グラスゴー発のテクノ・レーベル<Soma>の25年

「PLAY」を押してi-D限定のリミックスを聴いてほしい。そして、グラスゴーが誇るテクノ・レーベル<Soma Quality Recordings>について知ってほしい。ブレイクビート満載で、ライトスティックが揺れる、吸引型ヴィックスヴェポラッブの香り漂う、スコットランド産テクノ——その母ともいえる存在であり、あのダフト・パンクを発掘したことでも知られる<Soma>の創始者ふたりに、話を訊いた。

by Matthew Whitehouse
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14 April 2017, 12:25pm

スチュアート・マクミリアン(Stuart McMillian)とオード・ミークル(Orde Meikle)が立ち上げたレーベル<Soma Quality Recordings>は、その名に恥じない作品を世界に届けてきた。グラスゴーのストリートで1991年に誕生してからというもの、スコットランドのレイヴ音楽を数多く生み出してきた<Soma>は、一貫して素晴らしいサウンドを作り出すレーベルとして、業界において不動の地位を築いた。では、どうやって彼らはこのような偉業を成し遂げたのか?——Slamとして「Positive Education」をはじめとする名作を叩き出し、SurgeonからEnvoy、Silicone Soul、そしてDaft Punkという名のフランス出身デュオのキャリアを開花させるなどして、成し遂げたのだ。Daft Punkは1994年、<Soma>から自身初の試験的レコードをリリースしている(彼らはどうしてしまったのだ?)。これまでもi-Dは、ブレイクビート満載で、ライトスティックの光が揺れ、吸引型ヴィックスヴェポラッブの香りが漂う、スコットランド産テクノについて書いてきた。人気爆発から25年経った今も、レイヴ音楽は、スコットランドが世界に誇る最大の輸出品だ。Somaは今でも質の高いエレクトロニック音楽をリリースし続け、23年間続くスコットランド最大の音楽フェスティバルT in the Parkでは、クラブ<Slam>のテントを出展し続けている。過去25年に生まれた名トラックを収めたボックスセットを発売する<Soma>のマクミリアンとミークルに、レーベルについて、そして今すぐに"プレイ"を押して聴くべきグラスゴー・サウンドについて訊いた。レイヴの国スコットランドへようこそ。

おふたりの出会いは?
グラスゴーのウエストエンドにあるバーで出会った。お互いにサウンドシステムでそれぞれのミックステープをかけたくて、毎日のように争ってたね。そうやってお互いの音楽の趣味を知ったんだ。僕たちふたりの音楽の趣味は、異様なほどに似通っていたし、今でもそう。DJとしての活動やパートナーという関係は、音楽への共通の愛から生まれたものだった。

当時のグラスゴーには、活発なテクノのシーンがあったのですか?
当時のグラスゴーにはテクノ・シーンなんてなかったよ。クラブは、ほとんどがソウルやファンク、インディーズのエレクトロニカや、初期ハウスをごちゃまぜにしてプレイしてた。初めてRhythm Is Rhythmの「Nude Photo」の歪んだトーンを聞いたとき、「これだ」と思った。それから、TransmatやMetroplex、Deep Space、そして初期のKMSといったレーベルが出していた新しいデトロイト・サウンドに夢中になった。シカゴ発のアシッド・ハウスやデトロイト・テクノをかけるクラブとして<Slam>を立ち上げたら、グラスゴーの若者たちはこれに心酔した。それからというもの、彼らのテクノ愛は揺いでいないよ。

レーベルを立ち上げた意図は? その目的は、当時と今では変化しているのでしょうか?
<Soma>は「商業性に関係なく、質の良いエレクトロニック・ダンス・ミュージックをリリースしていこう」という目的のもと、1991年に立ち上げた。そのモットーは今でも変わってない。当初は地元のアーティストたちを扱っていたけど、レーベルがすぐに国際的な評価を得たから、そこからは様々なアーティストを抱えるようになった。

この25年間でリリースした中で、もっとも気に入っている作品は?
3000以上リリースしてきたから、すべてを覚えているわけじゃないけど、おぼろげに覚えている中では、Slam作品なら、「Eterna」と『Headstates』。僕たちが初めてリリースしたシングルとアルバムだったからね。それと、ダブル・アルバムの『Snapshots』。「This World」は、僕たちが初めてボーカルを本格的に試した曲だった。<Soma>のアーティストたちの作品だと、エンヴォイの「Dark Manoeuvres」、Skin Tradeの「Andomraxxes」、ダフト・パンクの「Alive」、Percy Xの「X Track」……日が暮れるまで挙げ続けられるよ。

あなたたちがダフト・パンクの「Da Funk」のオリジナル・レコード・バージョンを発売したことは有名ですが、彼らとはどのように出会ったのですか? 今でも彼らと連絡を取り合っていますか?
トーマとギ=マニュエルのふたりとは、パリで出会った。フランスの大規模なレイヴで僕たちがプレイした後のことだった。それ以前に、ふたりは<Soma>を気に入ってくれて、「僕たちのデモテープを聴いてください」とファックスで僕たちに連絡をくれてたんだ。テープをもらって聴き始めて、1曲目が終わる前に契約を決めたんだ。今でもふたりとは連絡を取り合ってるよ。最後にパリに行ったときにも、一緒にディナーをした。近況報告をしたりしてね。彼らといると楽しいよ。ふたりはまったく変わらないね。

現在のグラスゴーのシーンはどうでしょうか? 世界がいま聴くべきアーティストは?
グラスゴーにはこれまでも常に素晴らしい音楽シーンがあったけど、今も新たに素晴らしいプロデューサーやプロモーター、会場がたくさん生まれてきている。グラスゴーのサウンドを正統に受け継いでいるのは、エディット・セレクト(Edit Select)、ディープベース(Deepbass)、エコープレックス(Echoplex)、ペトリコール(Petrichor)、コード9(Kode 9)、セクルーデッド(Secluded)といったアーティストたちと、レーベルではSeventh SignAnimal Farmといったところだね。

<Soma>を運営する中で学んだ重要なことは? レーベルを立ち上げようと考えている人へのアドバイスもお願いします。
独自の姿勢を打ち出しているインディペンデント系ダンス音楽レーベルが世界中に多く存在する今、レーベルを立ち上げようと思うなら、クオリティを高く保ち、コンスタントに作品をリリースすることが大切。多くのレーベルは、立ち上げたと思ったら休止したりする。それは理想的なあり方ではないね。僕たちがこれまでに学んだのは、打ち出していく音楽のヴィジョンを独自に持って、それに忠実であり続けることの大切さ。それと、すべてのひとに好かれるよう、すべてに手を出すことで、あわよくば金を稼ごうなんて考えちゃいけない。あと、長い目で見るということの大切さ。最後に、信念を曲げないこと!

Soma25 is out now. 

Credits


Text Matthew Whitehouse
Lead image photography by clubbers at Tek 2000 using Kodak Fun Flash cameras. Taken from The Supernova Issue, No. 153, June 1996.
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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