次の一気見はこれ:超自然系ドラマ『ダーク』の脚本家二人にインタビュー

ドイツ発! おもしろいに決まってる!

by Matthew Whitehouse; translated by Atsuko Nishiyama
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14 December 2017, 6:43am

『ダーク』は伝説的な頭脳の持ち主アルバート・アインシュタインの引用で幕を開ける。「過去、現在、未来の区別は、強く信じられ続けている幻想に過ぎない」。飲み会でヘビーな夜を過ごした翌朝、似たような気落ちで目覚める(そんな季節だ)ことは確かにあるが、Netflixの新しいビンジ・ウォッチ(一気見)になりそうなシリーズを鑑賞する間も、それを忘れてはいけない。『ダーク』は10話連続の超自然スリラー。タイムトラベルのコンセプトと、ドイツの小さな町で起きた少年失踪事件から連鎖するできごとが結びついていく。

そしてheiliger strohsack (なんてこと)、これがおもしろい! 数週間前、最初の3話が送られてきて以来、「第2シーズン制作決定」の声を上げる間もなく大量のエピソードを夢中で見た。『ダーク』はNetflixの超大ヒット作『ストレンジャー・シングス』とよく比較される。当然といえば当然で、両者には共通項が多い。少年の失踪、自転車に乗る若者たち、80年代へのフラッシュバックもある。けれど率直に言えば、全体のトーンとしてより近いのは、近年BBC4で放映されてきた素晴らしい北欧系犯罪ドラマの方かもしれない。張り詰めた雰囲気も、暗く不穏な森も(実際、フェロー・アイランズ編みのセーターを着たソフィエ・グロベルが画面を横切るのをどこかで期待している自分がいる)。
訳注:デンマークのドラマ『THE KILLING』でグロベル演じる主人公サラ・ルンドはフェロー諸島産で知られる特徴のあるセーターを着ている。

「小さな町というものは、私たちの興味を激しくかき立てる、人間の行動パターンの縮図のようなところがあるんです」と脚本家でプロデューサーのヤンチェ・フリーセは言う。彼女と共同でこの番組を手がけるのは、創作のパートナーで脚本と演出を担当するバラン・ボー・オダー。ベルリンのコンピューターハッカー組織を描いた映画『ピエロがお前を嘲笑う』(2014)の成功を受けて、Netflixから2人に声がかかった。今度は違うテーマに取り組みたいと考えた2人は、過去数年分の未実現のプロジェクトを見直した。そしてタイムトラベルがテーマの長編の冒頭と、この時点では超自然的要素はなかった犯罪ドラマの案が見つかる。「この2つを組み合わせようと考えたんです」フリーセは語る。なんとびっくり、〈タイムトラベル犯罪もの〉というジャンルはこうして誕生した。

このシリーズがおもしろいのは、表面的には常に一般相対性理論と理論物理学が軸となりつつ、本質的にドイツ的な何かが全体を貫いているところだ。そう伝えると、すぐにオダーはおとぎ話の豊かな伝統との関連性を指摘した。特にグリム兄弟の作品には広大な森を舞台としたものが多く存在する。「森は私たち自身の中にある暗い洞窟のメタファーです。そこでは何に出会うかわからない。人間は森の中でいかに完全に迷ってしまうのか、ということなんです」と彼は説明する。加えてフリーセは、このシリーズの「ドライな不気味さ」をドイツ人の国民性に結びつける。

「私たちがダークなテーマを深く掘り下げることは、自分たちのアイデンティティと、前世紀の初頭に起きたことに大いに関連があると感じています。2つの世界大戦があり、ドイツの名の下に大勢の人が殺された」彼女は言う。「後の世代の私たちは、学校などでそのことについて徹底的に話し合いました。そしていつも同じ疑問がわくのです。一体なぜあんなことが起こり得たのか? なぜ人間はあれほどに陰惨で常軌を逸したことを実際にしてしまうことができるのか? それらのテーマ、つまり人間行動それ自体の中にある暗闇こそ、何かとてもドイツ的なものだと思っています」

この不穏な不気味さがどこからきているにせよ、このシリーズ(Netflix初、すべてドイツで制作されている)が、地域の境界を超える魅力を備えていることは明らかだ。チャンネル4で放映され高い評価を得ている『ドイチェランド83』やスカイ・アトランティック(テレビ局)の時代ものドラマ『バビロン・ベルリン(原題Babylon Berlin)』の流れもある。フリーセによれば、ドイツのテレビは「ここしばらく、創造性の砂漠状態」が続いていると言う。新規参入の媒介、例えばNetflixやアマゾンが揺さぶりをかけてくれることを望んでいるそうだ。「より多くのジャンルやテーマの可能性を作り手に与えてほしい」と彼女は言う。「プラットフォームさえあれば、自分のいる国だけで視聴者を獲得することを考えずに、視野を広げられる。ドイツから出てくるものが、実際にもう少しあなた方の目に触れるようになる、そのきっかけになれればと願っているんです」

では、『ストレンジャー・シングス』と比較されることについては、どう考えているのだろうか? 「『ストレンジャー・シングス』の視聴者がみんな、いや3分の1でも僕らの番組を見てくれるのなら、大ヒットを手にしたも同然」と、オダーは彼らしいドライな口調で語る。もしかすると「創造性の砂漠状態」こそ、「強く信じられ続けている幻想」に過ぎないのかもしれない。

ダーク』はNetflixにて公開中