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ヴァージル・アブロー流のMJトリビュート:Louis Vuitton AW19

Louis Vuittonの2019年秋冬コレクションで、新世代のファッション王は「マン・イン・ザ・ミラー」を参照し、ポップの帝王にトリビュートを捧げた。

by Steve Salter; translated by Ai Nakayama
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22 January 2019, 11:05am

Photography via @lubakilubaki

鮮烈なデビューを飾ったクリエイティブディレクターは、続くコレクションで〈セカンドコレクション・シンドローム〉に陥りがちだが、ヴァージル・アブローは違った。Louis Vuittonの2019年秋冬コレクションで彼が参照したのは、マイケル・ジャクソンの「マン・イン・ザ・ミラー」。ヴァージルはマイケル・ジャクソンの生涯、ポップの帝王が伝えようとしたメッセージ、マイケル・ジャクソンという存在の意味をコレクションとして提示した。彼は稀代のポップスターの輝きやきらめき、精神によって、日常着を高みへと導き、ラグジュアリーメンズウェアに新しい意味を加えたのだ。

「マイケル・ジャクソンは必然的に、そして彼のアイデンティティに関する進歩的な感覚をもって、カルチャーにおける定義不能の存在、普遍的に語られるであろう凄まじい存在となった」。ボリュームのあるショーノートでは、マイケルについてこう綴られていた。「地球上のすべての人間が、彼のなかに映る自分を見出した。老若男女が彼に熱狂した。時代のはるか先にいた男の子は、カルチャーに革命を起こし、今なお大きな影響力を及ぼしている。その男の子は、かつて私たちとともに歩んでいた。マイケル・ジャクソンは確かにここにいた」。そして今ヴァージル・アブローがここにいて、ファッションを一新する、新しい革命を起こそうとしている。

ヴァージル・アブローのLouis Vuittonメンズデビューは、かつてファッション界で目撃されてきたどの瞬間とも違う、重要な瞬間だった。なぜならそれは、ただ新鮮なラグジュアリーファッションを提案しただけではなかったから。それは新しい世界のなかで希望を歓び、多様性を祝い、美しさを賛美する、劇的な変革を体現していた。ヴァージルはファッションに存在する〈壁〉に闘いを挑み、打ち崩すことに成功した。新進気鋭のアウトサイダーから、フランスが誇る老舗ブランドのトップへと上り詰めた彼だが、彼のゴールはそこではない。彼は新しいファッションの青写真を用意しており、形作られつつある新しい言語に言葉を加えているところだ。実際にショーの資料の一部として、『ヴァージル・アブロー的語彙集』の第3版が参加者に配布された。彼の語彙は、ヴァージルというデザイナー、そしてLouis Vuittonのトップに上り詰めた彼の軌跡がどうしてここまで注目されるのか、その理由を示してくれる。平凡を非凡に変えるためには「3%」のひねりが必要。服に施すアクセサリーの「コンプレッソモーフォシス(圧縮形成)」。Louis Vuittonのデザインチームの多様な国籍を取り入れたズートスーツについて語った「フラギフィケーション(国籍化)」…。この語彙集が成長していけばいくほど、ヴァージルが今の、そして未来の言葉を語っていることが明らかになっていく。

会場となったパリのチュイルリー公園には、ブロードウェイと、演劇風につくられたマイケル・ジャクソンの短編フィルムにオマージュを捧げるため、NYのストリートが再現された。ラドローストリートとリヴィングトンストリートが交差する十字路を、モデルとしてキャスティングされたシェック・ウェス、ルシアン・クラーク、オクタヴィアンなどシティボーイのスターたちが歩く。日常的なエレガンスをまといながら、彼らが歩く都市の風景のなかには、アーティストのFutura、Lewy、Jim Joeによるグラフィティが。そしてサウンドトラックはすべて、デヴ・ハインズ率いるスーパーグループによるライブパフォーマンス。シルクサテンをまとったアルトン・メイソンがランウェイでバク転を決めると、私たちの向かい側のフロントロウから、ナオミ・キャンベルスケプタが拍手と歓声を送った。最近i-Dの表紙を飾ったティモシー・シャラメフランク・オーシャンは、自らの席で身体を揺らしていた。

もはやショーという言葉では足りない。それはエンターテインメントであり、祝祭であった。

This article originally appeared on i-D UK.

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