ソニア・リキエルが残したものの偉大さがわかる映像6本

「ニットの女王」の名匠を偲び、キャリア40周年のトリビュートショーからユルゲン・テラーによる2015年秋冬コレクションのキャンペーン映像まで、ソニア・リキエルが残したもの、そしてこれからも生き続けるものを知ることができる動画を紹介する。

by Hannah Ongley
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05 September 2016, 7:10am

先日、ソニア・リキエル(Sonia Rykiel)が86歳でこの世を去った。1960年代、パリ左岸に自身初となるブティックをオープンしてから50余年もの間、その独特の世界観を築いたニットウェアで、ファッション界において「ニットの女王」として愛された彼女。トレードマークのオレンジ色のボブと、ファッションへの実験的なアプローチで知られたソニア・リキエルは、直感的に「女性が何を欲しているか」を感じることができるデザイナーだった。妊婦だった1962年、突き出したお腹を隠そうと作り出した「プアボーイ」セーターは、フランス版『Elle』の表紙を飾った。リキエルが残したもの、そして彼女が目指したものは、1990年代に自身がパーキンソン病と診断されて一線から退いた後も、汚されることなく世に引き継がれ、生き続けた。その証拠に、リキエルがキャリア40周年を迎えたときには、それを記念して業界トップのデザイナー30人が彼女へのトリビュートとしてランウェイショーを開催した。そんな偉大なフランス人デザイナー、ソニア・リキエルを偲び、リキエルの本質が溢れる動画6本を紹介したい。

2008年10月、カール・ラガーフェルド、アルベール・エルバス、ジャン=ポール・ゴルチエをはじめとし、世界で愛されるデザイナー30人がパリのパルク・ド・サン=クルーに集い、ニット界の仙人に大きなプレゼントを贈った。デザイナーたちは、リキエルが築いたセクシーな世界観をそれぞれ独自に解釈した作品をランウェイに送り込んだ。それはめくるめく壮観のグランドフィナーレのようだった。ゴルチエは、モデルに"リキエル"オレンジのウィッグをまとわせた。まだ編んでいる途中のニットドレスをまとったモデルが、歩きながらドレスを編み続けるという仕掛け。Martin Margielaは、オレンジ色のウィッグから取った毛でファーのコートを作った。

「1970年代からファッションアイコンとして愛されてきたソニア・リキエルは、エレガンスの本質を問いただした」と、このビデオの紹介文は説明している。「女性のために、着やすく、伝統から解き放たれたファッションをデザインすることについて、リキエルが説明する」。このクリップでリキエルは、彼女のもっともアイコニックなデザインの数々(縫い合わせたシームを意図的に表に出したアイスブルーのVネックや、それにマッチするよう作られたニットのアクセサリーなど)を自ら紹介している。

リュック・ベッソン監督の傑作映画『フィフス・エレメント』を撮影していた頃のミラ・ジョヴォヴィッチは、もうひとつ重要なポップカルチャーの世界でもその存在感で頭角を現していた——Sonia Rykielの1997年春夏コレクションのショーだ。シャープなホットパンツやベルト付きブレザーをまとったミラが、ユーリズミックスの「Sweet Dreams」が流れるランウェイを闊歩する。このショーが開催された1年前、マリリン・マンソンがEP『Smells Like Children』からのファーストシングルとしてこの曲のカバーをリリースしている。

カジュアルさと贅をブレンドする達人ソニア・リキエルが、H&Mとのコラボレーション・コレクションを発表した際の豪華絢爛なランウェイショーの模様が見られるこの動画。パリのグラン・パレで行なわれたこのショーで彼女は「リキエルのものといえどもニットで覆い隠してしまうのがもったいない」と私たちを悶絶させる、美しいランジェリーやローブをお披露目した。リキエルだけでなく、エヴァ・ハーツィゴヴァ、ケイト・ボスワース、ジャン=ポール・ゴルチエなどが観客席から見守るなか、モデルたちがシャンデリアを揺らしたりブランコに戯れたりする演出は圧巻だった。

リキエルは、デザイナーとしてだけではなく、アーティストや絵本作家としても広く知られていた。テレビ局France 24とのインタビューで彼女は、ファッションでの実験的要素と他のクリエイティブ活動との関係性について語りつつ、描きためたスケッチの数々を披露している。「絵というものに偶然はない」とリキエルは言っている。「絵は傲慢をかたちにした作品よ。引く線の1本たりとも、偶然では生まれないの。私が作るドレスやセーターのほうがよっぽど偶然の産物だわ」

グリム兄弟が描く童話のような世界観が表現されたSonia Rykiel 2015年秋冬コレクション広告キャンペーンでは、ユルゲン・テラーが森のなかを彷徨うジョージア・メイ・ジャガーとリジー・ジャガーを幻想的に捉えている。幽霊のように笑う自分たちの声にのせて墓石で遊び、芝生に戯れるメイとリジーについて、テラーは「モデルのふたりは、リキエルのためにポージングをすることを大変喜んでいました」と語っている。シルバーのフレアボトムと胸が大きく開いた70年代調ジャンプスーツといったロックなアイテムを映像に捉えるのは楽しかったにちがいない。

Credits


Text Hannah Ongley
Image courtesy of Sonia Rykiel 
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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