キャメロット王国に思いをはせるMatthew Adams Dolan:2018AWニューヨーク・ファッションウィーク

2018年秋冬、マシュー・アダムズ・ドーランが追ったのはアメリカの伝説だった。

by Emily Manning
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16 February 2018, 7:46am

Matthew Adams DolanがランウェイのBGMに選んだのは、ミカ・リーヴァイの「Jackie」だったようだ。しかしバックステージで、デザイナーのマシュー・アダムズ・ドーランは、この激しく膨らみのある弦楽器の曲がかのイギリス人作曲家の作品ではないと確信した。だがジャッキー(ジャクリーン・ケネディ)の伝記は再読したと言う。それは特に印象深いある章だった。「『ライフ』誌のインタビューで、彼女がキャメロット王国についての考えを口にするところです」とアダムズ・ドーランは話した。

自身の夫が暗殺されてからわずか1週間後に、ジャッキーはジャーナリストのセオドア・H・ホワイトを屋敷に招いた。そしてそのインタビューの中で、JFKが大統領執務室で過ごした期間を、正義が支配する伝説の王国キャメロットになぞらえたのである。このインタビューは、パブロ・ララインが監督した伝記映画『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』(2016)の中でも正確に描写されている。

「彼女はこのひと言で、JFKの遺したものがどのように人々にとらえられるかというストーリーをつくり上げたのです」とドーランは述べる。「これは、ライフスタイルを売ることに特化した、アメリカの老舗ブランドにも共通することだと私は考えています。引き継がれていくもの、そして憧れがすべてなのです」

リアーナを好きな人なら知っている通り、アダムズ・ドーランは素晴らしいスタイルのワークウェアでその名を知られた人物だ。だが昨シーズン、彼が世に送り出したのは、チョアコートではなく、定番のオーバーサイズシルエットに落とし込まれたレモン色のケーブルニットのセットアップ。それは、菱型のモノグラム、ロゴ入りボクサーショーツやアノラックなど、Ralph LaurenやTommy Hilfigerといったカジュアル・ラグジュアリーの帝王たちによって築き上げられた規範を再提案する、画期的なコレクションだった。ドーランによる最新作もまたこのプレッピースタイルを継承するものだったが、より抑えられたものとなっている。

「アメリカのスポーツウェアというアイデアが頭にあったのですが、直接的なインスピレーションというわけではありませんでした」と彼は説明する。「昨今、パーカやロゴはとてもよく見るアイテムになっています。そこで、このアイデアをまったく文字通りにとらえ、デザインやカラーといった異なるやり方で提案しようと考えたのです」。では、ショッキングピンクや深いロイヤルブルーのタートルネックは? 「鮮やかな色合いのウインドブレーカーやトラックジャケット」から着想を得たのだという。

ドーランのビッグサイズシルエットは、DiorやGivenchyなど、ジャッキーが愛したフランスクチュリエを想起させるより構築的なデザインへと変えられている(Diorの“ニュールック”は文字通り戦後の女性らしさをかたち作ったが、ドーランによる細いウエストと広いショルダーのブレザーは、この方向性に沿ったものにも見える)。

アメリカ国民は世代を超えてケネディ王国に心酔し、ドラマティックに表現し、神話化してきた。アダムズ・ドーランのように知的に服をデザインする者なら、そこから新しいスタイルを見出さずにはいられないのだ。

All images courtesy of Matthew Adams Dolan

This article originally appeared on i-D US.

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