『Buffalo Zine』編集長のインタビュー

カルト的人気を誇るファッション誌『Buffalo Zine』が、最新となる第4号を発売。その編集長に、今号制作の背景にあったアイデアやインスピレーションについて、そして消費社会がもたらすものについて聞いた。

by Felix Petty
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17 November 2016, 6:25am

Photography Philippe Jarrigeon. Fashion Marc Goehring.

デイヴィッド・ウズクイザ(David Uzquiza)とエイドリアン・ゴンザレス=コーエン(Adrian Gonzalez-Cohen)によるプロジェクト『Buffalo Zine』は、ファッションの世界で今起こっている出版プロジェクトのなかでも、群を抜いてユニークで楽しく、愛らしく、そしてエキサイティングだ。デイヴィッドとエイドリアンは、常に新しい出版の形を模索する心を忘れない。これまでに新聞からハードカバーの本にいたるまで、あらゆる形の出版物をリリースして私たちを楽しませてくれたふたりが作る『Buffalo Zine』は、毎号が驚きに満ちた内容だ。最新号は『カタログ』特集号として「物質社会」をテーマとし、写真からファッション、家庭雑貨や香水に至るまで、私たちの日常をとりまく「物」を祝福する号となっている。しかも『Buffalo Zine』は今号をもってこれまでの不定期発行の形態をやめ(ひとつの号を制作するのに3年をかけたこともある)、年2冊のペースで刊行していくという。さらに、今号のローンチに合わせてショップをオープンした。そこにはマーティン・パーやクリストファー・シャノンとのコラボーレション商品や、デイヴィッドとエイドリアンが作ったオリジナルの香水Aqua di Buffaloも販売されるのだそうだ。7種の美しい表紙で『Buffalo Zine』をリリースしたばかりのデイヴィッドとエイドリアンに話を聞いた。

Photography and Fashion Adrián González-Cohen

半年に1号という刊行スケジュールに切り替えたのはなぜですか?
僕たちはこれまで『Buffalo Zine』の制作とクリエイティブ・エージェンシーとしての仕事に加えて、普通の仕事もしていたんだけれど、ここに来てフルタイムで『Buffalo』制作とエージェンシーの仕事に専念しようと決めたんだ。

Buffalo Zine』は毎号が新しく、私達は大変楽しませてもらっています。今回の最新号にはどんな心構えで挑んだのでしょうか?新しい出版表現を模索するのはエキサイティングなものでしょうね。
その模索こそ全行程のなかで最もエキサイティングな部分だね。毎号が新しい世界になる。毎号が新鮮に感じる。読者も新鮮に感じてくれたら嬉しいよ。

最新号は『カタログ』特集として、実に面白い視点で「製品」を特集していますが、このテーマに行き着いた経緯について教えてください。
今はデジタルな時代で僕たちはバーチャルな世界に生きている、とされている。だけど、僕たちはやっぱり物質社会を現実として生きる動物なわけだよね。ブリーチやティッシュ、牛乳、殺虫剤、その他数え切れないほどの「物」に囲まれて僕たちは生活していて、そういった生活の必需品はバーチャルにはなりえない。ファッションもそう。雑誌もそう!だから、最新号は「物質主義」を祝福する内容にしたんだ。そして「物を売る」ということや、広告、そしてより従来の雑誌としてのあり方を楽しく探る内容にしたいと思ったんだよ。

Photography Tim Elkaïm, Fashion Daniele van Camp

この号の制作で作ったムードボードにはどんなものがあったのでしょうか?何からインスピレーションを得ましたか?
90年代の『Vogue Italia』といった女性ファッション誌や、カタログ『International Male』、NOVA、IKEA、Argos、それとダルストンやオリヴィエロ、トスカーニといった郊外の雰囲気、スーパーマーケットの冊子、テレビ通販チャンネル、独占企業体制、ファストフード、ジャンクメール、消費者への社会環境学的なアプローチ、いろんな時代の広告——そんな感じかな。

「安っぽさの美」ともいうべき美的感覚が多く見受けられる今号ですが、あなたはそれを「懐古的になってるんじゃなく、前を見ているんだ」と語っていますね?
懐古的じゃないけど、別に前を向いているわけでもないよ。消費社会というものに関係したものや瞬間を特集しただけ。僕たちは近代的になりたいなんて思ってないしね。「流行に左右されない」存在になりたいという思いが強いんだ。

コカ・コーラやマクドナルド、ダンキンドーナツなどのモチーフを用いたりと、消費社会をベースにした世界観が全体を覆っていますが、ファッションも消費社会の一部と考えられると思いますか?
結局のところ、ファッションは最終的に消費なんだよ。今号のエッセイでヤン・ダルアングリオ(Yann DallAnglio)が書いているように、消費を通してコミュニケーションや表現をするのはとても人間的な行動。「好きな女の子にかっこいいと思ってもらいたい一心で、新調したジーンズにダメージ加工をほどこすティーン——それほど非物質主義的でセンチメンタルなものがこの世にあるだろうか」ということだね。

Photography Oliver Hadlee Pearch, Fashion Emilie Kareh

ショップもオープンするそうですね?それについて教えてください。
今号に掲載されている製品20点はショップのために作ってもらったもので、もうすぐ『Buffalo Zine』のウェブサイトで販売されるんだ。ナイフセットや、マーティン・パーが履いているソックス、僕たちのフレグランスAqua di Buffalo、クリストファー・シャノンとのコラボ商品も販売するよ。

イザベル・ユペール、ジュリエット・ビノシュ、エマニュエル・セニエといった女優たちを起用した経緯について教えてください。どれも素晴らしい写真ですね!
レッドカーペットで3人のスタイリングを手がけているジョナタン・ウゲ(Jonathan Huguet)と出会ったのがきっかけ。この3人に出てもらえたら、最新号が魅惑的になるだろうと思ってオファーしたんだ。「社会で孤独に生き、街に圧倒され、迷っている女性」というテーマで撮らせてもらった。映画でも社会でも「ある年齢層の女性というのは役割が決められてしまっている」という現状にも疑問を投げかけたかった。

今号でもっとも誇りに感じていることは?
表紙だね。7種類の表紙を作ったんだ。一番誇りに思っているのは、協力してくれたコントリビュターたち。僕たちが提案したアイデアやテーマを深く理解し、受け入れて、それぞれに形にしてくれた。その存在と献身に感謝してやまないよ。

『Buffalo Zine 第4号』は、Dover Street Marketにて販売中。buffalozine.comでも購入可能。

Photography Reto Schmid, Fashion Jonathan Huguet

Photography Tina Tyrell, Fashion Julia Ehrlich

Photography Phillippe Jarrigeon, Fashion Marc Goehring

Credits


Text Felix Petty
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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