マリメッコに選ばれたフィンランドの気鋭デザイナー サス・カウッピ

カニエ・ウエストのブランド〈YEEZY〉のデザインディレクターも務めた、フィンランド出身の気鋭ファッションデザイナー、サス・カウッピ。マリメッコ創業70年を記念したカプセルコレクションの第二弾に抜擢

by MAKOTO KIKUCHI
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20 April 2021, 3:00am

フィンランド発のデザインハウス〈マリメッコ〉。食卓に並んだ可愛らしいマグカップや、子供部屋のカーテン、キッチンの壁に掛かったミトンやエプロン……ふと目にする度に気分を盛り上げてくれるようなマリメッコの製品は長年多くの人に愛されて来た。〈ウニッコ〉や〈アッペルシーニ〉などのブランドを象徴するアイコニックなプリントは、日本人にとっても親しみ深い。そんなマリメッコが、今年で70周年を迎える。それを記念し始動したのが、世界中の若手デザイナーとのタッグを組んだ〈マリメッコ コークリエイテッド〉のプロジェクトだ。その第二弾としてコラボデザイナーに選ばれたのは、同じくフィンランド出身のファッションデザイナーサス・カウッピ。ファッションの名門校、セントラル・セント・マーチンズで学び、過去にはカニエ・ウエストが手掛けるファッションブランド〈YEEZY〉のデザインディレクターを務め、2016年には自身のブランド〈SSSU〉を設立するなど、活躍を続けている。

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カウッピがファッションに興味を持つようになったのは、高校卒業後に生まれ故郷であるヤルヴェンパーの街を離れヘルシンキに移り住んだころ。街中にいるスタイリッシュな若者の集団を観察しているうちに自然とストリートファッションに興味を持ち始めたのだと、2016年にフィンランドのオンラインマガジン『APU』のインタビューで話している彼。「ネットで見るファッションの画像よりも、街やストリートにいる“リアル”な人々からのほうがより大きなインスピレーションを得られるんだ」。『Helsinki Times』が2014年にカウッピを特集した記事では、彼が手掛けるSSSUのマーケットが香港や台湾、マレーシアなど日本を含むアジア諸国に集中していることが言及されていた。[1] アジアにいる若者達のファッションを彼はどう見ているのだろう? 「アジアにいるユース達は“クリエイティブに真面目”に着飾ることを日常的にしていると思う。とは言え、どんな場所でも若い人達はエネルギーに溢れているよね。僕みたいな年寄りには足りないところ(笑)」

 
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今回のマリメッコとのコラボレーションではカラフルで夏らしいアイテムが並んだ。自由に旅行をしたり、レイブやビーチパーティに繰り出したりすることが困難な時期だからこそ、せめてファッションは遊び心と解放感に溢れたものを身に纏っていたい。カウッピのデザインはそんな私達のささやかな、しかし切実な願望を見事に叶えてくれる。「僕だったら、このコレクションの服を着て郊外のサマーハウスに行きたいな。ハイキングをするのもいいかもしれない」と彼は言う。なかでもデザイナーイチオシのアイテムは、大胆なプリントにステッチが効いたデニムジャケットだ。「自分の子達にお気に入りを決めちゃいけないって分かってるんだけどね」と茶目っ気たっぷりに付け加えながら、こう続けた。「SSSUとマリメッコの美学が完璧なバランスで組み合わさったアイテムなんだ」

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ファッション以外にも音楽やグラフィックデザインにも精通しているカウッピ。楽曲作りは今も自身のパッションのひとつで、自作した未公開の音源がたくさん眠っているのだと言う。そんな彼に、今回のカプセルコレクションを象徴するプレイリストの作成を依頼してみた。「デンジャー・マウス&スパークル・ホースの“Insane Lullaby (feat. James Mercer)”、アイ・ブレイム・ココの“Playwright Fate”、ヴァセリンズの“Son Of A Gun”、ケミカルブラザーズ“Swoon (Boys Noize Summer Remix)”、イェーセイヤーの”Madder Red”。僕はいろんなジャンルの音楽が好きなんだけど、こんな感じの定番曲がコレクションで表現した夏の気分にしっくりくるんじゃないかな」

 「ヘルシンキにいると気楽なんだ」とカウッピは言った。ロンドンやLAなどの大都市で生活をした後、2016年のブランド設立と同時期に祖国フィンランドに活動の拠点を戻している彼。「ロンドンやLAも大好きだけど、それぞれ街には強みも弱みもある。それらの都市を“旅”しているあいだにたくさんのことを学んだんだ。些細なことや日常的なデザインをもっと大切にしたいと思うようになった」。そう話すと、最後に彼はこう付け加えた。「でももうひとつだけ、いつか住んでみたい場所がある。日本だよ」