LGBTQコミュニティの人々が語るオーランド銃乱射事件

オーランドで起こった銃乱射事件を、JDサムソンからマイクQ、キム・アン・フォックスマン、DJ Mazurbateまで、ニューヨーク・ナイトシーンの生きる伝説たちが今の心境を語る。

by Rory Satran
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22 June 2016, 3:15am

JD Samson, Lauren Flax, Nicole Sky, Luiza Sa-Davis, Jo Lampert, and Mike Q, photographed at The Stonewall by Christelle de Castro

先日フロリダ州オーランドで、ゲイをターゲットとした銃乱射事件が起こった。それから24時間を待たずして、ニューヨークのLGBTQコミュニティは、その衝撃を浄化させるかのように、追悼ダンスパーティを開催した。クラブFlash Factoryで毎週行われているパーティ、Battle Hymnがその会場となった。ハニー・ディジョン(Honey Dijon)やマイケル・マグナン(Michael Magnan)など人気DJたちのプレイの合間に、ダウンタウンのナイトライフにおける祭司、レディーファグ(Ladyfag)がマイクを取った。「私は怒りに震えている。頭のおかしい人からあなたたちを守る術がないことに」と彼女は言った。観客が声援を送る中、彼女は皆が一体となるよう訴え、こう続けた。「これがみんなの家族よ。周りを見渡して。これがあなたたちのコミュニティなの。フロリダで起こった事件は、私たちにも起こっているのよ。私たちはひとつなのよ」。クラブ内の全員が手を取り合い、黙祷を捧げた。通常は騒がしいBattle Hymnのようなパーティで、このような光景が見られたことはこれまで一度もなかった。寛大でクリエイティブなニューヨーク・ナイトライフのコミュニティを象徴するような一体感がそこにはあった。そのコミュニティのメンバーたちが、今回のヘイトクライムが彼らの世界にどのような衝撃を与えたかについて話してくれた。何を感じたら良いかすらわからない心境、痛み、そして怒りを通し、彼らは今後もニューヨークのクィアスペースで団結し、踊り、音楽を奏で、愛を見つけるだろう。それを止めることは誰にもできないのだから。

マイケル・マグナン DJ、アーティスト
「この国の不合理な銃文化については、もう何を感じて良いのかもわからない。早く、なんとかしなくちゃいけない。それとは別に、今できるのは、僕たちがお互いのために注意の目を向け合うことだと思う。クラブや地下鉄、どんな公共の場であろうが、周囲の状況を常に注視して、勇気をもってお互いを守りあう。ニューヨークでは、"この街なら誰もが真の自分でいられる"って思いがちだけど、悲しいことに他の地域と変わらず、ここにも僕たちを憎み、僕たちの存在に拒絶感を覚えるひとはたくさんいる。Pulseで起こったことは僕たちの全員に起こったも同然で、今後はこれまでよりも僕たちがお互いを守り合っていかなきゃならない。傷が癒えるまで、僕たちはとにかくベストを尽くして生き続けて、どんなに小さなことでも意識的に努力をし、ポジティブな考えと愛の輪を広げていかなきゃならないんだと思う」

JDサムソン DJ、プロデューサー、アーティスト
「よく、自分が生きている意味について考える。何をするために生まれてきたんだろう?活動家として、次は何をすべきか?人間として何をすべきなのか?何週間か前、ブリュッセルのプライドパレードを終えてリヨンの巨大パーティに向かっているとき、自分がLGBTQコミュニティに向けて届けようとしてきたものや自分のDJ活動について、エッセイを書き始めた。多くの人々は僕のナイトライフを政治的なものとして体験してるわけではないし、クィアスペースの重要性を忘れてしまっているってことに気がついて、書こうと思ったんだ。自分のために書いていたんだとも思う。プレイする曲、ブッキングするDJ、そして僕が作り出すパーティひとつひとつ、すべてが僕の根幹にあるアクティビズムに端を発しているんだってことを、自分自身が忘れないために。僕はね、これまでの18年間、クィアの人々が一緒に踊って汗をかくことができる安全なスペースを作ろうと、それだけの思いでやってきたんだ。肉体、音楽、そしてアイデンティティを祝福して、このファミリーを信頼できる環境——存在に疑問を投げかけられることなんてない、自分たちだけのスペースをね。クィアの中でも有色人種をターゲットにしたこの残忍極まりない今回のヘイトクライムを受けて、僕がやってきたことをこれからも続けないといけないと思った。僕たちが本当の自分をさらけ出せるスペース、もっと存在をアピールできて、チームのようにみんなが団結できる空間を、僕は人生をかけて、このハートをかけて、今後も作り続けていく。今は踊る気にならないくらい悲しいけど、じきに克服できると思う……今夜もギグがあるんだ」

ローレン・フラックス DJ、プロデューサー
「今回の事件に関しては、いろんな感情や悲しみに揺り動かされているわ。圧倒的な感情が波のように押し寄せてくるの。ゲイコミュニティは、暴力と無縁のコミュニティではないけど、だからといって今回のことはやっぱり簡単に過去に押し流すことなんてできない。私としては、これまで以上にこのコミュニティに深く関わっていかなきゃならないと思ってる。これを機に、団結すべきなの。私たちとともにイスラム教徒コミュニティがテロリズムと闘おうと団結してくれている今、私も彼らと団結するわ。テロリズム、バイオレンス、憎しみ、そうしたすべてのものと闘うの。今回の事件はヘイトクライムなのよ。ゲイクラブという、私たちにとって守られるべき絶対に安全な空間が侵されて、途方に暮れてしまったわ。あそこは、私たちの家であり、教会なの。私たちの聖域であんなことが起きたというのはたとえようもなく悲しいわ。他の人と同じように、私もショックを受けている。今回の事件で、まだまだ闘いは終わっていないんだと思い知らされたわ」

グレッグ・クレレンスタイン DJStarworks Groupのエディトリアルディレクター
「ずっと恐怖を感じながら生きるなんて耐えられない。だから、僕は音楽をプレイするし、友達にも会うんだ。このコミュニティはこれまで多くの功績を打ち立ててきた。なのに世界にはまだまだ根強いヘイトがはびこっている。僕たちはこれからもっと、世間の認識を高めて、人々に知ってもらわなきゃならない」

キム・アン・フォックスマン DJ、プロデューサー
「それでも、私たちに必要なのは愛よ。銃じゃない。オーランドの事件は、ショックで胸が張り裂けそうよ。オーランドに、そして世界のLGBTQコミュニティに愛を届けたい。好きになる相手が同性だからという理由だけでこんなヘイトクライムの犠牲になってしまうなんて、絶対に間違ってる。そして、こんなにも簡単に銃を入手できてしまうというのもおかしい。今こそ、変えないと。愛と慈悲の心を持って、憎しみと無知を相手に闘っていかなきゃ」

ルイーザ・サー=デイヴィス ミュージシャン、CSS
「私たちが今、どんな世界を生きているか?困難、私が信じてやまないものを邪魔するもの、ヘイト、恐怖、そうしたもので溢れている世の中ね。だから、もっと私たちは親密にならないといけない。そして、美しさや真実、関わり合いの中で起こるマジカルな空間、進歩、愛、自由、敬意、それからファミリーと呼ぶべき仲間たちを、忘れずにいなきゃいけない。あの乱射事件が起きたときね、私はゲイカップルの素敵な結婚式に出席してたの。合法で結婚できて、それをお祝いできることができることがどれだけ幸運なことか。でもそれと同時に、あの事件も起こるのね」
「真実と敬意のうちに、そして愛と自由のうちに生き続けるために、私にはサポートとこのコミュニティの存在が必要なの。ストレートの友人や家族が今回の事件を身近なものと感じてくれていることはありがたいわ。この事件は私にも起こりえたことだったから。世界には今、様々な理由でこの瞬間に苦しみ、死に追いやられようとしている人々がたくさんいる。私たちは、彼らと同じ状況にいるの。だから、この状況を身近なこととして感じてもらいたい。忘れず、これについて話し合い続けてほしい。今、多くの難民が亡くなっている。命からがら戦争から逃れようとしている人々がいる。そしてオーランドでは私たちの同志が殺された。世界中でバイオレンスが人々を死に追いやっているの。これを機に、周囲の人をより近くに感じてほしい。私たちが強さと愛と共にあることを訴え続けてほしい。この日、この時代に生きていることを、私は今でも幸運なことだと信じてる。憎しみの連鎖を終わらせよう。銃の暴力を終わらせよう」

ハニー・ディジョン(Honey Dijon DJ
「オーランドのPulseで起こった事件に関して、未だにその愚かさと非道さがどうにも理解できずにいる。半生をクラブで生きてきた私のような人間には、自分のことのように辛い出来事なの。打たれたのが私でも、私の友達でもおかしくなかった。だから私たちのコミュニティは、今回の事件にこんなにも衝撃を受けているの。自分たちを投影せずにいられないから。"世界に希望を見出してはいけないのかもしれない"と思ってしまうことに、怒りにも似た感覚をおぼえるわ。危険で満ちた世界にあって、クラブだけは私たちの安全な聖域だったの。人の目を気にせず、自分自身でいられて、踊りたいように踊れて、笑えて。自分を恥じることも誰からなじられることもなく愛し愛されることができる場所。これはね、宗教や宗教の名の下に人殺しをする人たちが得意とする常套手段なの。権力と恐怖心から、いつもこういう手に出る。アメリカは世界のどの国よりも入国検査が厳しいのに、同時に世界で一番簡単にA-15アサルトライフルが手に入る国でもあるの。胸が引き裂かれる思いだけど、今回の事件をきっかけに、世間に問題提起をしなきゃならないと思う。特にアメリカに住む人には、外国では滅多に起こらないことがこの国で頻繁に起こっていることを認識してほしいわ。アメリカではいつどこで起こってもおかしくない事件なの。仲間に起こったことは、私たち全員に起こったことも同然よ」

マイク・Q プロデューサー、Fade to Mind
「オーランドで起こった悲劇は私たち全員を震撼させたけど、なかでもゲイコミュニティと犠牲者、そして犠牲者の家族が負った傷は計り知れない。僕にとってもとても衝撃的だった。DJとして13年間、ほぼ毎週クラブで過ごしてきたから、自分や知り合いが犠牲者のひとりだったとしてもおかしくなかった。LGBTQコミュニティにとって今回の事件は、"僕たちの誰が命を落としてもおかしくないんだ"ってことを改めて意識させられる出来事だった。僕たちは常に、銃乱射だけでなく、ホモフォビアからくるあらゆる暴力、病気や自殺なんかの高い危険性に晒されてるんだ。だから今、僕たちは前進して、これを機に団結しならなきゃならないんだ」

ドリュー・シトロン ミュージシャン、Beverly
「ストーンウォールの反乱があって死者を弔ったグリニッチ・ビレッジの街角に始まって、トランプ・タワーのペントハウスに至るまで、私たちの革命はリアルに前進してる。これからも前に進むのみで、決して後戻りはしない。私は、LGBTQの人権獲得のために道を切り拓いてきたこの街に暮らしていることを本当に幸運なことだと思ってる。これまでLGBTQの人々が築いてきたものは、その一歩一歩が美しい。それはすべて、血と汗の結晶なの。数千もの人々が外へ出て、喜びを分かち合い、一緒に歌い、踊り、好きな人を好きなように愛す——そうやって当たり前の人権を実現してきたの。ニューヨークに暮らして、今でも私にとって一番特別な日はプライドデーよ。LGBTQは本物の家族。私たちが勝ち取った範囲で、恥じることなく堂々と生きていいはずなのに、それでもまだ、様々な局面で自分たちを守る方法を考えなきゃならない。今週、言いようのない悲しさに襲われながらも、私たちは自分たちのコミュニティを癒し、お互いを守ろうと立ち上がってる。私はみんなに「注意しよう」と呼びかけたい。政治家やメディアには、人々の憎しみを煽るような言葉を発するものもいる。でも、私たちはいつだってお互いに優しく、愛し合う心と信念を忘れちゃいけないの。この国は、今ヘイトスピーチと無知に溢れている。でも、それに立ち向かうとき、ヘイトでやり返してはいけない。怒りを、何かほかのより強いものに変えないと。もっと鮮烈で、外に向かっているポジティブな力に。"強さ"はすでに私たちのうちにある——私たちが恐れることなく私たちらしく生きること——そして愛と団結を持って立ち向かうの。選ぶのは愛よ」

ジョー・ランパート ミュージシャン、アーティスト
「今できることは、亡くなった兄妹たちのことを考え、彼らについて語ること——彼らの名前を唱え、彼らを失った家族に愛を送ろう。これからすれ違う人、すべての目をきちんと見ようと思う。僕たちは、これから出会うひとすべてを大切にして、お互いを人間として認め合い、高め合っていかなきゃならない。無知と憎しみのターゲットとなったばかりの今だからこそ、僕たちは愛の輪を広げて心を通わせるべきなんだ。心を通わせて共に悼むこと以上に重要なことはないと思う。そしてこの悲しみを行動に変えていくということ。神聖で安全な僕たちのコミュニティのスペースに皆で集まって、壁ではなく橋を作らなきゃならない。僕は同志たちが大好きだ。今回、オーランドで亡くなった彼ら——宇宙から遣わされた清らかな天使たち——が大好きだ。僕たちはひとつ。これからもひとつでい続けなきゃならないんだ」

マシュー・マズール/DJ Mazurbate
「オーランドで起こった事件の一報を聞いたとき、世界が止まったように感じた。12月に俺自身、マイアミでヘイトクライムの被害に遭ったばかりで、あの時感じたこと、もう自分の中で処理できたと思っていたものを、今回の事件の一報を聞いたときにまた感じたんだ。より詳細な情報が報じられて、気がついたんだ——僕たちはもう隠れてちゃいけない、誰にも抑圧されるべきじゃないんだって。ヘイトクライムに遭って、精神的に回復してきたときに感じたことを、今また感じているんだ。僕たちに憎しみを抱くひとは、これからもずっと存在する。でもね、人間として、そしてLGBTコミュニティとして、僕たちが唯一できるのは、愛するということ、そしてその愛の輪を広めるということなんだ。愛は憎しみを凌駕する力を持っているからね。僕の祈りと心は今、犠牲者の家族とともにある。前に進むということは簡単じゃない。だけど、必要なこと。立ち止まってしまったら、彼らが勝ったも同然だから。勝つのはいつでも愛なんだ」

Credits


JD Samson, Lauren Flax, Nicole Sky, Luiza Sa-Davis, Jo Lampert, and Mike Q, photographed at The Stonewall by Christelle de Castro
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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