SONOYA WEARS ALL CLOTHING CHANEL.

ハリウッドのステージを駆け上がる ソノヤの華麗なステップ

バレエ学校で本格的な教育を受けたソノヤ・ミズノは、2015年、アレックス・ガーランド監督のSFスリラー映画『エクス・マキナ』に出演し、スクリーン上で軽やかな踊りを見せた。そうして世界中の観客を虜にした人気急上昇中のソノヤが、ハリウッドに向けての夢やダンスリハーサルの様子、アートにともなう試練について語った。

by Colin Crummy
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14 June 2016, 1:48am

SONOYA WEARS ALL CLOTHING CHANEL.

さて、まずはじめに映画史における有名なダンスシーンを思い浮かべてほしい。パトリック・スウェイジとジェニファー・グレイが『ダーティ・ダンシング』(1987)でキャンプを盛り上げたシーンや、ジョン・トラボルタが『サタデー・ナイト・フィーバー』(1977)でディスコダンスを披露したシーンなどはすぐに思い浮かぶ。また、ダンスが映画のメインテーマではない作品からも、チャニング・テイタムが『マジック・マイク』(2012)でストリップダンスを踊るカットや、ユマ・サーマンとジョン・トラボルタが『パルプ・フィクション』(1994)で垣間見せるダンスなどが挙がるだろう。オスカー・アイザックとソノヤ・ミズノ(Sonoya Mizuno)が『エクス・マキナ』(2015)で見せたダンスシーンは、鑑賞者の意表をつくものだった。そのシーンは、YouTubeで10万回以上再生され、雑誌『Vanity Fair』では2015年における映画界最高の業績として称賛を浴びた。『エクス・マキナ』は、ダークで、人工知能に恐怖感を抱く映画だが、演出家のアーサー・ピタがオリバー・チータムの「Get Down Saturday Night」に合わせて踊るシーンを取り入れたことによって、映画のムードは一変した。アメリカのTV番組にディスコダンスを披露するために呼ばれるほど、ダンスに定評があるアイザック。しかしソノヤも彼に負けず劣らずのパフォーマンスを見せた。彼女は、シリコンバレーの狂った億万長者であるアイザックのアシスタント(ロボット)役を演じた。ダンスシーンでは、アイザックと息ぴったりに踊っている。

この『エクス・マキナ』でソノヤは、自身初となる長編映画への出演を果たした。見る者を楽しませ、驚かせた彼女の演技は、瞬く間に観客を魅了していった。新しい映画『The Gift』の撮影のためルイジアナにいる彼女は電話口で「びっくりしてるわ。Instagramに、『私も振付を練習しています』ってメッセージがどんどん送られてくるの。完璧に踊れるようになりたいから、リハーサル風景のビデオをもっと投稿してほしいって。本当に面白いでしょ?」と彼女は話す。メッセージを送る人たちが気づいているかはわからないが、ソノヤの動きを見て練習することは、プロから直接学ぶということに値するのだ。

現在27歳のソノヤは『エクス・マキナ』に出演する以前に、すでに立派なバレエキャリアを築き上げていた。日本人とイギリス人のハーフで東京に生まれ、イギリスのサマーセットで育った彼女は子供の時に叔父の勧めによりロイヤル・バレエ・スクールに通う。小さい頃から女優になることが夢だった彼女に、俳優だった叔父はダンス学校から演劇学校に移るルートが1番いいと勧めた。しかし彼女はバレエの虜になり、演劇学校に進むことはなかった。彼女は、ダンスのなかで最も難しいバレエを習い始め、6カ月後にロイヤル・バレエ団のオーディションを受けて入学、10年後見事に卒業した。「バレエが好きだったの。ただそれだけよ」。バレエダンサーの苦悩を聞いてみると、「人工の爪がずっと右足の親指に入っているの。決して綺麗なものではないわね」と笑って答えた。

「学生の頃、ファッションフィルムの撮影をしたの。バレエ以外のことにも挑戦したかったから」と話すソノヤは、スコティッシュ・バレエ団やイングリッシュ・ナショナルバレエ団と短期契約を結ぶ一方、日本ではフリーランスとして活躍し、ChanelやAlexander McQueen、Yves Saint LaurentやLouis Vuittonのモデルを経験。そして、『エクス・マキナ』への出演は大きなブレイクとなった。

この映画のダンスシーンは、あらかじめダンスオーディションが行われたわけではなく、まったくの偶然だった。それまでの経験ひとつひとつが彼女を次のステップへと導いているようだ。『エクス・マキナ』の撮影が終わってからのソノヤは忙しい。昨年は、イギリスのインディーズ映画『Alley Cats』に参加し、注目の俳優、サム・キーリーや女優のエレノア・トムリンソンらと共演。そして現在は、スリラー映画『Gifted』の撮影をしている。ソノヤが、親友でありライバルの天才バイオリニストの精神を、じわじわ狂わせていくストーリーだ。「次の映画では、私が彼女を壊していくの。楽しいわよ。『ブラック・スワン』にも似てるかな。主人公のバイオリニストは、現実と想像の世界があやふやになってしまって、だんだんと崩壊していくのよ」とソノヤは説明する。

彼女の次なるステップは、エマ・ストーンやライアン・ゴズリングも出演するクラシカルなミュージカル映画『La La Land』への出演だ。ソノヤは、エマ・ストーンのルームメイト役を演じる。「『雨に唄えば』みたいな50年代のハリウッドミュージカルなの。舞台のセットは現在のロサンゼルスなんだけどね」。演劇学校に行かなかった彼女にとって、歌うパフォーマンスはこれが初めてになる。ダンサーとして踊りながらも、女優への夢を実現するための大きなチャレンジだ。彼女は、スコティッシュ・バレエ団にいる間、歌のレッスンを受けていた。「ドラマの『Glee』を見て、これなら私にもできるかもって思って、歌のレッスンを受けることにしたの。だから『Glee』には本当に感謝しているわ。2年間レッスンを受けて、エマとライアンの2人と共演できることになったのよ」

ルイジアナでの撮影が終了したら、彼女は現在拠点にしているロサンゼルスに戻る予定だという。単にLAが好きというだけではない。彼女が思い浮かべている、次なるステップに進むためなのだ。「家から離れることで、自分にプレッシャーをかけているの。目標を達成するためにね。ダンスはいつでも私の基本よ。今でも大切な存在だわ」とソノヤは話す。彼女はこうして、映画業界を一歩一歩つき進んでいる。

『エクス・マキナ』
監督・脚本:アレックス・ガーランド 出演:ドーナル・グリーソン アリシア・ビカンダー オスカー・アイザック ソノヤ・ミズノ 2015年 イギリス 108分 配給協力:パルコ  ユニバーサル映画 ⓒUniversal Pictures 全国ロードショー中
http://www.exmachina-movie.jp/

Credits


Photography Columbine Goldsmith
Styling Leah Henken
Text Colin Crummy
Hair Ramsell Martinez at Streeters LA using Bumble and bumble
Make-up Tsipporah Liebman using M.A.C Cosmetics
Photography assistance Shayan Asgharnia
Translation Aya Tuchii

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