理想と自由を持ってビートする眞栄田郷敦の演技表現

眞栄田郷敦がディオール フォール 2022 メンズ コレクションのスペシャルムービーに出演。『オン・ザ・ロード』の朗読を終えて見つめ直す理想。

by Saki yamada
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22 December 2021, 9:08am

音楽、映画、ファッション──あらゆるユースカルチャーのインスピレーションとなった1950年代の文学運動「ビート・ジェネレーション」。朗読会を通して誕生したこのムーブメントの中でも、ジャック・ケルアックが自身の放浪生活を描いた小説『オン・ザ・ロード』は若者たちのバイブルとして知られている。メンズ アーティスティック ディレクターのキム・ジョーンズもまた、この名作に心を奪われた青年の1人だった。

12月9日にロンドンで開催されたディオール フォール 2022 メンズ コレクションでは、ジョーンズのケルアックに対するリスペクトと湧き上がる自由な創造性を詰め込んだライウェイを披露。そしてグローバルキャンペーンとして、世界各国のクリエイターが小説を朗読するムービーを制作。モデルのライラ・モス、シンガーのバーナ・ボーイ、The XXのオリヴァー・シムらに加え、日本から俳優の眞栄田郷敦が参加している。i-D Japanでは、郷敦のリーディングにフォーカスしたフルムービーをスペシャル公開。

12歳までロサンゼルスに住み、帰国してからは吹奏楽部でサックスに打ち込んでいた郷敦。「どんなことにもこだわりを持って、自分の理想をぶつけたい」と強い意思を見せる彼は、中学生時代から伝統は破って越えていかなければならないという思いがあった。「受け継がれてきたものは大事ですけど、同じことをやり続けても仕方ない。上を目指すというより、自分にしかできないものがぼんやりとあって、昔からそれをやりたいと思っています」。

Gordon Maeda wears all Dior
Gordon wears Dior

『オン・ザ・ロード』でも社会のプレッシャーに抵抗し、新しい価値観を求める若者の姿が描かれている。ケルアック自身の体験を即興的にアウトプットしようと3週間でロールペーパーに書かれた草稿には、ケルアックの初期衝動とジャズに親しんだ彼の独特なリズムが刻み込まれた。この軽快なリズム感も、彼の小説を不朽の名作として押し上げた要因だろう。ケルアックがポエトリーリーディングを通じてジャズミュージシャンとセッションしてきたように、クラシックにルーツを持つ郷敦の表現にも音楽と結び付く瞬間があった。「自分では分からないですけど、ミュージシャンで曲も書く監督に、アンサンブルがいいねって言われたことがあります。努力するクセも音楽をやって身についたと思います」。俳優としての道を突き進む郷敦は、自分の音楽人生をそう振り返った。

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一時はサックスプレイヤーを夢見ていた郷敦を役者の道へと導いたのは、日本での出会いだそうだ。「自分のパーソナリティが生まれたのは日本に帰ってきてからで、この仕事にも繋がってくる。何かが変わったというよりも、何もなかったところから自分というものが出来上がっていった」。当時、ケルアックが盟友ニール・キャサディと出会い車に乗り込んでアメリカ大陸を横断したように、衝動にかられながら自分の旅路を駆け抜け、成長し続ける郷敦。「役者をはじめた頃は周りにこだわりをぶつけることができなかった。遠慮もあったし、どうすればいいか分からなくて、正解を求めていた感じ。最近は、それを伝えられるようになって、すごく楽しい。みんなで作ってる感があって、ものづくり好きなんだなって実感できる」。

郷敦のように自分を貫くマインドの持ち主が他人とのセッションを繰り返すことで、新たな価値観は創造されていく。『オン・ザ・ロード』が火付け役となり新しいカルチャーが生まれたあの時代と同じように、これからもユースカルチャーは逆境に立たされながらも、絶えず新世界への扉をノックしていくだろう。

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GORDON MAEDA WEARS DIOR.


Starring
Gordon Maeda

i-D Japan
Creative Producer  Emi Arai

CREDITS
Director  Naoko Tajima

Director of Photography Shota Fujii
Photographer Takao Iwasawa

Styling  MASAYA
Hair & Make-up  KOUTA
Contributing Editor  Saki Yamada

Offline Editor  Akira Kamitaki
Music  Audio Network

Producer Ryuta Nagano
Production Manager  Tsubasa Hirobe

Production  SANA Inc.