東京コレクションスローバック:TSUKASA MIKAMI

東京コレクションのランウェイを振り返るシリーズ。独特の手腕でファッション界へアプローチするTSUKASA MIKAMI。武器よさらば、代わりに可憐な白い花を。

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27 april 2016, 3:55pm

電通を経て、デザイン事務所を立ち上げた後、2014年に自身の名を冠したブランドを立ち上げた気鋭デザイナー。異色な経歴の中で培われたビジネスセンスとグラフィックプリントを武器にファッションシーンへ切り込む、今注目すべき東京デザイナーの一人だ。今シーズン掲げたテーマは「THE PAIN OF OTHERS」。戦争をイメージしたそうだ。イメージソースはスーザン・ソンタグの『他者の苦痛へのまなざし』。長めのバングスに覆われているのでモデルの目はよく見えないけれど、きっと戦争に嘆き悲しい顔をしているのだろう。厚手のコットン素材にカモフラ柄、本気度高めのミリタリールックには、可憐な白い花が描かれている。その花は、アナスタシアやアネモネ、百合。それぞれ高潔、真実、純粋という花言葉を持つ。ファーストルックでは、この白い花はシャツの裾に少しあしらわれているだけ。ところが、コレクションが後半に進むにつれ、ルック全体を覆うほどカモフラ柄の上で咲き乱れる。白い花は平和の象徴。今は戦争やテロといった暗く悲しいニュースが後を絶たないけれど、争いのない世界へなったらいいというデザイナーの思いが込められている。個人的には、暴力的だったりネガティブなイメージを与えるアイテムは自分のワードローブに加えないというポリシーを持っているけれど、こんな風に明るい未来へ向けたポジティブなメッセージを持ったカモフラ柄なら着てみたいと思った。ジェンダーレスに楽しめる端正なシルエットも魅力。

Credits


Text Tomomi Hata
Photography Shoot Kumasaki