遊び心が生み出すミックススタイル:ジュリア・サー・ジャモア

i-D UKのスタイリストであり、ファッション・エディターも務めるジュリア。ポップな色使いとボーダレスなブランド選び、そのオンリーワンな個性の魅力に迫る。

by Mayu Yamase; photos by KO-TA SHOUJI
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10 April 2018, 12:00pm

どこか中性的で遊び心溢れるスタイルとに、遠くからでもすぐにわかる、最高にチャーミングなソフトアフロ。予定の時間より少し遅れて現れたジュリア・サー・ジャモア。「ごめんなさい。買い物しすぎて、スーツケースがパンパンで。閉めるのに自分がスーツの上に乗っていたりしていたら時間がかかってしまったの」と、あどけない笑顔とその愛らしい言い訳で、場の雰囲気が一気に明るくなる。フランスとセネガルというバックグラウンドを持ち、ロンドンを拠点にスタイリストとして活躍するジュリア。ミニマルなスタイリングの中にポップな柄もの、ハイブランドとヴィンテージのミックスなど、スイートなニュアンスと現代的なハイストリート感が際立つセンスは世界中から注目を集めている。誰もが一夜にして栄光をつかめるわけではないが、モデルとしてのキャリアを持つ彼女のスタート地点が人と異なっていたのは確かだろう。

「日本は16歳のとき以来」と語るジュリア。当時はモデルとして来日していたため、観光の時間もあまりなかった。「唯一いけたのが、キディーランドと古着屋! すごく楽しかったのを覚えてる。今回と行ったところはそんなに変わっていないかも(笑)」。モデル業のかたわら、もっとクリエイティブな仕事を目指していた彼女は大学を卒業後、i-Dのインターンとして働き始める。最初は2週間のつもりで始めた仕事が、3ヶ月、半年と伸びていき最終的には1年間働いた。そして、面白いのがその10年後には、スタイリスト兼エディターとしてまたi-Dに戻ってきていることだ。「i-Dで働いた1年間で本当にいろんなことを教わった。そのときから色んな変化はあったけど、今でも大好きなメディアだし、一緒に働けることをとっても嬉しく思ってる」

「AKIRA」がプリントされたSupremeの鮮やかな黄緑のスウェットに、茶目っ気溢れるChanelのハンドバック。隣でインタビューを受けている写真家で、i-D Japan no.5のカバー撮影も共にしたハーリー・ウィアーに、「あなたが着てるオレンジのトップス可愛いね。今飲んでるお茶の色ともピッタリ。この緑茶は、私のフーディーともマッチングしてる!」と、はしゃぐジュリアを見ると、なんとなく彼女が作り出すスタイリングが人を笑顔にすることにも納得がいく。「インスピレーションは? という質問をよくされるのだけど、私にとってそれは一緒に働く人たち。嬉しいことに、それは私の友達でもあるから、とっても助かってる。というのも、それはただのひとつの会話じゃなくて、ずっと前から続いてるものだから、そこにちゃんとしたストーリーが出来上がるの」

今回の撮影では、writtenafterwardsやFACETASMといた日本のブランドも多く使用したと話すジュリア。今まで見たことのないものや、新しいブランドを使ったスタイリングもインスピレーションの源になっているそう。

また彼女はNikeが新たに始めたプロジェクトのキュレーターとして選ばれた。2018年のファッションウィークに合わせてパリで行われたメディアイベントでは、ジュリアがキュレーションを手がけた部屋も展示。そこでは、彼女が実際にポートランドにあるNike本社に行き、今までのアーカイブコレクションを見て選んだ靴たちが並んだ。自身のスタイリングからも見て取れるように、大のスニーカー好きのジュリアにとってはぴったりな役柄だ。その中でも特にお気に入りのスニーカーを聞くと、アップテンポという答え。Supremeとコラボしたのが記憶に新しい一足だ。

「今後のファッションの行方は?」という質問は聞くのでさえ荷が重いことだけど、ジュリアのように第一線で活躍する人にとっては常にそばにある課題のようなものなのだろう。「今回日本に来て、改めて面白いなと思ったのがヴィンテージ。90年代や00年のものがたくさんあって、それらは今見るとほとんどが良いものだったりして、すでに良い服って溢れているんだなって、改めて気がついた。私も働いてるファッションの世界にとっては良いことではないけど、環境面、コンセプトとしては私自身すごく好きなこと」と、素直な感想を語るジュリア。

「スタイリストになるために大切なことは、オーガナイズできること。この仕事の90%は整理すること、それから目の前に起こった問題を解決していくこと。残りの10%がクリエイティブ。当たり前のことに聞こえるけど、撮影の準備をしていて、当日に必要なものがなかった時点で、自分がやりたかったスタイリングができなくなる。あとは直感を信じること、間違いを恐れないこと! 私も今までに本当にたくさん失敗してきたし、今だってまだするんだから(笑)」

ファッションの世界にいながらもどこか地に足がついたような答えが、彼女の個性そのものなのかもしれない。

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