サマンサ不在の『SATC』続編 ファンの私が思うこと

続編制作が発表された人気ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ』。しかし、本作に欠かせない存在であるキム・キャトラルは出演しないという。

by Roisin Lanigan; translated by Nozomi Otaki
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13 January 2021, 12:15pm

そこそこ美味しい、みんながいうほど粉っぽくない、と自分に言い聞かせながらダイエットアイスクリームを食べたことがあるひとなら誰でも、本物が手に入らないときに残念なニセモノで自分を満足させようとするのがいかに無駄な行為かは痛感しているだろう。この論理は番組のリブート版や続編にも当てはまる。その代表例が、メインキャラクターのひとりが不在のままHBO Maxで配信予定の『セックス・アンド・ザ・シティ』続編だ。

サマンサ・ジョーンズを演じたキム・キャトラルは、本作には参加しない。NYで暮らす4人の女性を追うこの人気ドラマは、新章ではおそらく郊外に引っ越す予定の3人の既婚女性の物語となる。今年1月10日に発表された情報によると、続編のタイトルは『And Just Like That…』で、サラ・ジェシカ・パーカーがキャリー役、シンシア・ニクソンがミランダ役、クリスティン・デイヴィスがシャーロット役を続投する。

前作とはひと味違う、ザラザラとした風合いのトレーラーはすでにサラのInstagramで公開済み。全10話構成で、50代になった3人の恋愛や友情を描くという。米国でいまだに猛威を振るう新型コロナウイルスの影響で撮影はまだ始まっていないが、春には開始される予定だ。

『セックス・アンド・ザ・シティ』が1997年にHBOで放送されてから実に24年(!)が過ぎたが、続編のトレーラーを見る限りでは、オリジナル版を成功へと導いたテイストも受け継いでいるように思える。ぼやけたNYの高層ビル、「考えずにはいられない……彼女たちは今どこにいるの?」というキャリーの声。しかし、サマンサなしでは、どこか懐かしさに浸りきれない。

 例えば、リブート版『セックス・アンド・ザ・シティ』が制作されるというなら、まだ納得できる。あの『トゥルーブラッド』も『ゴシップガール』も、リブート制作にゴーサインが出ている。問題は、残りのつまらない3人の近況に、みんな本当に興味があるのか、ということだ。

 おそらくシャーロットはマスク着用反対派になり、それが原因でミランダと不仲になり、ミランダはミランダで食料品店の行列や誰もソーシャルディスタンスを守っていないとTwitterで文句を垂れ、キャリーは屋外でしかブランチが食べられないせいで、またタバコを吸い始めているだろう。

 ブレイディはきっと学校でコロナに感染し、スティーブを殺害する。シャーロットは地元のオーガニックなカフェで、間違ったオートミルクを出されて騒ぎ立てる迷惑な客になっているところを録画されてしまい、仕事の契約を解除されるのではないかと怯える。

 新興メディアがジャーナリズム業界を崩壊させていることに気づいたキャリーは、〈あなたの月経サイクルのための新たなUber〉とかいうアプリのコピーライティングで、なんとか食いつないでいく。ミスター・ビッグはQAnon(※トランプ政権の内情に詳しいと主張するQの匿名投稿に基づくとされる陰謀論コンテンツ)に危険なほど傾倒し、大統領選で2回ともトランプに投票したという噂も否定しない……。

サマンサ・ジョーンズが引き起こすカオスがなければ、新シリーズは私のこんな妄想以上にありきたりなものになるだろう。作品の外でも、サラとキムの現実世界での確執を踏まえれば、キムの出演決定はさらなるドラマを巻き起こしてくれたはずだ。

『ダーティ・ダンシング』と『きみに読む物語』から私たちが何か学べるとすれば、名作とそれに付随する最高のゴシップは、俳優たちが互いを心底嫌い合い、毎日いやいや出勤するようなセットからこそ生まれるということだ。

 私はキャリーとサマンサの喧嘩が見たい。翡翠の石を使った膣トレにハマりこみ、尿路感染症の治療を受けるサマンサ。マッチングアプリ〈Hinge〉をプロ級に使いこなし、他の3人に使い方を教えるグループ最年長のサマンサ。そんなサマンサが見たい!

現実世界ではつらい状況が続いているからこそ、私たちにはつかの間の休息が必要だ。その〈休息〉とは、キム・キャトラルがOnlyFans(※クリエイターがファンに専用のコンテンツを提供するサブスクリプション型のSNS)に登録し、結局年下の誰かに貢ぐことになる、そんなストーリーを鑑賞することに他ならない。

延々と続くロックダウンの生活に、何もかも最悪な状況で溜まりに溜まった不満が爆発寸前な今、もしこの新シリーズがサマンサが死ぬエピソードで始まったら、私は絶対に許さない。

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