— 家族に伝えたいことは?

人の道を外れず、ずっと元気にいてくれたら何でも大丈夫です。

—— クールだと思うボーカリストは?

高田渡とユーミン。高田さんは人間臭さが声に乗っかりまくっているところ、ユーミンはオーロラのような音が喉から出てくるところが好き。

—— ミュージシャンに一番必要だと思うことは?

突き抜け続けること。

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Photography Kisshomaru Shimamura from LIVE at LIQUIDROOM(2019.6.24)

—— ありがとうございます!以上、一問一答でした。宅録にハマっているとおっしゃっていましたが、最近はやはり曲作りの時間が多いですか?

1日1曲作っています。子供の世話して寝かせて、曲を録って寝る。音楽ばっかりしてますね。この10年ぐらい走りっぱなしだったんですけど、急にインナーにも気持ちを振れるようになって。こんな音あったんや俺、というような(笑)。だから、今はもう次のアルバムを作っちゃってます。

—— 最新アルバムの「私は月には行かないだろう」は3ヶ月ぐらい前にリリースしたばかりですよね。

そうなんですよ、止まると死ぬんじゃないかというぐらい(笑)。

—— マグロみたいな生態(笑)。

ホンマにそうですよね(笑)。最近GEZANと踊ってばかりの国のリリースレースみたいになってるんですよね。

—— 自分の中の新しい音を発見出来たのは、この自粛期間で時間があったこと以外にも要因はあると思いますか?

加齢かもしれないです。昔みたいにパンクスだからサイケだからということだけじゃ通用しなくなってきた。逆に言えば、これは滑るとか、ここは突き抜けて良いということが、ようやく分かってきたんだと思います。

—— 側から見ても、バンドも下津さん個人も今はすごく良い状態の様に感じます。

10年以上掛かって、やっと来たかという(笑)。

—— それは「私は月には行かないだろう」にも収録されている「クロール」という曲の、「やっと名前を貰えるわ」という歌詞にもそういう想いがあったと聞きました。

そうですね。書き上げた時には確証はなかったけど、リリースしてからは支えてくれる周りの人のおかげもあって、そう思えるようになりました。まだまだ満足してないけど、やっとスタート地点に立てた気がしてます。

—— そんな中、突如コロナウィルスが世界中で蔓延する事態へ突入しました。音楽に対して意識の変わった部分はありますか?

昔からポップスとされるような全部を肯定する曲が嫌いなんですよ。そうじゃない音楽は不謹慎とされて毛嫌いされてきたけど、逆に今それが求めらていたりする。それだけ皆テンパってしまっているということなんでしょうけど。そういう時って言葉がストレートに刺さるじゃないですか。だから、その変化自体は自分にとって嬉しいことではありますね。今言葉をオブラートに包んでいるような音楽は淘汰される時期なんじゃないかと思います。

—— 今までも言いたいことをはっきりと音楽にしてきたという意味では、音楽への向き合い方自体は変わってないですか?

逆に今までやってきた事をこれでブレない様にするのが大事かなと思ってます。後、こういう時って日本全体が音楽へ向かなくなる。今回もクラスターを出したからと、音楽が最初に悪者となる。確かに物理的にはそうかもしれないんですけど、刷り込みもあると思うんですよね。日本においてのロックンロールは不良の音楽で、如何わしい物だという。もしかしたら、クラッシック音楽だったら少し違ったのかもしれない。そういうところは僕達が生きている間に変えたいと思いますね。

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Photography Kisshomaru Shimamura from LIVE at LIQUIDROOM (2019.6.24)

—— やはりそういう使命も感じる?

単純に生き辛いですからね。ウッドストックのようなフェスを開きたいとまでは言わないですけど、音楽を聴く日ぐらいは、ちゃんと脳味噌空っぽにして吸い込んで帰る、という浸透させてから死にたいなと思います。

—— 踊ってばかりの国の曲には怒りや悲しみがありつつも、ちゃんと希望も歌ってくれる。それに僕達はいつも背中を押してもらえる。今必要とされるべき音楽だと思います。

たぶん明るいメンヘラなんだと思います(笑)。メンヘラ的な発想でスタートしても、結局大サビで救いを求めようとする。コロナ前はインダストリアルでドープな音楽が結構流行っていましたけど、次はめちゃくちゃ明るい方向へ行くと思います。音楽と社会はいつも鏡みたいに作用し合っているので。そうなったら、自分達の独壇場。今はアルバムをこしらえて、解放できる時を待っています。

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Interview and Text Sota Nagashima

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