『T2』の主演4人が語る、1996年と2016年の『トレインスポッティング』

『トレインスポッティング』でアイコニックなキャクターを演じたユアン・マクレガー、ジョニー・リー・ミラー、ユエン・ブレムナー、ロバート・カーライル。俳優陣4人が、『T2』の音楽やスタイル、前作で盗むほど好きだった衣装を語る。

by Colin Crummy
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04 April 2017, 2:25pm

「イギリス最後のユース映画」——作家アーヴィン・ウェルシュは、著書『トレインスポッティング』が1996年に映画化された際、作品についてそう言い表していた。『トレインスポッティング』は、現実に幻滅し、疲れ果て、面白いほど汚い言葉を吐きまくるスコットランドの若者たちを描いた小説だ。前作の公開から20年——薬物に溺れ、犯罪スレスレの生活を送る若者たちを描いて、世界で共感を呼んだ前作だったが、登場人物のレントン(ユアン・マクレガー)、シック・ボーイ(ジョニー・リー・ミラー)、スパッド(ユエン・ブレムナー)、そしてベグビー(ロバート・カーライル)の今を描くという続編の実現には、大きな困難がつきまとった。

「やつらが戻ってくる——みんな歳を重ねていて、哀愁も感じられる。なんとか続編を作ろうとみんなで頑張っているよ」と、ウェルシュは2016年、i-Dに語っていた。「リアルタイムで『トレインスポッティング』を観ていた若者たちは今大人になっていて、『トレインスポッティング2』を観るのはその子どもや、ひょっとすると孫の世代になるわけだよね。結婚式に参列すると、叔父さんが踊る姿を見て妙に気恥ずかしいような気持ちになるだろう? 今の若者世代が『トレインスポッティング2』観たとき、そんな気持ちになったら——というのが心配だ」

だが、監督のダニー・ボイルと脚本のジョン・ホッジは、ウェルシュが書いた続編『ポルノ』を題材に、次作の舞台を2016年のエジンバラと考えていた。ウェルシュの心配は無駄に終わったということだ。

大金を持ち逃げして姿をくらましたレントンがスコットランドに帰国し、シック・ボーイやスパッド、ベグビーらとともに、酒とドラッグまみれの暴力的な友情を再確認していく『T2トレインスポッティング』。17歳が初めて観ても、37歳が90年代を懐かしみながら観ても、きっとのめり込んでしまう——そんな作品だ。

『トレインスポッティング』は、1996年の社会を劇中に取り込んでいた。続編もまた、Facebookや「#FitFam」といった現代的要素を散りばめ、2016年の社会を描いている。オリジナル版の冒頭でレントンが語るナレーションは、当時の若者たちが抱えていた怒りを的確に表現して大きな共感を呼んだが、今作のナレーションも「現代に生きるということ」を如実に言い表している。オリジナル版からの映像が回顧シーンとして多く使われ、『T2トレインスポッティング』は——20年来のファンも、初めて観る世代も——誰もがのめりこめる作品となっている。トレインスポッティングのスター4人とともに、その世界を探ってみよう。

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『トレインスポッティング』は、90年代後期を象徴する作品として今も語り継がれていますが、それについてどう感じますか?
ユエン・ブレムナー:僕の17歳になる娘は、友達と一緒にあの作品世界に夢中になっているよ。自分たちが生まれる前に作られた物語だとは思えないらしい。今の世の中にも共通する世界観で、訴えかけるものがあるんだろうね。それは、ミュージック・ビデオやドキュメンタリーが持つ言語性を取り入れて、現実と非現実の世界をバランスよく織り込むダニーの作品だからこそ。ダニーはあの作品で、それまでなかった現代的な表現方法を作り出したんだ。

前作と今作で共鳴しているテーマは?
ユエン・ブレナー:前作のテーマは、友情——高校から20代において経験するような「友情の歓びと葛藤」がテーマだった。「この友達は自分にとって良い影響を与えるのか、それとも悪い影響を与えるのか。この友達とつるむのか、それとも距離を置いたほうがいいのか」——前作はそういったことが実に素晴らしく描かれていたね。
ロバート・カーライル:学ぶことも多い。
ユエン・ブレナー:注射はどう打つべきか……(笑)
ロバート・カーライル:そしてどう薬から逃れるか……友情関係を大切にするのか、その後20年もその友情を大切にしていきたいのか——友情を台無しにしてしまわないよう自問すること。若いころにはそこまで先のことなんて考えられないものかもしれないけど、この映画はそういうことを考えるきっかけになりうると思う。

前作の冒頭でレントンが「Choose life.(人生は選択して切り拓いていくものだそうだ)」と始めるセリフは、あの時代の若者の怒りを端的に表現していました。新作でも、いま私たちが生きるこの世の中について訴えているのでしょうか?
ユアン・マクレガー:今がどんな時代か、僕にはよくわからない。大きな困惑と混乱が広がっているということ以外ね。今はちょっと怖い時代だよ。

「人生をどう生きていけば良いのかわからない」というのが、前作と新作をつないでいる要素なのでしょうか?
ジョニー・リー・ミラー:登場人物はそれぞれ行き詰まっている。彼らを取り巻く世界は変化しているのに、変われたときに変わらず、変わるべきときに変わらなかった彼らがいる。

前作は、90年代を象徴する映画となりました。あなたにとって、あの時代を象徴するものとは?
ユアン・マクレガー:OASISだね。大ファンだったよ。OASISには、不思議な魅力があったんだ。あの態度——自らの名声を笑い飛ばすかのようなあの態度を、当時の僕はとてもクールだと思ったんだ。

サウンドトラックでお気に入りの曲は?
ジョニー・リー・ミラー:選べないけど、「Lust for Life」と「Perfect Day」、それと「Born Slippery」の3曲が特に響くね。『T2』の準備として、バンドのPulpをよく聴いていたんだけど、彼らの素晴らしさに改めて気づかされているよ。Pulpを聴くと、90年代を感じることができるし、当時の記憶がまざまざとよみがえる。
ユアン・マクレガー:僕もPulpには同じような感覚を抱く——というか、「Born Slippery」を聴くと、金をいっぱいに詰めたバッグを持って足を引きずりながら橋を渡りたくなる。『T2』のサウンドトラックの中だったら、音楽的には、ダニーが大好きなYoung Fathersかな。サウンドトラックを支える役割を果たしてるバンドでもあるしね。『T2』は、過去を振り返るシーンも多いから、映画全体が回顧的になりすぎないよう、ダニーは現代の音楽を流そうと考えたそうだよ。

前作で着ていた服でお気に入りは?
ユエン・ブレムナー:前作が素晴らしいのは、50年代以降の幅広いカルチャーからの服が取り入れられているところ。映画を観ただけだと、それが90年代後半を舞台としているとは思えないはず。80年代、70年代、そして60年代の最高なファッションと最低なファッションが、たくさん登場するからね。そうすることで、1995年とは思えない独自の世界観を描き出したんだ。
ロバート・カーライル:撮影後に盗んで帰った衣装がいくつかあったよ。僕が思うベグビーは、20年前も今も服装がほとんど変わらない男。続編で、ベグビーはまず牢獄に入っているわけだからね。ネタバレというほどの情報ではないから明かしてしまうけど、ベグビーは脱獄するんだ。そうやって地元に戻ってくる。だから服装はまったく変わってない。
ユアン・マクレガー:僕は、巨大なディスコ調の襟と、マンハッタンのビル街で馬の背中にまたがって空に拳を突き上げているインディアンがプリントされた、ナイロン地の70sシャツがお気に入りだったね。
ロバート・カーライル:僕は、あのPringleのピンクのセーターかな。あのセーターは、ベグビーそのものだからね。

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T2トレインスポッティング
監督:ダニー・ボイル出演:ユアン・マクレガー ジョニー・リー・ミラー ロバート・カーライル ユエン・ブレムナー  原作:アーヴィン・ウェルシュ T2: Trainspotting
4月8日(土)から丸の内ピカデリーほかにて全国ロードショー

Credits


Text Colin Crummy
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.