ソウルのタトゥーアーティスト/ミュージシャン/イラストレーター ミン・ソンシク interview

ソウルでマルチに活躍するミン・ソンシクが自室を公開。制作中の絵本やTOKYO ART BOOK FAIRに出品予定の作品を見せてくれた。

by Cheryl Santos; photos by Lee KangHyuk; translated by Nozomi Otaki
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15 November 2021, 3:00am

他の大都市に比べると、ソウルは規模は小さいものの、エネルギーに満ち溢れている。今空前の盛り上がりを見せるこの街のアート/クリエイティブシーンを支えるのが、高騰する家賃や仕事の選択肢の少なさという障壁をすり抜けながら好きなことを追求する若いアーティスト、プロデューサー、ミュージシャンたちだ。

タトゥーアーティスト、ミュージシャン、イラストレーターとして活動するミン・ソンシクも、制作のために家賃の安いソウルの小さなアパートで暮らしている。この街でもっと〈認められる〉ために自分の活動をやめることを望まないクリエイターは、みんな彼のような生活を送っているという。

一見すると、この龍山(ヨンサン)区の狭い空間で創作活動をするのはほぼ不可能に思えるが、この部屋こそが、MokyoやCIFIKAといったアーティストとのアルバム制作から、インディペンデント系出版レーベルの絵本のイラスト、TOKYO ART BOOK FAIRでのコラボレーションの準備、友人へのタトゥーまで、このアーティストが携わっているあらゆるプロジェクトの中心地なのだ。

楽器、おみやげ、デッサン、即興の作品に囲まれながら、高校時代のベッドルームでの制作や、友人がくつろげる空間をつくること、ソウル在住のアーティストが直面する試練について、ミンシクが語ってくれた。

──こんにちは、調子はどうですか?
元気ですよ。あなたは?

 ──わたしも元気です! 今何か気にかかっていることはありますか?
ゴキブリかな。よく部屋に出没して……。

 ──それは大変ですね……。今の部屋にはどれくらい住んでるんですか?
8ヶ月くらいです。他に家賃を払えるところがないので、ここに住んでいます。

 ──模様替えの必要性は感じますか?
模様替えは毎月したほうがいいと思ってるけど、僕の場合はそうはいかなくて。本当に必要だと思ったときだけするようにしています。

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──作業中はどんな音楽を聴くのが好きですか?
だいたいは自分の曲か、友達のデモ。

──部屋に誰にも見られたくないものはありますか?
あります。でもここでは言えません。秘密なので。

 

──高校時代はどんな部屋で暮らしていたか覚えていますか?
覚えてます。本棚に囲まれているのが気に入っていました。今の部屋もよく似ています。どちらも友達が来てくつろげる空間。ちょうどあの頃部屋でギターを弾き始めて、今も弾いてます。

──他にも、当時始めて今も続けていることはありますか?
当時漫画のトレースを始めて、それから自分の絵を描くようになりました。身体に自分の絵のタトゥーを入れてみて、友達や家族にもやってあげたり。でも、タトゥーが仕事になるとは思ってもいなかった。

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──部屋で過ごす1日はどんな感じですか? 別の場所で作業したくなることもありますか?
だいたい起きるのは昼過ぎです。それからメール、メッセージ、カレンダーのチェック。できるだけ締め切り前までに終わらせるようにしています。今のところはこんな感じで続けていきたいですね。

 

──今取り組んでいるプロジェクトは?
今すごく楽しみなプロジェクトがいくつかあります。ひとつはTHSS、Mokyo、僕でリリースするアルバム。ナソンプレスからも子ども向けの絵本を出す予定で、アートコレクティブ〈1234578〉の一員として、TOKYO ART BOOK FAIR 2021にも参加します。このブックフェアには、グラフィックデザインスタジオ〈12345〉と僕のプロジェクト〈dpgp78〉のコラボレーションとしてZINE、ポスター、Tシャツなどを出品します。

 

──精力的に活動されていますが、あなたにとってこのようなプロジェクトが大切な理由は?
こういうものを実現するプロセスが、僕にとって重要なんです。ゼロから始めて、アイデアを形にするためにいろいろ努力し、自分が好きなアーティストたちと協力することで、アイデアが実現するんです。

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──これからコラボする予定のアーティストを教えてください。
Mokyo、CIFIKA、デヴィータ(DeVita)、ジハン・キム……。

 

──ロックダウン中は部屋でどのように作品や音楽をつくっていましたか?
どちらにしろ家にいるのが好きなので、ロックダウンは楽しくはないけど制作に集中できましたね。

 

──これまでの経験のなかで、ソウル在住のクリエイターとして最も大変だったことは?
自分や友達の活動を続けること。知り合いのアーティストは皆生活していけるだけのお金を稼げるか心配しています。経済的に大変なので、フルタイムのアーティストになることをためらっているんです。

 

──ソウルを出ることは考えたことはありますか? どこへ行きたいですか?
ソウルを出ようと思ったことはありません。ソウルを自分の拠点にして、いろんな街と行ったり来たりするのが自分には合っています。

──これから楽しみにしていることは?
去年友達の歌声を使って実験を始めたんですが、自分にとっては挑戦であり、まったく新しい世界でした。ボーカルのプロデュースは普段の仕事とはまったく違うので。今のところは楽しんでいます。早く完成したものを聞きたいです。

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