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ヨルコ・バンザイ in ヨーロッパ

「摩訶不思議かつ、当然の必然的な出会いが良くあるんです」アートディレクター兼デザイナー・ヨルコバンザイ的遊学のススメ~スペイン、そしてこれからについて語る。

by Yukiko Yamane
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21 July 2017, 9:35am

アートディレクターであり、BANZAIデザイナー兼クリエイティブディレクター。アートとファッションの垣根を超越したクリエイションを絶えず生み出すヨルコ・バンザイから5年振りとなるベルリン訪問の知らせが届いた。聞きたいことは山ほどある。ベルリン最終日に彼の滞在先を訪ねた。

これまであまり語られていなかった遊学、特にロンドンでの遊学について教えてください。
「23~29歳にかけて、度々ヨーロッパを遊学していました。『BANZAI』を始めた27歳頃から遊学もより濃いものになりましたね。特にアンドリュー・グリーンとルイ・ネメスによって設立されたイーストロンドンのショップ兼ギャラリースペース、<Primitive London>の存在が大きく、今にも繋がっています。BANZAIも同店で取り扱っていましたね。当時アンダーグラウンド、インディペンデントシーンのブランドやアーティストなど面白い人たちが<Primitive London>に集まっていました。<COTTWEILER>など今でこそグイグイきているロンドンコレクションのブランドも当時はまだそこまで認知されていなかったように思います。

ミュージシャンで言えば<ENDGAME>のヘンリーは、当時本屋さんや彫刻をやっていたように記憶しています。音楽をやっている感じではなかったんですよ。そんな彼も去年来日ライブを果たしたり、東京ファッションウィーク17SSのキービジュアルビデオの音を製作してもらったり。当時遊んでなかったらこんなことなかったですね。<Palmistry>のベンジーは最近だと日本でMV撮影していました。スペイン滞在中にも偶然ラジオでかかってびっくりしましたね。<Primitive London> オープン時よりデザイナー、DJ、シンガーでもあるMADEMOISELLE YULIAとリニューアルイベントでDJなどしていました。映像作家のRiyo Nemeth、音楽を担当してくれたA.G.COOKなど、そこでの繋がりが先シーズンの東京ファッションウィークでの彼女のブランドGROWING PAINS 2017AWで手掛けたステージアートディレクションにも反映されています。他には今年東京でインスタレーションを開催したラテックスブランド<HYDRA>のアナ、ファインアートの<mayumi yamase>など、アンドリューとルイを介して、たくさんの才能のある人たちに出会えました。私にとってロンドンは単純にみんなに会いたいから行く、そんな感じですね」

遊学当時のベルリンはどうでしたか?そもそもあまりベルリンの情報が出ていなかった時期ですよね?
「初めてベルリンに来たのは25歳のとき。ニューヨークの恋人とパリで合流したものの、初日で別れ(笑)、とりあえずどこでも良いからパリを出たいと思っていたんです。それで行き着いた先がたまたまベルリンでした。当初予定してなかったですし、本当に無計画でした。それに当時は情報もあまり無かったですね。パリから駆けつけてくれた友達と一緒にコンテンポラリーダンスを見に行ったんです。確か<ピナ・バウシュ>。ベルリンの劇場は日本と違って、 開演中に雨か降ってきたり、ステージは土だったり、照明も工夫されてたり、ステージと客席の境目が無い感覚になり、とにかく感動しました。あとベルリンの劇場やギャラリーは広いなという印象でしたね、ロンドンと比べても奥行きがあるんです」

今回の旅で初めてスペインを訪れたそうですが、どうでしたか?
「<Foxy illustrations>とスペインの音楽フェス<Primavera Sound>と<Sónar Festival>へ行きました。日本に住んでいるとスペインでミュージックフェスティバルと言われてもピンとこないと思うんですが、ラインナップも豪華で、チケットも安いんです。ヨーロッパの方が音楽が浸透していると感じますね。Foxyは毎年スペインを訪れているため、彼の周りはクリエイターが多くたくさんの良い出会いがありました」

そういった出会いも重なって、特にスペインのシーンが面白いとお伺いしました。
「滞在先のフラットメイト含め、周辺にクリエイターが多く、そのうちの1人がショップ兼ギャラリー<Wer-Haus>で働いていました。友人の八木沢俊樹が主催している<ジャパンフォトアワード>で2014年優勝した<SATOSHI FUJIWARA>も<Wer-Haus>で展示をしていたこともあり、繋がりを感じましたね。スペインってそこまでファッションがあまり浸透していないイメージがあると思います。ただちょっと嬉しくなったのが、これはあくまで私の勘ですが、スペインにはアップカミング的要素がかなりある、開拓されていない穴場なんですね。ピカソやダリ、ミロなど有名な芸術家をはじめバレンシアガもロエベもスペイン。世間に広がっていない、知られていないだけでアートやファッションが根付いている気がするんです」

注目しているスペインのアーティストについて教えてください。
「<BIIS>はジュエリーブランドなんですが、ヨーロッパでよく見かけるゴミをテーマにシルバーで型取ったアイテムを展開しています。見た時に良い意味でやられたと思いました。<PALOMO>はショーを見たかったんですが、タイミングが合わず。ストリートウェアが王道の今、あえてこのスタイルという点が良いですね。そして写真やヴィジュアルの見せ方が綺麗ですごく上手いんです。普通男性がこういう服を着るとえ?ってなるのに、すっと入ってくる。それに<PALOMO>周辺はアップカミング的なアーティストが集まっています。ジャンルは違うけど、同じアティチュードをかなり感じました。そして今回の滞在先<Anastasia Bengoeche>は<VOGUE>にも掲載されているイラストレーター。私はスペイン語が読めないのですが、知り合い曰く人が気づかないところに絵と文章でついてくるため笑いが止まらないとか。彼女自体オープンマインドで周辺のクリエイター達も面白いです。若い時に海外へ行くのも結構刺激を受けて楽しいと思いますが、30歳過ぎて改めて行ったことない国に行っても、人を介して自分の知り合いに繋がるという摩訶不思議かつ、当然の必然的な出会いが良くあるんです。自分も日本のギャラリーに伝手があるからお互いトレードできれば良いなぁと思っています」

今回の旅を通じて感じたスペインとベルリンの違いについて教えてください。
「スペインは人がオープンマインドでキャラが濃くて面白い、馬が合うと感じました。ガハハハなノリありつつも、センシティブなものも共存しているーまるでスペインの映画監督ペドロ・アルモドバルの映画に出てくるキャラクターを彷彿とさせました。熱いけれど繊細な部分を持っている、良い意味で裏切られましたよ。ベルリンはいつ来ても変わらないですね。ああ、来たなぁって感じです。アートの展示やナイトライフがライフスタイルの一環になっていたり、移り変わりは早いのかなとも思います。そして、ベルリンは良い意味で二面性があります。スペインはそこまで昼も夜も変わらないイメージですが、ベルリンは昼と夜で違う顔を持っています。この少し影があるところが好きですね」

海外との繋がりも多いヨルコさんにとってSNSのありかたとは?
「職種にもよりますが、何をやるにもコネクションが必要です。SNSが氾濫している今、良い意味でも悪い意味でも有名、無名問わずクリエーターが見つけやすくなっています。正直どこを拠点にしてるとかもう意味無くなってんじゃないかなとも思います。家賃安くて、広いスタジオを持てるからとかもう昨今ナンセンスかと。それよりも職種とビジョンと目的によると思うんです。私自身海外に住みたいとたまに思いますが、しっかりとしたビジョンを持っていかないと時間もスペースも無駄にしてしまう。今はあるけどまだ見えない、ぼんやりとアウトラインが出来ていない状態です。今回の旅のきっかけの一つは遊学時代ロンドンで遊んでいた友達が今がんがんきて、花開いていること。そして彼らと仕事ができることが何より嬉しいです。そもそも感覚的にみんなで一緒に頑張ろうではなく、各々が自身の仕事と向き合っているーそしてあるプロジェクトをきっかけに一緒に仕事をするというスタンスなんです。あと、ベルリンに来て面白いなと思ったのは、SNSを身近に感じる機会があったことですね。自分が全然知らない人に会って、実はその人が自分の友達と繋がっている。SNSでやり取りをして会うっていう話は一般的によく聞くけど、私は違いますね。そもそもそんなにオープンマインドではないので(笑) SNSを見て良いなと思っている人に偶然会っている、コンタクトを取らなくても不思議と会えちゃったりしてる。引きが強いんですかね?(笑)」

最後にヨルコ バンザイのこれからについて教えてください。
「実はアートディレクションや<BANZAI>とは違ったパーソナルプロジェクトを進めていきたいと考えています。今までは<BANZAI>展示の際、アートピースを一緒に展示していたのですが、ファッションだと半年に1回ペース。それよりもっと時間をかけて何かを作り上げていきたいんです。アートディレクションなどクライアントワークと<BANZAI>はある程度順序立ててゴール地点が見えていないといけません。ただパーソナルプロジェクトはそれが見えないー 仕事を抜きにした時に自分が何を出すのかを自分でも知りたいんです。それがいつになるか分からないし、どうなるのか予想もつかない。だからこそ自分でも見てみたいのです。ひとまず今回の旅で撮影した写真を見直して、それを繋げて見出していこうと思っています。BANZAIについては、ロンドンのクリエーター達と今プロジェクトを進行中です。お楽しみに。また、アートディレクションに関してもBANZAIと並行し、日本、そして海外のクリエーターと今年取り組む案件が数件待ち構えています。ひとまず常に動かなければいけません。一生勉強、一生発見、一生修行です」

@YORUKO BANZAI
@BANZAI

Credits


Photography Bennie Julian Gay
Text Yukiko Yamane

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