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スラムジャムは一日して成らず

StüssyやCarhartte WIPを世に知らしめたキープレイヤーでもある。創業30周年を迎えたスラムジャム(Slam Jam)が私たちに向けて語ったメッセージ。

by Tatsuya Yamaguchi
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22 April 2019, 1:51am

slam jam

「服だけでなく、カルチャーについて共に話せるブランドと仕事をしようとはじめから決めていたから、まるで結婚を申し出るかのようにStüssyを追いかけたんだ」

1989年にイタリア北東部の都市フェラーラに設立した、ストリートシーンを牽引するディストリビューターであるSlam Jamの創業者ルカ・ベニーニが、i-Dに笑顔で語ったというごく最近のインタビューがある。30年という年月をかけて、StüssyやCarharttをイタリアの地に送り出し、早くは日本のNeighborhoodやWTAPS、Wacko Mariaといった裏原ブランドを含む数多のブランドをイタリアでいち早く取り扱っては、ヨーロッパ全土に広めてきた先駆的存在がSlam Jamということは知っているだろうか。

2006年には最初の店舗を、その10年後にミラノにフラッグシップショップをオープンし、イタリアのアンダーグラウンドシーンにも精通しながらカルチャーのグローバルな発信拠点としても機能するSlam Jamを“ディストリビューター”とだけ呼称するのはまったく正確ではない。そう話すと、来日していたマーケティングディレクターのカルロ・ティネッリと、クリエイティブディレクターのガブリエレ・カサッチアは、「その通り」と、準備していたかのように口を揃えて即答した。「あらゆる意味でのブランドにとってのビジネスパートナーで“プラットホーム”でもある。リテーリングにeコマース、コンサルティング、時にはアートイベントやパーティだって手がける。ビジネスの視点でいえばSlam Jamは30年の経験と300を越える世界中のリテーラーとの関係を提供できるけど、一方で大切なことは、リスペクトできるブランドと一緒に自然体のビジネスを進め、互いのエナジーを感じあっているということなんだ」

カルロとガブリエレのふたりは、昨年のニューヨークとパリに続き、東京・原宿のギャラリーCOMMONで開催されたポップアップ・ストアのために来日していた。「確かにSlam Jamは30周年を迎えるけど、節目の年を祝うためのプロジェクトではないんだ。創業以来、ビジネスとコミュニティにおけるキーとなっている都市で、Slam Jamを実店舗として見せること。そこに意義がある」とカルロは話す。「君のロンT、クールだね」。彼らと落ち合う前に立ち寄ったポップアップで手に入れたSlam Jamとi-Dがコラボしたものだ。「もちろん東京のために特別な準備をしてきたよ」。5日間の会期中、1日ごとに異なるアイテムをドロップしていく独自のアプローチをとり、ALYXやAdidas、Vans、Martine Roseらとのコラボレーションアイテムを揃えた。Nikeとコラボした77足限定の「ブレーザー クラス1977」が東京キッズにとってもっともハイプだったのは言うまでもない。

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Gabriele Casaccia

「内装はフィレンツェでもみせた“ラボ”のようなクリーンなデザイン。オリジナルのラックもイタリアから持ってきたんだ」とガブリエレ。ブランドのセレクションを尋ねると、「僕たちはブランドやプロダクトの背景にあるカルチャーをとても大事にしていて、それがSlam JamのDNAやビジョンと共鳴するブランドと組んでいる。当然、ルカ・ベニーニの直観(intuition)によるところもとても大きい」。カルロが語る。「そう、彼とStüssyのエピソードは、Slam Jamのビジョンにまつわる第一の実例だね。僕たちは、音楽やアート、アンダーグラウンドなカルチャー、そしてライフスタイルを語るうえで同じ“言語”を共有できるブランドと手を結んでいるし、長期的な視点でブランドをやっていくための“A to Z”を一緒に作り上げてきた」。だからルカ・ベニーニは互いを理解して契りを結ぶ“結婚”に例えたのだ。「時代の変化に合わせてストラテジーは変わっても、このビジョンは30年間、そして31年目以降も変わらないんだ」

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カルロが「イタリア人はフレキシブルなんだよ」と笑って、今後もコンシューマーの動きを見ながら変わらぬビジョンを貫き続けていくのだと語る。「僕たちは変化に対して柔軟に対応することができる」。例えば、インハウスのクリエイティブチームが作り出すInstagramのビジュアルはかなりクールだ。「現代は情報が伝わるのが早い。だからこそ自分たちが伝えたいメッセージや美学がより大切になってくるし、適切なビジュアルでしっかりと届ける必要もあるんだ」

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「今ではストリートウェアがカテゴリとして確立されているけど、1989年当時は“街中でキッズたちが着ている服”でしかなかった」。例えば、ミラノで発表される伝統的でクラシカルなファッションとは交わることもなかったはずだ。ラグジュアリーメゾンにハイエンドブランドがこぞってストリートカルチャーに熱い眼差しを向ける昨今のファッションシーン。Slam Jamがその動きを察知したのはいつ頃なのだろう。「8年くらい前かな。ルカが、ちょっとした変化を感じて、面白がっているようだった。ラグジュアリーとストリートが互いを見合っていて、ミックスしていくだろうと。そして今、ストリートウェアにとって良い環境にあるだろうね」

「ただし、Slam Jamには、Stüssyの40ユーロのTシャツとUNDERCOVERのレザージャケットが隣り合わせになっていることは創業以来ずっと問題ではない。価格やカテゴリでなく、ブランドの背景に意味を見出しているかどうか」。「ローマは一日して成らず」。ルカ・ベニーニが事あるごとに話すと言う。「短期的なものでなく、普遍性があり、自分たちがオーセンティックであると思えることが何よりも大切」。そして、同じマインドを持つ人々のコミニティがどんどん繋がり、世界中にトライブを生み出していく。その中枢に、Slam Jamがいる。

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「Slam Jamは30年間ずっと音楽と強くリンクしているから、ナイトイベントは欠かせない。当然、DJやクラブカルチャーもね」。カルロは、「ほら、僕たちの顔を見てみなよ」とおどけながら、この日の夜中に開催されるパーティに招いてくれた。イタリアン・ハウス・レジェンドの Claudio Coccoluto に、Sam Fitzgerald、Fraser Cooke、DJ Hendrix 、ビデオアーティストの中村壮志を招聘。渋谷のStudio Freedomを埋め尽くす人々が押し寄せ、東京のポップアップイベントはアニバーサリーにふさわしい完璧な終幕を迎えた。

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https://www.slamjamsocialism.com/