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Fashion

UNION TOKYO、神宮前に現る:クリス・ギブス interview

バイヤーになりたい人は必見。

i-D Japan

Photography by Sam Massey

UNION(ユニオン)はセレクトショップの先駆けとして、1989年にニューヨークのソーホー地区で誕生した。当時はまだ、ファッションの時流に乗っていなかったストリートウェアを店の棚にいち早く置き、SupremeやStussyをファッションファンに向けて展開していった。90年代後半には、visvim、NEIGHBORHOOD、A BATHING APEといった日本発のブランドを積極的に買い付けるなど、今日のセレクトショップのあり方に大きな影響を与えてきた。ストリートとラグジュアリーが急速に接近してきている今、その先駆性は時代によって証明されているが、UNIONは今この瞬間にも新たなブランドを探し続けている。そんなショップのDNAを受け継ぐUNION TOKYOが先日、神宮前にオープンした。NY店で長年バイヤーを務め、現在はオーナーのクリス・ギブスに、買い付けの面白さや、長く残るブランドの特徴をきいた。

——業界の他の仕事ではなく、バイヤーやショップ経営に惹かれたのはなぜですか?

それが僕の得意なことだからです。キュレーションしたり考えをシェアしたり、新しいものを人に紹介したりするのが好きで。クールなものを人に教えると、すごく嬉しいんです。それに僕は社交的ですから。知らない人に会ったり、新しいアイデアや考えに触れることが大好きです。小売店で仕事をしていると、毎日のように新しい出会いがあります。実はショップが大きくなるとそういうことをする機会がどんどん減るので、時折どうやったらもっとその機会を増やせるか考えるくらいで……店長を他に雇って、僕は売り場に戻るとか……なんてね。

——最初に買い付けたブランドを覚えていますか?

でもあの頃は毎週のように新しいブランドを発掘してたけど、思い出せないですね……。常にチームプレーでやってましたから。ボビー・デイのYard Inc.は、初期の頃に僕が先頭に立って発掘したブランドです。ほかに思いつくものといえば、Visvimでしょうか。扱い始めた当初は、フットウェアしかありませんでした。でも服もつくるようになって、すごく革新的になったのを覚えています。うちではフットウェアより服の方が売れていて、今やトップセラーですよ。

——ショップの服やブランドはどのようにセレクトするのですか? もっとも重要視するのは?

いちばん大事なのは、それがヤバいかどうか。2番目は、オリジナルなものかということ。それをほかにやっている者はいるだろうか? もし先達者がいるのであれば、それよりもっといいものになっているかどうかをみます。3番目は、拡張性があるかということ。流行りものであれば、長続きするかということです。僕が探し求めているのは、ワンシーズンだけではなく、長い年月をかけて成長していくことができる、ほかにはない新しくて素晴らしいデザイナーなんです。

——買い付けにおけるいちばんの誤解は?

みんなこう思っているんです——ファッションショーに行って、ランウェイのモデルたちを見たあと、オーダーをする、終了。実際はまったく違う。少なくとも僕はランウェイで判断することはほとんどありません。ショールームで試し、素材に触れ、シルエットや見た目をチェックして決めます。そのあいだずっとエンドユーザーはどういう人なのか、彼らがその服をどうやって着こなすかを想像するのです。

——東京にショップがオープンしますね。ほかのショップとの違いは何ですか?

主たる、そしてただひとつの違いは、この店が僕のアイデンティティをより濃く反映していること。ロサンゼルスの店舗は、買い取ったものでしたからね。それにひきかえ、東京店は僕が基礎から築き上げてきたものです。より新しく、より大きく、より良くなっています。

Photography by MASAHIRO YAMAMOTO

——あなたをファッション界に導いたものとは何だったのでしょうか。

正直、ものすごく長いあいだ、ファッションに興味がなかったことは確かです。ニューヨークに移住して、当時のガールフレンド(現在の妻でパートナーであるベフィ)に出会うまでは。彼女が僕にUNIONでの仕事をくれたんですよ。当時の僕は汚れたスケーター/バックパッカーで、スケートやヒップホップのほうがずっと魅力的で、ファッションはまったくだった。ですがUNIONで働き始めてからさまざまな素晴らしい発想に触れ、魅了されていったのだと思います。

——ご自身のキャリアにもっとも影響を与えた人やものは何ですか?

とても壮大な質問ですね。外せないのは、メアリー・アン・フスコとジェームス・ジェビア。UNIONの創設者で、僕の元雇い主です。それからUndefeatedのエディー・クルーズは、今僕が持っている知識をすべて教えてくれました。それから日本のストリートウェア文化からはいつもインスピレーションをもらってるよ。日本を見て、物事はこんなにも高いレベルにまで引き上げられるということを学んだんです。それは、今まさに僕が目指していることでもある。また、人生で成功を収めるためには、どこかの時点で自分自身を心から信じる必要があります。自分自身を知らなければならないのです。

——ご自身の仕事から得る、最高の見返り、そして最低の見返りは?

最高の見返り:旅をして、未知の人と出会えること。そして知らなかった人や文化と出会い、自分とは違うライフスタイルを目の当たりにできます。
最低の見返り:年末に、在庫品がセールになるとき。何が売れなかったか、どんな間違いを犯したかを見ることになりますから。僕が大好きなものが、誰の目にも止まらなかったことも数知れず。素晴らしいプロダクトや発想が理解されないのを見るのは悲しく、憤懣やる方ないものです。

——ご自身は何を着ているのですか?

ありがたいことに、自分が好きなものすべてでショップをキュレーションできています。UNIONにあるほぼすべてのものは、僕が自分の目で見て、個人的にほしいと思ったアイテムから始まっているのです。そこで種が蒔かれ、成長する。かつて僕がBIRKENSTOCKを履いているのを見て、みんなからかったものです。今では誰もが履いていますけどね……。

——ご自身はフレッシュなブランドを発掘する一方で、数あるブランドとともに成長してきました。長く残るブランドとはどのようなものだと感じていますか?

以前の質問の答えの中であげた優先順位に戻るのですが、ヤバいか? そしてオリジナルか? オーセンティックか? それをすべて満たしていれば、長続きするのはほぼ間違いありません。こんな言葉があります。「本物には本物がわかる」