a naked man and woman lying in the sand

デヴィッド・ルラスキが南仏へと誘う、平和なモノクロのヌード写真

フォトグラファー、デヴィッド・ルラスキの最新作『Ensemble』は、カマルグの水辺で絡み合うふたつの肉体をとらえている。

by Zoe Whitfield; translated by Nozomi Otaki
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13 August 2021, 12:40am

a naked man and woman lying in the sand

大きなハットと小さなバッグを特徴とするサイモン・ポート・ジャックムスと数年前からタッグを組んでいるフォトグラファー、デヴィッド・ルラスキ。友人を介して知り合ったふたりは、振付師のウィリ・ドーナーが振り付けした2016年秋冬コレクションの忙しなく街なかを移動するカラフルな〈人間彫刻〉や、2017年秋冬のシンプルなモノクロヌード写真など、数々のJacquemusのキャンペーンを手がけてきた。

この度、ふたりが手がけた3つ目のキャンペーンである後者のプロジェクトが、写真集『Ensemble』として、出版社〈Loose Joints〉の同名のショップの開店とともに出版される。

「僕たちの関係に、お役所仕事的なものは一切ありません」とデヴィッドは南仏から電話で語った。「最大の功績は、この子どもたちを生み出したこと。(サイモンから)最初に2016年秋冬コレクション〈La Reconstruction〉の撮影のオファーがあったときは、すべて一緒につくりました。彼はそこにいるだけでインスピレーションを与えてくれるんです。彼が思い描く写真についても、多くのことを教わりました」

互いのワクワクする気持ちや子ども時代の無邪気さを映し出しながら、(「常に遊び心が中心にあった」とデヴィッド)、このパートナーシップは、近年のシーズンのなかでも特に喜びに満ちたキャンペーン写真を生み出した。

a naked woman wraps her legs around a naked man stood in a lake
© David Luraschi 2021 courtesy Loose Joints

デヴィッド曰く、このシリーズに含まれるのは自然だけでなく、私たちが生きるこの時代に肉薄しているという『Ensemble』。本作は、ふたりにとって初めての本ではない。彼らは2017年、フランスの港町マルセイユに捧げる太陽の光に満ちたラブレター『Marseille Je T'aime』を発表した。

 マルセイユから車で1時間ほどの場所にあるサロンドプロヴァンスで生まれたサイモンは、この町を知り尽くしており、数々のコレクションを捧げ、作品を通して町のスピリットを讃えてきた。いっぽう、普段はパリを拠点とするデヴィッドにとって、この本は町を知るきっかけとなった。

 「ずっと地中海に憧れていました。僕のルーツはイタリアと米国ですが、この場所の存在を知ってから、人生の半分近くをマルセイユで過ごしています」とデヴィッドはいう。「地中海には何かがある。この水域と、それを取り囲む国々は情熱に満ちていて、僕に訴えかけてくるんです」

 『Marseille Je T'aime』とは打って変わり、『Ensemble』の写真はより官能的な物語を提示する。白黒でとらえられた自然の要素──砂、海、塩原──は、ひと気のないビーチで抱き合う、くっきりと日焼けの跡のついた男性と女性の間のリラックスした雰囲気を強調する。

 「サイモンはいつも自分がやりたいことに明確なヴィジョンを持っているので、僕の役割はそのヴィジョンを実現すること。当時の彼の希望は、カマルグでヌードを撮ることでした」とデヴィッドは振り返る。「カマルグにはその前にも行ったことがありました。ピンクのフラミンゴがいて、塩原が広がる幻想的な場所で、詩情にあふれています」

 この映画のような風景を活用するべく、ふたりはアルベール・ラモリス監督『白い馬』にヴィジュアルのヒントを求めた。少年が水辺でタイトルの通り〈白いたてがみ〉という雄の白馬と心を通わせていく、1950年代の受賞作だ。「僕たちのコラボレーションにおいて、ストーリーテリングは非常に重要です。ストーリーテリングは単なる美しいイメージよりも強力で、メッセージ性もありますから」

a man sat with his legs wide open on a chair in a lake from the back
© David Luraschi 2021 courtesy Loose Joints

この本に登場するふたりのモデル、クレア・トランポール・ジラードはカップルだと思うひともいるかもしれないが、実際は違う。ふたりは幼なじみで、ともにプロのダンサーだ。その職業や恋人同士だったという過去のおかげで、この役にぴったりな唯一無二の親密さと振り付けのノウハウがもたらされた。

「面白いことに、実はクレアのお父さんと僕の母はとても仲の良い友だちで、僕たちはそれを後になってから知ったんです」とデヴィッドはセットでの別の〈親密さ〉についても語った。

「きっかけは忘れてしまったんですが、サイモンが抱き合うふたりを撮りたいといったので、いろいろとブレインストーミングをして、こう思ったんです。身体を使って自在にポーズをとれるダンサーをキャスティングしたらどうか、と」

クレアとポールはオーディション会場の最初の入場者で、その相性で瞬く間にチームに感銘を与えた。「調和のとれた関係とさまざまなアイデアで、僕たちはまるで雷のような衝撃を受けました。そこからはトントン拍子で進んでいきました。この写真からある種のエロティシズムを感じるひともいるようですが、見方は人それぞれですね。ふたりは幼い頃から互いを知っているただの友人同士です」

デヴィッドは印刷を通してこのシリーズに命を吹き込み、その中で他分野との交流を存分に楽しんだ。「フォトグラファーは時に、フラストレーションがたまるというわけではないのですが、たくさんのアーカイブがあると、ずっと眠らせたまま待たせてしまっている、という感じがします。あくまで僕の個人的な意見ですが、フォトグラファーにとって、写真集をつくること以上にすばらしいことはありません」

Loose Jointsのサラ・ピエゲーとルイス・チャップリンと協力したことも、同じようにやりがいのある体験だったという。「僕はただ友だちと力を合わせ、自分のアートや生活を結びつけているだけ。作品は僕たちという存在を提示する美しい〈しるし〉なんです」

the shadow of a man and a woman across an umbrella and a naked woman's body in the foreground
© David Luraschi 2021 courtesy Loose Joints
trees on the bank of a lake
© David Luraschi 2021 courtesy Loose Joints
a naked man and woman embracing in sand
© David Luraschi 2021 courtesy Loose Joints
a chair floating in water
© David Luraschi 2021 courtesy Loose Joints

‘Ensemble’ by David Luraschi is published by Loose Joints

Credits


All images © David Luraschi 2021 courtesy Loose Joints

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