Photography Flo Kohl

Girls Don’t Cry と VERDYのルーツ

グラフィックデザイナーとしてのルーツ、Girls Don’t Cry、Wasted Youthのグラフィックに込められたメッセージ、一期一会の出会い。

by Tatsuya Yamaguchi; photos by Flo Kohl
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27 April 2019, 3:00am

Photography Flo Kohl

グラフィックデザイナー、VERDY(ヴェルディ)。VK DESIGN WORKSの一員で国内外のブランド、リテーラー、バンドなど幅広いクライアントのアートワークを手掛け、Girls Don’t CryやWasted Youthのグラフィックを生み出した人物で、いまストリートシーンを魅了するキーパーソンのひとりだ。Amazon Fashion ”AT TOKYO”と実店舗のないGirls Don’t Cryアイテムのオンライン発売と、期間限定のGirls Don’t Cry Cafeオープンという初の試みを控えたVERDYに話を訊いた。

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「2017年のWasted YouthのLAでの初めてポップアップのとき、LAに一緒に行く奧さんにGirls Don’t CryのTシャツをプレゼントしたんです。ある程度いっぱい作った方が安いので、『何のTシャツ?』と聞いてきた人や現地の友達にあげたことが“プロジェクト”の始まり」。Girls Don’t Cryの現在の人気は爆発的だ。時に2000人規模の大行列をつくり出す国内外で不定期に行うポップアップショップを「バンドのツアー」に例えて彼は話す。「ツアーって皆が知る有名な一曲を各地で絶対にやるじゃないですか。むしろ名曲を待っているのにやらないと『あれ?』ってなりますよね(笑)」。例えるなら、それぞれのプロジェクトでのひとつのグラフィックが“代表曲”で「バンドがライブをしたら会場でグッズを売るような気持ちでやっている」。ネット上でなくリアルな空間で販売してきた理由もここにあるし、毎シーズンTシャツのデザインを変える“ブランド”とは一線を画すVERDYならではのアプローチなのだ。

なぜバンドに例えたか? それは彼のグラフィックデザイナーとしてのルーツにパンクやハードコアバンドの存在があるから。1987年、大阪に生まれ、幼い頃から描くことが好きだったサッカー少年は、高校時代にバンドの世界に惹きつけられ、同時に数多のCDジャケットに魅了された。グラフィックデザイナーという存在を知り、バンドにまつわるイラストを描き続けていたという。「当時はバンドと裏原カルチャーの両方に興味が向かっていました」

大阪にあるグラフィックデザインの専門学校に進んだ後、バンドを始めた彼は「ブッキングライブのマンスリーフライヤーを作ったりして少しずつデザインの仕事を始めていきました」。BLACK FLAGやGANG GREEN、MINOR THREATなどの80年代のグラフィック、2019年秋冬のDiorメンズコレクションのコラボレーターであるレイモンド・ペティボンにも今も変わらず影響を受けている。NIGO®︎やスケートシングといった裏原のキーパーソンに憧れ「ホンゴリアンやジム・フィリップス、スケートボードのアートにも影響を受けましたね」

ファッションに関わる仕事を求めて2011年に上京してすぐのこと。BOUNTY HUNTERの岩永光から“初めての”コラボレーションの話が舞い込んだ。ファッションとの繋がりは広がりつつも、ブランドやバンドの仕事も手がけていたが「生活するのはギリギリという状況が6年くらい続いていました」。転換点は約2年前。「バンドに依頼で受けたものでなく、自分で考えて良いと思えるグラフィックを作る方が楽しくなっていた」。1万円さえあればTシャツを作り、友人に贈る分は用意できると思い立ってプロジェクトはスタート。Wasted Youth、そしてGirls Don’t Cryから立て続けに、HUMAN MADEやUNDERCOVERを始め、UNION、Carrots、さらにはNIKE SBまで——これらはごく一部だが——数々のコラボレーションと、国内外のポップアップイベントを手がけてきた。

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「Wasted Youthは僕自身のオリジナリティについて悩んでいたときに生まれた言葉で、自分のルーツにあるカルチャーや人生そのものに対する、過ごしてきた時間や青春は無駄じゃないという意味があります」。Girls Don’t Cryは「僕の生活における大きな割合を占める妻に贈ったもの。良いことも悪いことも日常生活にあると思うんですけど、そんな中で奧さんのことを思って浮かんだメッセージ」だと話す。海をこえて誰でも理解できるシンプルなセンテンスは、VERDY自身のパーソナルな感情から湧き上がってきたものなのだ。

一方、「人それぞれの日常のストーリーにあてて考えられる“余白”は、僕が作るもののひとつの良さなのかなと思っています」と、少しだけ照れながら話を続ける。たしかに観る人の状況や心境次第で、メッセージの内容はいかようにも変化する言葉だ。「だから、ストーリーや意味がないものは出さない。自分の言葉にある“余白”の部分が人を勇気付けたり、背中を押すパワーに変わると良いなと思っています」

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彼を突き動かしたマインドの変化には「人生で初めて行ったLAの衝撃」があった。ブランドをやる友人たちの姿を直に見ると「僕が当時悩んでいたような小さいことを気にせず、本当に好きなことを突き詰めているだけだった」。「数年前、LAにいる若い子たちはファレルとNIGO®︎さんが仕事していることも知っていてアメリカのラッパーと日本のクリエイターが組むこと自体イケてるみたいな認識があると強く感じたし、自分が良いと思えるものをしっかり作って定期的に海外に行けば、良い仕事も、人との出会いもあるんじゃないかと思えた」。そして今、LAはVERDYにとって大切なホームグラウンドのひとつとなっている。

世界中を飛び回り、可能な限り足を運んだ先々であったたくさんの新しい出会いや発見が実際の仕事にも結びついてきた彼が、笑顔でこう話す。「ブランドや人を知るきっかけでもあり、LAにいる友達もたくさんつくることができたInstagramはもちろん僕にとって重要。ただ、毎晩いいことがあるわけじゃないけど、どんなに疲れていても遊びに出かけて本当によかったと思える『奇跡の一回』って確かにある」。例えば、ずっと切望していたUNDERCOVERとのコラボレーションも、あるバーでの一夜がなければ実現しなかったかもしれないのだ。解釈と行動次第で未来を変えるかもしれないこの言葉を、あなたならどう受け取るだろう?

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