Mitchell Sams

ディストピアな未来を見つめて:Fendi 2020秋冬

シルビア・ベントゥリーニ・フェンディが提示する、世界の終わりを生き抜くためにふさわしい、テクニカルで、革新的で、適応能力の高い服。

by Osman Ahmed; translated by Ai Nakayama
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29 January 2020, 5:30am

Mitchell Sams

外は凍えるように寒い。今は2021年の7月。熱帯の陽射しを携えて冬がやってきた。これが未来だ。気温が急激に上がり(もしくは急激に下がり)、氷冠は溶け、自然の気候パターンや季節が混乱してしまった。

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2020年秋冬メンズウェアショーで、Fendiはそんなディストピアな未来に目を向けた。ショーの最後は、起こるであろう未来への(ロマンティックではないとしても)強力な表現で締めくくられた。要約すると、モデルたちがまとっていた真っ白なアンサンブルが、UVライトに照らされて、私たちの目の前でFendiを象徴する鮮やかなイエローへと変化したのだ。

「私たちは厳しい時代を生きる準備をしておかないといけません」とシルビア・ベントゥリーニ・フェンディはショーの後に語った。「太陽光に影響を受けて変化する素材というのは、強力なコンセプトではないでしょうか。私たちは全員、周りの出来事に影響を受けていると思っているので。そういう素材と外に出て太陽を浴びるんです。まるで野生動物のように」

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今回、Fendiは、2013年に世界で初めて紫外線で色が変わる素材を用いた森永邦彦のブランド、Anrealageとコラボ。ステージ上で服の色が変わるというコンセプトは、ミラノのメンズウェアコレクションにおいては初となる試みだった。しかしそれも、私たちが生きる複雑な時代(と季節)を捉えたショーの、ほんのいち部に過ぎなかった。

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レザーのテーラリングやヘヴィウェイトのブーツは実用的なタフさを備えており、シアリングのコートやバラクラバは寒さから身を守ってくれる。しかしそれらの多くが、カシミアのクロップトップやスリーブレスニットと合わせられており、さながら夏に持ち歩く白湯のボトル的な趣がある。

また見事に仕立てられたテーラードコートは、ファスナーで形状を変えてショート丈のジャケットとしても着用できる。シルビアの言を借りれば、「断片化」できる服だ。「冬にはコートを着て出かければいいし、太陽が降り注いで夏の陽気になればボレロとして着ればいい」。まさに、〈1着買ったらもう1着プレゼント〉。

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突然ゴールデンイエローに変わる衣服は、この想像を絶する時代における希望の兆しだ。ファッション業界は今、環境危機における自らの役割を果たすために取り組みを続けており、デザイナーたちは私たちの暮らしや買い物の仕方に変化をもたらそうと考えている。

このショーで、モデルたちが大きなFendiのショッピングバッグを持って、モンテナポレオーネ通りにあるFendiの店舗から出てきたばかりのような雰囲気だったのもそういうことだろう。

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Fendiはこのショーで、何が起ころうとFendiは生き延びる、というメッセージを発していた。ピンストライプのメルトンウールのロングパンツスカートは今の文化の時代精神にも目配せし、伝統的で固定的なジェンダー観をぶち壊そうとしている世代のためのメンズウェアの〈クラシック〉を再定義する。

「クラシックに目を向けることは、昔のルールに回帰するという意味ではありません」とシルヴィアは語る。「新しいルール、新しい感覚、新しい態度を尊重することです。どんなひとでも、男性でも女性でも、自分のクローゼットのなかにアイテムを入れられるコレクションです」

それだけじゃない。1年のうちいつだって着られるコレクションだ。

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This article originally appeared on i-D UK.

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