Instagram @imma.gram / @verdy

東京のストリートシーンに欠かせないクリエイター11選

『sabukaru.online』×『i-D Japan』。日本のサブカルチャーにまつわる情報を発信する話題のメディアに、現在の東京のストリートシーンに欠かせないクリエイター11組を紹介してもらった。

by Adrian Bianco, and Casey Takumi Omori; as told to MAKOTO KIKUCHI
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27 April 2022, 6:52am

Instagram @imma.gram / @verdy

sabukaru.online』とは、日本のサブカルチャーの古今東西を英語で発信する唯一無二のオンラインマガジンだ。HIROMIXや、北野武、Y.M.O.といったカルチャー界のレジェンド達から、日本で暮らす者にとってはなじみ深いポカリスウェットやアサヒビールのパッケージデザイン、さらにはお茶の間で人気の長寿番組『はじめてのおつかい』まで——彼らが取り上げるトピックは多岐にわたる。

今回i-Dは、そんな『sabukaru.online』に東京のストリートシーンにまつわる寄稿文を依頼した。これまで何度も日本のストリートカルチャーを取りあげてきた彼らは、現在の東京のシーンをどう読み解くのか。

ここからはマガジン創設者のエイドリアン・ビアンコとエディターの大森ケイシー拓実がお届けする

東京がストリートカルチャーの中心地のひとつであることは、周知の事実だろう。この地のアンダーグラウンド・ユースシーンは常にクリエイティブなエネルギーに満ちており、世代を越えて、国内外に影響を与え続けている。

日本でいわゆる「ストリート」シーンが開花したのは、1990年代。渋谷は神宮前〜千駄ヶ谷までのアパレル密集地から発信された〈裏原系〉カルチャーにさかのぼる。「HF」の呼び名でも知られる藤原ヒロシ、高木完、「ジョニオ」こと高橋盾、NIGO®、そして「SK8THING」こと中村晋一郎——他にも数多くのクリエイター達が、それぞれのブランドや店舗を通じて、東京、ひいては日本に新しいスタイルを呼び込んだ。A BATHING APE、UNDERCOVER、GOODENOUGH、NEIGHBORHOOD、W-TAPSなど、今や世界中に熱狂的なファンを持つ日本のストリートブランドの多くが、当時原宿の裏通りに乱立していたのだ。

2000年代初期まで続いたと言われる裏原系だが、その後東京のストリートスタイルは徐々に変化していった。海外ブランドの小売店が相次いで日本に上陸したことや、BEAMSやUNITED ARROWSといったセレクトショップの台頭、ファストファッションの登場、雑誌『POPEYE』に代表される〈シティーボーイ〉スタイルが流行したことなどが理由だ。シーンはますます多様化し、世界的に見ても、東京はとりわけクリエイティブな都市のひとつとなった。

裏原系の最盛期からおよそ30年が経過した今日、私達はそんな東京のストリートに、全く新しいエネルギーを感じている。この都市のアンダーグラウンド・ユースシーンは今、かつてないほど多様で、クリエイティブで、興味深い。ネットやSNSといった新たな対話様式や、テクノロジーの進化は、現在の若い世代に、10年以上前には考えられなかった動きを可能にした。ここではそんな現在の東京のストリートシーンを知るのに欠かせない、11組のクリエイターやブランドを紹介する。

tokyovitamin

ビタミン? 何それ、栄養剤? 違う、tokyovitaminだ。2016年に結成されたこのクリエイティブ・コミュニティ。イベントの開催から、アルバム制作やコンテンツ制作、さらには服のデザインまで、とにかく思いつく限りのクリエイティブなことはすべてやっている。HYSTERIC GLAMOURCarrotsなどのブランドとコラボするほか、VERDYやBrain Deadなど国内外の影響力のあるクリエイターとパーティも行なっている彼ら。グループとしてだけでなく、メンバー各々がユニークな才能を発揮し、多方面からシーンを盛り上げている。立ち上げ当初からのコアメンバー、ヴィック・オカダkenchanを中心として、コミュニティが作る輪は国外にも拡大中。東京にいるなら、彼らは絶対に見逃せない。

YouthQuake

東京を拠点に活動するデザイナーやグラフィッカー、ビデオグラファー、コラー ジュアーティスト、ペインター、DJ等が複数所属する気鋭のクリエイティブコレクティブ、YoutuQuake。国内外のブランドとのコラボレーションやディレクションワーク、またセルフ・プロデュースによるエキシビジョン等も積極的に展開しており、 昨年12月に開催したPOPUP『FLOAT』も大きな反響を得ている。YouthQuakeのネクストステップに注目だ。

VERDY

i-D読者の多くにとって、彼はもう聞き慣れた存在だろう。このデザイナーにあまり「アンダーグラウンド」的イメージがないという人もいるかもしれないが、VERDYがユースシーンに与える影響は絶大だ。大阪出身の彼は、先述のtokyovitaminやYouthQuakeだけでなく、様々な若手クリエイターとコラボレーションし、後に続く次世代ストリートキッズのために道を開いてきた。彼のアパレルライン、Girls Don’t CryやWasted Youthはカルト的人気を誇り、自身がデザインした可愛らしいオリジナルキャラクターのVICKとVISTYは世代を超えてたくさんの人に愛されている。他にも多くのクリエイターやアーティストとコラボし続けるVERDY。右手はいつもピースサイン、顔には決まってビッグスマイル。好きにならないわけがない。

KOWGA

2021年にデザイナーの甲賀加純がスタートさせたKOWGAは、日本のウィメンズストリートファッションを牽引しているブランドだ。90年代のストリートスタイルに着想を得て、甲賀のルーツでありパッションの、音楽、スポーツ、ミリタリーといった要素に焦点を当てている。成長を続けるドメスティック・ファッションシーンに新風を吹かせているKOWGAのコレクションには、メンズウェアからヒントを得たデザインに、フェミニンなディテールを取り入れたデザイン、また女性サイズのみに絞ったシューズメーカーClarksとのコラボレーションといった女性にぴったりのストリートアイテムが揃う。時間があったら2022年春夏の最新コレクションをチェックしてみて。

BoTT(Birth of The Teenager)

今の東京のストリートシーンを語るなら、Birth of The Teenagerは外せない。BoTTの略称で知られるこのブランド。2019年にグラフィックデザイナーのTEITOによって設立されて以来、瞬く間に人気を獲得し、今や日本の最もホットな若手ブランドのひとつだ。王道のシルエットやグラフィックデザインにインスピレーションを得たBoTTのコレクションは、毎度即完売。ひとたび限定商品やコラボレーションアイテムを発表すれば、店頭に何百人もの行列ができる。その人気の理由は、商品に貼付けられたロゴだけじゃない。ありとあらゆる日本のクリエイティブシーンの業界人達が、こぞってBoTTの商品を着用しているのがその証拠だ。過去にはスポーツメーカーのUMBROや、CreativeDrugStoreDivinitiesといったストリートウェアブランド、最近では映画監督で写真家のラリー・クラークともコラボレーションを果たしている。

imma

クリエイティビティに関して非常に多様なこの都市では、可視光線で見える限り全ての髪色の人々に出会うことができる。彼らは決まってユニークで人目を惹く格好をしていて、人々の賞賛の的だ。鮮やかなピンクの髪に、他と被らないファッションスタイルがトレードマークのimmaも、そんなファッショナブルな東京の女の子のひとりだ。ただひとつ違うのは、彼女がヴァーチャルだということ。2018年にインスタグラムに登場するようになってから、数々のメディアやファッションブランドに取り上げられ、SNSでもセンセーションを巻き起こしている彼女。日本のファッション業界からの注目を一身に集めている。確かにimmaはヴァーチャルだが、彼女には性格や感情があって、私達と同じように、いやもしかするとそれ以上に、人間らしく感じているのかもしれない。

Kido Mafon

東京在住の22歳、Kido Mafonは「知られざる日本のユース」を切り取るフォトグラファーだ。そしてimmaと違って、実在する。〈ifucktokyo〉のアーティスト名で活動する彼女は、自身の友人達や、東京のクラブシーン、アーティスト、そしてアンダーグラウンド・ユースの日常を写真を通じて記録する。アムステルダムのストリートシーンにも精通する彼女。The New OriginalsSumibuといった現地のブランドとのコラボレーションも果たしている。彼女がとらえる瞬間は、独特の雰囲気がありながら、東京のリアルな街並みを忠実に映し出している。

JUN INAGAWA

JUN INAGAWAに言及せずして、どう東京のアンダーグラウンド・ユースシーンを語るというのだろう。DJとしても活動する多才なイラストレーターの彼は、日本で最もユニークでクリエイティブな人物のひとりだ。見逃したくても、見逃すことなどできない。現在、自身が手掛けるオリジナルアニメ『魔法少女マジカルデストロイヤーズ』の公開を目前に控えている彼。イラストやアニメの制作をこなす一方で、DJとしても東京のクラブでフロアを湧かし続けている。弱冠22歳の青年は一体どのようにして、その唯一無二のポジションを確立したのか? 全ては、彼が高校卒業後に訪れたカリフォルニアで始まった。スケートチームのFucking Awesomeや、A$APのクルーと彼らが率いるVLONE、ラッパーのプレイボーイ・カーティチーフ・キーフなど、アメリカのストリートシーンを担う重要人物達と現地で交流を重ねたのだ。まだ彼のDJを聴いたことがないという人は、要チェックだ。

Sound Sports

東京と大阪出身の4名から構成されるクリエイティブ集団、Sound Sports。「DJレーベル」を名乗る彼らは、これまでNew BalanceやAURALEETTTMSWといったブランドに多く楽曲を提供してきた。YouthQuakeから派生するFake As Flowersとコラボレーションもしている彼ら。パーティーを催したり、リミックスなど楽曲を制作したりと多岐に渡って活動している。最近ではSound Sportsとして初となるフィジカルイベント「Six+ Iron and Water」も開催した。そんなユニークな彼らの今後の動向に注目したい。

blue room & Summer of Love

先に述べたように、東京のストリートシーンの起源とも呼ばれる裏原系。その「裏原」を現代のユースに向け復活、アップデートさせたのが、渋谷にあるアパレルショップ、blue roomSummer of Loveだ。HatsukiChihiroが運営するblue room、ShunのSummer of love。交流の深いこの二店舗は合わせて〈ブルー・サマー(BLUE SUMMER)〉としても知られている。90年代の裏原系ストリートやクラブファッションに焦点を当てたラインナップには、興味深い機能やギミックを備えたユニークな商品が揃う。当時の面白いファッションを探しているなら、blue roomとSummer of loveに行けば間違いない。存在すら知られていない、超レアアイテムが見つかるはず。服好きはもちろん、業界人も足を運ぶブルー・サマーの次のステップに注目だ。

Exit Number Five

東京のストリートシーンの新顔と言えばこの人、クーリみづき、またの名をExit Number Five。日本人の母とレバノン人の母のあいだに生まれたクーリ。クーリは自身の作品を通じて、脆弱性やアイデンティティ、そしてクイアネスについての新しい見方を提示する。アーティスト名のExit Number Fiveは、原宿ラフォーレ前の交差点付近にある明治神宮前駅5番出口に由来している。作品でクーリが描く無名のキャラクターは、作家自身を反映させたもの。クーリはアートを、あまり語られることのない、言葉にしにくい感情を表現するための日記として捉えているのだ。最近、初個展「Tokyo Socialite」を成功させたばかりのクーリ。シンプルでありながら手の込んだ作風に、あなたもきっとファンになるはず。

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