「誰かにとっての光になりたい」:岩田剛典 インタビュー

今年1月、Louis Vuittonの新アンバサダーに就任したEXILE/三代目 J SOUL BROTHERSの岩田剛典。ヴァージル・アブローによる2回目のコレクションショーを見届けるためパリを訪れていた岩田が、休暇の過ごし方や未来への展望を語る。

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22 April 2019, 6:24am

「チェックインしたら、予定までの30分だけでもホテルの周りを歩きます。常に自分の足を動かしてインプットをしていたいんです」。ヴァンドーム広場にほど近い滞在先のホテル一階に併設されたバーで、岩田剛典はそう語る。過密なスケジュールのなかでのパリ出張で疲れもあるはずだが、本人はいたってリラックスした様子で口調も落ち着いている。「空の色まで違いますからね」と。

CMなどで、優しい笑顔で癒やしの感覚を与えてくれるときもあれば、ステージで力強く踊り、また俳優としてはときにその穏やかな顔の裏に潜む人間の業を感じさせることもある岩田剛典。彼が今のようにEXILEや三代目 J SOUL BROTHERSで活躍することになるまでには、さまざまなインプットを自身の情熱に変えてきた過程があった。

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「幼いころ、 EXILEをテレビで見ていて、この人たちかっこいいなって心の底から思ったんです。クオリティの高いダンスに音楽、歌、それにファッションもセンセーショナルでした。ブラックミュージックのルーツを取り入れた彼らのファッションに憧れていたし、ボーカルのATSUSHIさんの坊主にラインを入れたスタイルを真似て、僕も同じ髪型にしたこともありました。男の子なら、あんなふうになりたいと思う人も多いんじゃないでしょうか」同時に、留学していたという兄からも影響を受けたという。「中学生のとき、兄がアメリカに留学していたんです。帰国するたびに、当時ヒットしたアルバムをお土産に買ってきてくれて、そのときのチャートの上位がHIPHOPだったので、よく聴くようになって、それもあってダンスを始めたんです」

学生時代、岩田がラクロスの選手をしていたのはファンのあいだでは有名な話である。そんな岩田が実際にダンスを始め、のめりこんだきっかけは一本の映画だった。「部活の仲間と小さなミニシアターで、デビッド・ラシャペルの『RIZE』という映画を観に行ったんです。『なんだこれは、人間がこんな動きができるんだ』という衝撃を受けました。とにかく力強くて、動きも素早くて」

『RIZE』には〈クランプ〉というダンスが登場するが、クランプが生まれた背景や、ゲットーでの暮らしからどう這い上がるかということもドキュメンタリーとして描かれている。「クランプというダンスのルーツにあたる精神的な部分や宗教観なども描かれていて、そこに生きている人が必死にもがいている。そんなところにも僕は心を打たれました」。素直に感銘を受けた岩田は、独学でクランプを習得しようと奮闘する。「スタジオに入 ってダンスを習うというのではなく、夜な夜ないろんな建物のガラスを鏡に見立て、踊 っている自分の体を映して、独学で練習していました」

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岩田に自分自身のダンスのスタイルは問うと、すぐに「クランプです」と返ってきた。「映画を見て魅了されたというのもあるけれど、クランプっていうのは、ダンススタイルであるだけでなく、カルチャーやライフスタイルに根付いたダンスなんです。自分を高めたり、仲間もハイプして。しかも、みんなでセッションするときは、ダンスで会話しているような、そんな気持ちになる。踊っているときは、自我を忘れていられるんです」

幼いころから憧れたEXILE、兄の土産のCDから触れたHIPHOP、そしてクランプとの出会いから道が開け、2010年からは三代目 J SOUL BROTHERSのメンバーとして活躍している岩田。彼にとって三代目 J SOUL BROTHERSとは、どんな存在だろうか。

「自分のすべてを変えてくれたグループだと本当に思います。僕は一生、三代目 J SOUL BROTHERSの一員だし、単にそこは職場とは言い切れないくらいの思いがある。メンバーに対しても、友達ともビジネスパートナーとも違う気持ちを抱いています」三代目として活躍してきた岩田は、2015年にオーディションを経て、幼いころから憧れていたEXILEのメンバーとなった。そのことを岩田は「会社の核となる部分に自分が来れた」と語る。いずれ彼はカンパニーの中心を担い、そしてそれをまた次世代に引き継ぐ役割に立つと誰もが期待している。そんな緊張感のある毎日のなか、リフレッシ ュやインプットはどうしているのだろうか。たとえば、今回のようにLouis Vuittonのアンバサダーとして訪れたパリで過ごす日々は……。

「今の仕事をしてると、アウトプットばかりでインプットの時間が本当にないんです。それって心も脳も疲れてしまう。でも、海外に来るとすべてのルールが日本と違ってて、そのことで自由に行動できる。自分にとっても良いインプットの時間になります。インプットすることがリフレッシュになって、日本に帰ると、『よし、仕事を頑張ろう』と思えるんです。かといって、海外でバカンスをしたいというわけでもない。アートやファッションや音楽に触れて、自分の活動にインスピレーションを与えてくれるような、そんな過ごし方をしたいんです。常にそういうインプットの時間はキープしたいですね」

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現在、EXILEをはじめLDHのアーティストたちは、歌やパフォーマンス、演技に限らず、それぞれがさまざまな分野で活躍している。岩田と同じくEXILEに所属するAKIRAはRalph Laurenでアジア人初のモデルに起用され、また小林直己はリドリー・スコットが製作総指揮を務める映画『アースクエイク・バード』に出演するなど、海外での活躍も目覚ましい。そうしたなか、岩田はこれからLDHの核となるべく、どんな活動を目指しているのだろう。

「2年前の1月に、ちょうどLouis Vuittonのショーに招待していただいて、そのときにアジアっていうのはやっぱり世界の真ん中ではないんだなと思ったんです。でも、そのことをき っかけに、世界の真ん中に入っていって、自分の力で勝負してみたいという気持ちにな ったんです。道のりは険しいけれど、限界点の見えない世界で、日本にいるときとは違う角度で自分を作っていくこともできるのかなって。そのときから英語を勉強しています。それと義務教育でダンスが取り入れられたり、国内でダンスが広がっているなかで、ダンスを通じての社会貢献をしたいという思いもあります。僕がやりたいことを突き詰めていく姿勢が、誰かにとっての光になればいいなとも思っています。もちろん誰もが頑張っている。僕はたまたまその頑張ってることをアウトプットして発信する職業にあるから、悩んでいる人たちの背中を押してあげたい。それは映画やEXILEに僕がしてもらったことでもあるわけで。僕も光だったり、希望だったり勇気だったりを言葉やパフォーマンスにして届ける、そんな活動をしていきたいと思っています」

さまざまなことに素直に憧れ、影響を受け、今もインプットを続け、そしてそれを光に変えて伝える立場になった岩田剛典。彼はヒーローへの階段を一歩ずつ駆け上がっている。

Web未公開カットはi-D Japan 『The Hero Issue』誌面にて。

Credit


AS TOLD TO KAZUMI ASAMURA HAYASHI
TEXT MICHIYO NISHIMORI

PHOTOGRAPHY HANNA MOON
STYLING DELPHINE DANHIER
Hair and Make-up Akemi Kishida.
Photography assistance Matt Kelly.
Styling assistance Celine Duong.
Production Ryan Benyaiche.

TAKANORI WEARS ALL CLOTHING LOUIS VUITTON.