Craig Green spring/summer 2020. Photography David Jenewein

人体をめぐる考察:Craig Green 2020春夏

鏡張りのランウェイに映る身体を通して、クレイグ・グリーンは、自らを見つめ直すよう呼びかけた。

by Felix Petty; translated by Nozomi Otaki
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26 June 2019, 6:21am

Craig Green spring/summer 2020. Photography David Jenewein

今年のロンドンファッションウィーク・メンズ最終日を飾ったのは、Craig Greenの2020年春夏コレクション。今シーズンのショーには、さまざまなシンボルが登場した。鏡張りの床には、テムズ川岸のオールド・ビリングスゲート・マーケットの地下にある会場のレンガのアーチが映る。

ク・ラザロー(Q Lazarus)の「Goodbye Horses」が流れるなか、さっそうと歩いていくモデルたちの姿もまた、ピカピカに磨き上げられた床に映っていた。プレスリリースにはこう書かれている。「自らのイメージと向き合い、自分を深く掘り下げることで、複雑なテーマをもっともシンプルなかたちで見つめ直すことができる」

クレイグ・グリーンのデザインは、内省的な詩に満ちている。それは彼が用いる記号、シルエット、レースアップのキルトのワークウェア、ひも、素肌がのぞくカットアウト、抽象化されたスカルプチュアルなかたちに表れている。

しかしそこには、温厚な思慮深さ、外科医のような正確さ、人体に対するコンセプチュアルで遊び心に満ちた関心など、彼自身の感情的な面も存分に発揮されている。

Goodbye Horses」は、映画『羊たちの沈黙』で、女性を殺害し皮を剥ぐ連続殺人犯バッファロー・ビルの不気味で象徴的なダンスシーンで流れる曲だ。このBGMは、クレイグの〈皮〉へのこだわりを、ブラックユーモアたっぷりに表現していたのかもしれない。

オープニングを飾ったルックはレザー、つまり動物の皮であり、レインコートもモデルの素肌が透けてみえる素材でつくられていた。しかし、ルックが象徴するものは、徐々に抽象的になっていく。

細かなカッティングが施された色鮮やかなビニール素材、軽やかで紙のように薄いジャケット、レース素材の人類学的モチーフ、肋骨と脊椎をなぞるひも、裸の胴につけられた十字架、デコラティブで神秘的なジュエリーとなった身体のいち部。衣服とは、肌をさらけだすと同時に守るもの。素肌がのぞく穴は、心をのぞきこむための窓でもある。服をまとうことは、私たちの変身の儀式なのだ。

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This article originally appeared on i-D UK.