国境を超えて綴るThe Josephsのポエトリー

レナード・コーエンのリリックをバンド名に冠するThe Josephsの2ndアルバム『Dusty Dreams』が完成した。現在、ギニアと東京と大阪の3拠点で暮らす彼らがバンドを続けていく理由と方法とは?

by Hiroyoshi Tomite; photos by Haruki Matsui
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14 March 2018, 9:40am

アメリカ育ちのジュリアのハスキーな歌声と、南部なまりの発声にゼロ年代のUKロックを想起させるサウンドが早耳の人たちの間で話題になっている5人組ロックバンドThe Josephs。大阪で産声を上げたこのバンドは、それぞれの生活圏が異なりながらも、楽曲をインターネット回線に載せて送信しあいながらバンド活動を持続させ、織り姫と彦星よろしく、限りある逢瀬を大事にしてきた。絆を保ち続ける彼らの埃まみれの夢とは?

一The Josephsは大阪で結成されたバンドなんですよね。

吉田(Gt.):はい。最初は僕とギターの津田で宅録のバンドをやっていたのですが、ポツリポツリとメンバーを募集して今の形になりました。

野崎(B.):どのタイミングで入ったか覚えてないな(笑)。

村上(Key.) :僕は最初VJとして手伝っていて「Daytona Drive」のMVのディレクションをしていました。流れで「バンドも手伝ってくれない?」と言われてキーボードとして入ることになりました。

ジュリア(Vo.):2013年の終わり頃、私はボーカル募集の張り紙をネットで見かけて連絡しました。最初は友達として一緒にカラオケに行ったりしていたね。

津田(Gt):そうそう。ひとまず歌ってもらおうとカラオケに行ったら、むちゃくちゃうまくて。彼女にしか出せないものがあるなと思ってメンバーに加えることにしました。

一ジュリアさんはどんな風に育ったんですか。

ジュリア:日本で生まれて、アメリカで育ちました。祖母や親戚はブルーグラスとかアバラチアンフォークと呼ばれるルーツミュージックが好きで。彼らが教会や結婚式で歌っているのをみて育ったんです。

吉田:言葉ではうまく説明できないけど、彼女のルーツに根ざした説得力のある声だと思います。ずっと日本で育った人には出せないニュアンスのリズムと言葉遣いがあって......。

—ファーストアルバムが完成して、2017年の1年の間でジュリアさんはフランスのボルドー、イギリスのケンブリッジ、そして今はギニアのコナクリに住んでいると聞きました。楽曲制作はどんな風に進んでいったんですか?

吉田:基本的には、僕か津田がベースとなるデモを作って、津田がそれを楽曲にした後、ジュリアへデータを送ってます。そのときに仮タイトルとコンセプトを彼女に伝えて、幾日か経つとメロディーと歌詞が返ってくる、といった感じです。

—前作に比べて、楽曲にどこか吹っ切れた印象があるのですが、何か理由があるのでしょうか。

津田:そもそも前作はボーカルがまだ固定される前で、試行錯誤で作った曲も入ってたのですが、ジュリアがメンバーになるタイミングでできた「DUSK」の楽曲のテンションが気に入っていて。楽曲のルーツは僕や吉田が好きな2000年代のUKロックにあるんですけど、ジュリアが打ち出すメロディーとか言葉は違うところをルーツに持っていて、それがオリジナリティに通じているなぁと。自然とそこをさらに突き詰めていく方向になりました。

—アルバムに先駆けて2017年に発表された「Record Boy」も言葉のリズムが印象的な楽曲ですね。

ジュリア:はい。今作は自由にやりました。ボブ・ディランが語感やリズム先行のポエトリーリーディング調の歌を作っているように、南部なまりの発音をそのまま使ったり。ビートニク世代のアレン・ギンズバーグやラングストン・ヒューズの詩も参考にしました。

—環境の変化は、詩の創作にも影響を与えましたか?

ジュリア:コナクリに移り住んでから、自分が考えている悩みや苦労は、彼らの生活からすると信じられないくらいちっぽけだったことに気づかされました。補正された道路も少ない国での生活で、日常は大変なことも多いのに、みんな生き生きしていることに感銘を受けて。そういう街の情感は無意識のうちに歌詞に含まれているかもしれないですね。

津田:面白いことに「Hardly Know」の歌詞が、僕がイメージしていたメッセージと完全に一致していたんです。珍しく仮タイトルも通ったし(笑)。見ているものや育ってきた環境、ルーツは違っても、根底で共通する普遍的な価値観はあるのかもしれないと思いました。

—これからどんな風に活動していくのでしょうか?

津田:ジュリアがギニアに行くと決まったとき、もしかしたらバンドを続けられないかもと思った瞬間がありました。そのとき、The Josephsが自分にとって大切だと気づいたんです。メンバーが離れて暮らすなか、1年かけて作品を作り上げることができたのは、ひとつの奇跡だと思っています。今はこのメンバーでできるだけ長く続けること。それだけを大事にしたいですね。

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