パリス・ジャクソンが語る、アクティビズム、フェミニズム、そしてドナルド・トランプ

初となるi-Dの表紙撮影を終えた直後のパリス・ジャクソンが、ネバーランドの向こう側からテキストメッセージをくれた。

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aug 18 2017, 1:05pm

This article originally appeared in i-D's The Acting Up Issue, no. 349, Fall 2017.

パリス・ジャクソンの思春期は、普通のそれとは違っていた。彼女は、世界一有名なミュージシャン、マイケル・ジャクソンのひとり娘なのだ。2009年、父マイケルが亡くなったとき、パリスはまだ11歳だった。それまでパリスと兄と弟は、恵まれた環境(一般社会から切り離されて奇妙ではあったにせよ)に育った。そう、2,700エイカーという広大な敷地に動物園やアミューズメント・パークがあるネバーランドに育ったのだ。おとぎ話のような世界に生きていたわけだが、おとぎ話の展開よろしく彼女たちの世界にも現実が襲いかかった。マイケルが亡くなると、彼女たちの世界が世にさらされ始めたのだ。パリスはメディアのスポットライトの中に放り込まれた。そして、世界の目が突如として自分に向けられたことで、彼女は大きく揺り動かされた。メディアがパリスの容姿——色白の肌、ブロンドの髪、そして青い瞳——について報じると、世界が「本当にマイケルは彼女の父親なのか?」と話題にした。そしてネット上には「デブ」「ブス」などのコメントが書き込まれ、パリスは深く傷ついた。女性にとって思春期はただでさえ苦難のときだ。ホルモンに振り回され、自分という存在に悩み、急速に変化する自分に戸惑う。彼女はそれを、世界が注視するなかで生き延びねばならなかったのだ。

同年代の普通の子どもたちが学校生活を謳歌していたころ、パリスは鬱と薬物中毒に悩まされ、幾度となく自殺未遂をおかすまでに至っていた。ユタ州にある更生施設でリハビリを行ない、母であるデビー・ロウとの親交を深めた19歳のパリスの人生観は、そこで変わった。以前よりはるかにポジティブになったパリスはInstagramで、自分を愛すること、そして心の平静の大切さを発信するようになった。そして今後は、世界の女性に対して、完璧さはただの神話でしかなく、幸福は未完成なものだという模範を示そうとしている。そして彼女は演技にも焦点をあてながら、最近ではCalvin Kleinの2017年秋冬コレクションの広告キャンペーンの顔に起用された。i-D最新号の表紙撮影を終えたばかりのパリスとのテキストメッセージのやりとりを、ここに紹介する。

こんにちはパリス!

どうもどうも。

気分はどう?

上々。あなたは?

わたしは元気。

それはよかった:)

週末はどうだった? なにしたの?

悪くなかった。たくさん仕事したし、本も読んだし。それからドラマ『スキャンダル』を観まくったわ。いつもどおりの週末よ。あなたは?

ロンドンから離れた田舎町で、友達がキリスト教式ではない結婚式を挙げて、それに参加したんだけど、これがクレージーだったけど楽しかったの。

いいわね!

週末の仕事ってどんな仕事だったの? エリザベス・テイラーAIDS財団に招かれたそうだけれど、どんな慈善事業に注力したいと思ってる?

ファッション界に揺すぶりをかけて、メディアが女性や男性にも強いている、あらゆる基準を変えたい。石油パイプライン建設もヤバイと思ってる。環境問題はわたしにとって重要で、地球を守るために自分ができることはなんでもやるつもり。

それを訊こうと思ってた。インスタの投稿を見ると、自分を愛することや、とても精神的なメッセージを世界に発信しているけど、どうやってポジティブな人生観を保ってるの?

ポジティブでいるには強い忍耐力と内面の強さが要る。それが投稿に反映されてるんじゃないかな。わたしは癒しの道の途中にいてフォロワーのみんなにはわたしがいま、その過程のどこにいるのかを見てもらって、彼らがなにかに"気づく"きっかけになれたらいいなと思って。

最近は、ひとが自分自身の身体をポジティブに捉えることの重要性が叫ばれていて、わたしも多様性を支持し、あらゆる体型の女性を「美しい」と思うのだけれど、自分のボディ・イメージとなるとなかなかポジティブに受け止められなかったりする。女性は誰しも多かれ少なかれ自分の体型に悩むものだと思うけれど、あなたはこれまで一貫して自分の身体に違和感を感じずに育ってきたのかしら? それとも、あなたも悩みの真っ只中にいるの?

残念だけど、わたしたちが生きるこの現実では、24時間365日ずっと自信を持つなんてほとんどムリ。特にメディアが私たちに吹き込んでいることを考えるとね。わたしも他の人たちと同じように数え切れないほどの不安や恐怖心を抱えてる。でもわたしたちはゆっくりと、着実にそこにむかって進んでいるのよ。だからこそわたしはファッションとビューティに着せられた汚名を晴らしたいの。そしたら世界中のひとが、あるがままの姿で美しいんだと感じるのは難しいことじゃなくなる。

あなたにとって「美」とは?

美は数字で測れるものでもなく、左右均等であることやシェイプ、そして色なんかで決まるものでもない。美——真の美は、ひとの心と個性、品位、志、そして考え方、口から発せられる言葉に込められたものによって測られるべきものだと思う。そのひとの立ち居振る舞い——そのひとのハートよね。

ファッション業界はゆっくりと多様性を受け入れはじめているけれど、なぜ今、それが起こっていると思う? なぜ、皆がボディ・イメージについて声を上げはじめているんだと思う?

若者たちが耳を傾けてもらえる年齢になりつつあって、それが彼らの望むこと、要求していることだから。彼らは変化と誠意さを求めているの。自分も、友達も、袖触れ合うだけの関係のひとも、誰もがあるがままの姿で美しいんだって、その存在を讃えること——それを彼らは求めている。メディアが書き立てる嘘や非現実的な期待にもうんざりしてるのよ。人種差別をするひとも、同性愛を毛嫌いするひとも、性差別を公然とするひとも、オープンな心を持った人間に数で圧倒されはじめている。だから世の中はもう、人の数だけある美しさをすべて認めざるを得なくなってきているの。他に選択の余地はないのよ。美の理想像はひとつじゃない。「美」をひとつの型にはめるなんてすごくつまらない。

メインストリームのメディアが、女性の姿と美の打ち出し方を変え、多様性を強く打ち出していかねばならないのよね。

もちろんそう、それがわたしのゴールなの。

どうやって実現するつもり?

まずは発言をして、この視点を広く知ってもらう。それから、自分がロールモデルになるってことかな。わたしは顔も体も左右対称じゃない。サイズ0でもないし、ジャンクなハンバーガーやピザも永遠に食べていられる。ブランド服はランウェイ仕様のサイズだったら絶対入らないし、顔も体も傷や脂肪線、それからセルライトだらけ。人形じゃない。人間なの。美の基準に従わなきゃならないなんてバカげてる。「完璧」なんて、ただの他人の感想でしかないじゃない。

本当にそうね。じゃあ、女性であることで一番大変なことってなんだと思う?

女性に対するダブルスタンダードはマジでクソだし、エロの対象としてばかり見られるのもクールじゃない。有名人だとあることないこと書かれたりするけど、そういうときもなんだか男性には甘いし。それと言うまでもなく、ヴァギナがあるからという理由だけで女性を尊重しないうちの大統領とか。ふつうに男性はイケてるし、女性のほうが特別優れているとかじゃないけど、女性は敬意と平等を得て当然だと思う。そうでしょ?

トランプはただのおバカさんよ……。

トランプはたくさんのひとを傷つけ続けてるけれど、同時にわたしたちの目を覚まさせてくれてもいるから……。世界に革命を起こそうとしているひとのモチベーションになってくれてることには感謝してもいいかもね。

現代のフェミニズムに関して、人びとはその本来の意味を誤解しているように思えるんだけど——過激な意味に取り違えて毛嫌いするか、過激に解釈して女性の優勢を実現しようとするかのどちらかのようにみえる。

それってフェミニズムとは違うじゃない。フェミニズムって優位を訴えるものじゃなく、平等を訴えるものだから。

そうそう。無知と違うものに対する 恐怖心なだけ。たわごともいいところよね。

男ギライな女性たちが「フェミニズム」という大義名分を使って、男性や社会に対する憎悪を正当なものとして主張している場合も多いから、フェミニズムという言葉にネガティブなイメージがついてしまっているというのも理解できる。でも、それって「キリスト教徒は全員KKK(クー・クラックス・クラン:アメリカの白人至上主義団体)」って言うのと同じこと。ひとつのグループとしてカテゴライズされていても、そこにはラディカルじゃないひともいる。宗教的にとか、政治的にとかなんでもいいけど。

そのとおりだと思う。若者として、いまできるもっとも勇敢なことは何だと思う?

学び続けること。賢明であること。人生にはいろんなことが起こるけど、自分に正直でいること。

あなたの言葉選びには脱帽。文章を書いてみようと思ったことはないの?

ありがとう! 書くのは好きだし、楽しいし、言葉で表現する練習にはなってるけど、これを突き詰めるようなことはないと思う。

演技のほうはどうなってる? いまもっともワクワクしているプロジェクトは?

楽しみにしてて:)

楽しみにしてる! 仕事や政治的な活動以外で、いま一番興味があるものは?

仕事以外の日は、ほとんど犬と家にいる。仕事がないときは本を読んだり。最近はエイリアン番組にハマってる。あとは時間があればキャンプとか。わたしの生活なんてそんなものよ(笑)。

夢のような生活じゃない!

メロウな生活って良い人生よね。

最後の質問。これからの夢と希望を教えて。どんな未来を切り開いていきたい?

目標は悟りに達すること。生きてるうちに達成できないかもしれないけど、少しでも近づきたい。その過程で出会うひとたちみんなにポジティブな影響が残せたらいいな。ホント幸せになりたいし。

素晴らしい! 今日はありがとう。最高なひとときだった!

こちらこそ♡

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Credits


Text Tish Weinstock
Photography Willy Vanderperre
Styling Olivier Rizzo

Hair Anthony Turner at Streeters. Make-up Lynsey Alexander at Streeters. Nail technician Marisa Carmichael at Lowe & Co. Lighting technician Romain Dubus. Photography assistance Colin Smith and Fred Mitchel. Digital operator Henri Coutant. On-set retouching Stephane Virlogeux. Styling assistance Niccolo Torelli, Eugenia Gamero, Emily Moiseve and Derik Johnson. Wardrobe co-ordinator Leonel Becerra. Hair assistance Simon Khan and Drew Schaefering. Studio manager Charlotte Arts. Production Simon Malvindi and Hye Young Shim at Red Hook Labs. Productions co-ordinators Kevin Warner and Francis McKenzie. Production assistance Austin Kearns, Alex Woods and William Mathieu. Casting director Ashley Brokaw.