Photography Kurt Krieger

誰もが憧れた90年代のレオナルド・ディカプリオ、貴重な独占インタビュー

現在公開中の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』ですばらしい演技をみせているレオナルド・ディカプリオ。i-DのThe Desirable Issueから『タイタニック』公開前、1997年、世の女性のハートをわしづかみにした彼のインタビューを掲載。

by David Cox
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26 September 2019, 6:42am

Photography Kurt Krieger

This article originally appeared in The Desirable Issue, no. 164, 1997.

レオナルド・ディカプリオは『ロミオ+ジュリエット』で映画界最大のティーンスターとなったが、彼はいまだに〈セックスシンボル〉を脱却できてはいない。

『ギルバート・グレイプ』でジョニー・デップと共演し、アカデミー賞にノミネートされた現在22歳のディカプリオは、〈最高の〉もしくは〈超期待の〉若手俳優、と称されることが多い。この文言は、50年代、すなわちジェームズ・ディーンやモンゴメリー・クリフトなど二枚目俳優たちの人気が高まりつつあった時代から、映画雑誌の読者にはおなじみかもしれない。ディカプリオは確かに、その系譜に名を連ねる。極上の容姿に恵まれながら、生まれながらの才能としか思えない演技をみせる俳優だ。

幼い頃からハリウッドで育ったディカプリオについて、すぐに飽きられ、数多の俳優たちが辿ったような短い俳優人生を送ることになるのでは、と考える向きもあるだろう。実際、彼はすでに『バスケットボール・ダイアリーズ』『クイック&デッド』『太陽と月に背いて』といった駄作や大コケ作品にも出演済みだ。

しかし、彼の評判は落ちてはいない。最近では、ウィリアム・シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』を大胆にアレンジしたバズ・ラーマン監督の『ロミオ+ジュリエット』で、ストリートパンクな主人公ロミオを演じ、作品に良い効果を与えていた。

とはいえ、本作で、主人公としての彼の能力不足にいよいよ光が当てられてしまった感はある。たとえば、戯曲を原作とした映画『マイ・ルーム』でメリル・ストリープやダイアン・キートンと共演し、脇役を演じるぶんには問題ない。

しかし、ジェームズ・キャメロンが監督/脚本/製作を勤め、莫大な製作費を費やした超大作『タイタニック』では、よっぽど必死にボートを漕がないと、彼は沈んでしまうだろう。

彼のプライベートに関してはさまざまな噂が流れているが、ディカプリオはそれをすべて難なく切り捨てる。誰もがうらやむポジションにいる彼だが、ユーモアのセンスと謙虚さは忘れない。彼の唯一の問題点といえば、幼い頃から映画界で育ったこと、そして、美少年然としたルックスが彼の魅力を大きく占める要素となっていることくらいだろう。

ただディカプリオは、テレビドラマ『愉快なシーバー家』や銀幕デビュー作『クリッター3』以来、多くの経験を積んできた。もし彼が正しく役を選べば、ジェームズ・ディーンら過去の大物たちとの比較(それは彼にとって重荷でしかないはず)をも生き抜き、息の長い俳優として第一線で活躍できるはずだ。その証拠はすでに揃っている。

──『ロミオ+ジュリエット』に出演することになった経緯を教えて。

監督のバズ・ラーマンが僕に脚本を渡してくれたんだ。当時の僕は、古典としての『ロミオとジュリエット』だったらそこまでやりたくないな、と思ってた。でもオーストラリアに渡って監督とのワークショップに参加したとき、彼が作品に取り入れたいと考えている斬新なアイデアについて教えてくれた。剣やゴージャスな衣装の代わりに、宗教的なテーマ、車、拳銃を使うってね。

どういうふうになるのか、正直見当もつかなかった。実は、これはうまく行きそうだなってようやく感じたのは、撮影の初日。原作よりもナチュラルに思えたし、必然性を感じた。

──それを聞いてビビったりしなかった?

まあ、『ロミオ+ジュリエット』は歴史上もっとも有名で、全世界で成功を収めてる戯曲だから、それを意識すると、そりゃこの作品に参加するプレッシャーはめちゃくちゃある。でも今回の作品の方向性のおかげで、むしろリラックスできた。もし、原作に忠実な作品だったとしたら、もっとナーバスになってたと思う。

今回は登場人物の話しかたも、不自然なブリティッシュアクセントってわけじゃないし、かなり普段と近い気持ちになれたよ。舞台はファンタジーの世界だけど、現代的なリファレンスがある。特に暴力とか、ギャングの抗争とか。だから普段と変わらなかった。シェイクスピアもきっと、自分の作品が長い時を超えても愛されてほしいと願ったはず。未来の社会に舞台を移しても違和感がないようなタイムレスな作品としてね。

──かつてあなたは、陰のある役に惹かれると語ったけど、ロミオは純粋にロマンティック。あなたにとっても新機軸だったのでは?

ロミオのことをちゃんと調べ始めたら、面白いなって思うようになったんだ。基本的にロミオって、ふわふわした恋愛体質、みたいな印象がある。でも彼のことを調べていくうちに、彼はどうしようもないロマンチストだと気づいた。

そんなときに彼はジュリエットに出会う。そして彼女は、「オーケー、もしあんたが真の男なら、今すぐ私と結婚して。何もかも投げ打って」という。だから彼はすべてを捨てた。命も、家族も、全部。そしてその女の子と結婚した。それって、誰かを、そのひとへの愛を、心から信じている人間として、褒め称えられるべき行いだと思うんだ。特にあの年齢で、自分の命も投げ打とうとするなんて。究極の悲劇だと思うし、究極のラブストーリーだよ。

Leonardo DiCaprio for i-D's The Desireable Issue
Photography Kurt Krieger

──役づくりは何をした?

ロミオに慣れるのにはちょっと時間がかかった。僕はどんな役を演じる時も、ゼロから準備していきたいんだ。自分がやってることを、最初から最後までちゃんと把握しておきたいし、やりながら学んでいきたい。

僕はメソッド演技を極めたわけじゃないから、すべての要素を収集したり、常にそのキャラでいるわけじゃない。撮影が進むにつれ、役に合わせていく、っていう感じ。さすがに、ロミオが経験する、感情の高ぶりに向けては準備した。彼は気楽な男じゃないし、ヘヴィな出来事に直面することになるから。

──シェイクスピアのセリフを理解するのは大変だった?

シェイクスピアの作品って、一節をとっても20通りもの解釈ができる。彼の特徴は、物語の最初に語ったことが、あとあとになって反映されること。何かの底に潜んでいたり、何かの象徴になったり。そういう流れのなかで、全部がまぜこぜになる。ただ、自分が何を目指しているか、自分がどんなキャラクターを演じているかははっきりさせておかないといけない。調整は結構必要だったし、みんなでたくさん練習もした。言葉を語るたびに感情を表出させるんだ。言葉を発しながらね。

だからこそ僕らは、相手がいったい何をいいたいのか、このキャラクターはどんな経験をしてきたのかを理解するんだ。たとえジョークであっても、ストーリーに関わっているかもしれないから。

──ジュリエット役を演じたクレア・デインズとは打ち解けた?

『アンジェラ 15歳の日々』っていうテレビドラマで彼女を知ったんだけど、そのときから熱心でエモーショナルな女の子だっていう印象。ジュリエット役に必要な要素をたくさんもっているなと思ってた。ジュリエットは、華麗で劇的なキャラクターじゃなくて、力強さが必要なキャラクター。だって、彼女はロミオに「もしそこまで私が好きなら結婚して。すべてに歯向かって」って命じるくらいの女の子だからね。僕らはそういうジュリエットを提示したかった。

クレアに会って、オーディションをしたんだけど、他の全員は原作に近いジュリエットを演じてたのに、彼女だけは僕の首の後ろを掴んで、キスしてきたんだ。「何が起きてんだ?!」って感じだったよ。彼女の行動にはあっけに取られたけど、クレアはちゃんとジュリエットのことわかってるんだな、と思った。

──数世紀にわたって上演されてきた物語に斬新なアプローチをしたということだけど、どうしてこの物語は愛され続けていると思う?

ひとつには、ロミオの魅力があると思う。彼はふたつの家族のあいだで交わされる暴力や憎しみのなかで、それより次元の高いもの、つまり愛を信じる。この映画でも大事なのが、愛されたいからこそ殺し合いにつながってしまう、とロミオが語る場面。このセリフは、今の世界にも共鳴すると思う。そういうのって、時代を超えていくんだと思う。

──本作で特に斬新な演出は、ロミオとジュリエットがプールで恋に落ちる場面。このシーンの撮影はどうだった?

バズは、あのあまりに有名な「おや、待てよ、あの窓から漏れる光は」のシーンをまったく別のかたちで表現したかったんだ。この作品では、あえてロミオをバルコニーの上に、そしてジュリエットをエレベーターで下に降りるようにして、ロミオの下になるように配置した。

そこまではまだオリジナルに則った演出って感じだけど、突然僕らがプールに飛び込むだろ。そこはいろいろと考えたよ。完璧に整うまでに、1週間半くらいかけた。保守的な演出にはしたくなかった。これまでとまったく違うものにしたかったんだ。うまくいったと思う。

──お気に入りのシーンは?

お気に入りのシーンか…何だろ、難しい質問だな。すべてのシーンがハードだったし。でも、みんなでふざけてお互いに罵り合うシーンかな。マキューシオとロミオがお互いの悪口を言い合うんだ。超楽しかった。お気に入り、って簡単な言葉じゃないよね。まあ、やってて楽しかったシーンってことならそこかな。

──あなたは監督といっしょに協力しながら本作をつくりあげた、という印象があるけど、監督からやってくれといわれたけど自分としてはやりたくなかった、ってことはあった?

うん、あった。最初、制作に入ったばかりの頃、登場人物たちにローラーブレードを履いて走ってもらいたい、っていわれたときはすぐに拒否したよ。あとは逆に拳銃を取り入れるか監督が悩んでいたときがあったけど、僕はダークなトーンが必要だと思ってて、最終的に監督も同意してくれて結局その方向性で進むことになった。すべての始まりとなる設定で自分の意見を伝えることができて、それが採用されてうれしい。

──メキシコシティでの撮影はかなりストレスフルだったのでは?

まあその通りだね。もともとそこは暴力や発砲が日常茶飯事で、具合悪いひともたくさんいるけど、それが僕らの撮影にも影響したから。殺人もあったし、僕らのスタッフもひとり誘拐された。かなりハードだったからみんな具合悪くなってたし。でも同時に、作品の糧にもなった。銃に囲まれての生活にも慣れたし。

──じゃあまた撮影でメキシコに行くのも大丈夫?

そりゃ、内容じゃなくて撮影場所で出る作品を選べたらな、って思うときもあるけど、それはどうしようもないから。

──もしインターネットの情報を鵜呑みにするとしたら…

すべて鵜呑みにしちゃダメだよ。それだけは確か。

──『ロミオとジュリエット』のラブシーンは、もっと過激になるはずだった、という記事がたくさんあるんだけど…。

それは読んだことある。クレアの胸を映すことについての是非についても語られてるよね。彼女はまだ未成年というのは事実だけど、それを意図したわけじゃない。メディアでは、いろんなことが歪められて報道されることがあるのはやばいと思うし、それで事実が誤解される。でも、それも全体からみればほんの一部なんだと思う。時が経てば、作品そのものだけが見られるようになる。今は作品を取り巻く諸々が注目されていたとしても。

──メディアで事実が歪めて伝えられることに関しても、余裕で対処できるようになった?

今言ったとおり、何が起こったとしても、結局雄弁なのは作品だけ。それが事実だから。僕についてもいろいろおぞましい報道がされてるけど、どれも正しくない。フェアじゃないと思うこともあるけど、でも全部まったくいわれのないひどいウソだから、腹を立てることも全然ない。何が起こっても気にならなくなれば、結局、そういうウソだって自分の人生を面白く飾り立ててくれるものになるのかも。いつか出る自分の伝記にそういうニセ情報が詰め込まれてたとしても、より興味深い人間だ、って印象を与えてくれるだけだよ。

──いつか誰かが自分の伝記を書いてくれるかも、って考えたことある?

映画界で揉まれ続けてきて、1本撮影が終わったら次また次…っていう感じでやってきた。いろんなことを学んで、より良い作品をつくって、新しい何かを試して。そんなんだから、過去を振り返る機会なんてない。僕は今21歳だけど、すでに結構な数の映画に出てきたし、なかには傑作もある。自分のことをちょっとは誇りに思い始めてきた。自分のポジションには満足してる。
僕の同世代が僕の作品を観てくれてるのは知ってるし、それって僕の名前が知られているってことで、クールだよね。将来どうなるかはわからないから何も言えないけど、僕が正気を保っているかぎり、この仕事は続けると思う。

──それってつまり、スクリーンであなたの演技を期待する観客が多いということだけど、演技が上達し、知名度が上がるにつれて、プレッシャーも高まっていくのでは?

そうだね。でも、撮影中はそんなこと考えてる暇はない。気にしちゃったら100分の1の実力も出せないよ。それを気にしたら演技に影響が出ることは身にしみてわかってる。実際僕もそんなことばっかり考えちゃうし。難しいよ。いちど最高の演技をみせたって、これから先も最高の演技をみせられるかっていったら違う。

だからおかしくなっちゃう名優もいるんだ。「どうしちゃったんだ、みんなもう俺のこと嫌いなのか?」って。そういうことは確かにあるし、理解もできる。誰だって陥る可能性があるトラップだ。僕だって、そうなったらどうすればいいかわからない。数年、精神科病院に入院することになるかも。

でも、今のところは気にしてないから大丈夫。周りの声はどうでもいい。自分がホットな俳優だと思われていればホットだし、ホットじゃないと思われていたらホットじゃない。真実だと言われたらそれが真実なんだ。

──そして次の作品は『タイタニック』。

僕にとっては初めての商業作品だけど、納得はできてる。僕はそっちの俳優じゃないから、今後もそういう作品ばかり出るってことはないと思う。『タイタニック』はストーリーがめちゃくちゃ良くて、感情豊かでリアルな登場人物が出てくる唯一の作品だった。サイボーグみたいなものを演じるわけじゃなかったし。

商業作品だろうがそうじゃなかろうが、この作品には出演していたと思うし、僕はそうやって自分の出る作品を選ぶ。ヤリチン男がヤリ逃げしまくるみたいな作品にはならないよ。にしてもヤリチンなんて言葉どこで覚えたんだっけな。

──『タイタニック』はどんな作品に?

同じ船に乗ったふたりのラブストーリー。身分の低いアーティストと上流階級の女の子が出会い、恋に落ちる。彼らの社会、世界の当たり前に抗うんだ。そして船が沈む。

──ケイト・ウィンスレットの裸体を描けるなんて、なんという幸運。

ほんとその通りだよ。ケイトは最高。クールだし。

──ふたりともキャラクターが強烈だから、クランクアップ後も役が抜けなくて大変だったのでは?

ケイトはどうだったかわからないけど、僕は役を落とせるタイプだよ。演技は演技だってわかってるし、シーンとシーンのあいだにジョークを飛ばしたりも平気でできる。それくらい自然体でいられるし、それが僕にとって健全なありかた。しんどいシーンを演じてるときって、役に入り込んで実際に体験してる感じなんだ。それって俳優の身体にとってはストレスだ。叫んだり泣いたり、ウソではできないからね。いや、まあできるんだけど、本当らしくみせるにはウソじゃダメ。

とにかく僕は大丈夫。別に四六時中役に入り込んでいなきゃいい演技ができない、とは思わない。

──来年のアカデミー賞ではあなたの受賞が確実視されてるけど、自分ではどう思う? 考えたことある?

あるよ、考える。人間だからね、当たり前だよ。もちろん、起こってもいないことに期待はしたくない。アカデミー賞に抱く感情って、複雑なんだよね。『ギルバート・グレイプ』でノミネートされたときも変な感じだったよ。正直受賞したくなかった。だって、常に大きな期待を背負わないといけないから。どの作品でも完璧を求められるし、それを叶えられなかったら「オーケー、あいつはもういらない。いちど運が良かっただけだ。あいつは終わり」って感じだろ。

まあ、アカデミー賞のことはあんまり考えたくない気持ちもある。一筋縄じゃいかないからね。どう向き合ったらいいかなんて、誰にもわからない。僕は、今やってることをやり続けるだけ。願わくば、たくさんのひとに僕の作品を観てほしい。

This article originally appeared on i-D UK.

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