King Gnuの2ndアルバム『Sympa』全13曲をメンバー自ら解説

2017年のデビューから飛ぶ鳥も落とす勢いのミクスチャーバンド・King Gnu(キングヌー)待望のセカンドアルバム『Sympa』。メジャーへとステージを移し、着実にシンパ(共鳴者)を増やしていく彼らに本作収録の全13曲を自己解説してもらった。

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30 January 2019, 7:10am

日本の音楽シーンにカウンターの姿勢を構えながら、J-POPという土壌に地響きを鳴らすトーキョーニューミクスチャーバンド・King Gnu。2017年10月にファーストアルバム『Tokyo Rendez-Vous』をリリースしてから1年と少し、今年1月16日にメージャーデビューを果たしセカンドアルバム『Sympa』が発売された。“共鳴者・支持者”を表すこの“Sympa”には、「メジャーデビューに際して一人ひとりと繋がってKing Gnuの群れを大きくする」という想いが込められている。着実にシンパを増やしながら、メンバー全員が口を揃えて「挑戦した」という本アルバムは、よりポップライクになりながらも繊細で狂気的な音楽性はさらに広がっている。i-D Japanは、常田大希(Gt. Vo.)、勢喜遊(Drs. Sampler)、新井和輝(Ba.)、井口理(Vo. Key.)の4人に『Sympa』の全13曲について聞いた。

1.「Sympa I」
常田:1対1でつながることを意識して作りました。助けを求める(モールス信号の)音とストリングオケを弾いてちょっとドラマチックに始めてますね。これは「Sympa Ⅳ」とかかってます。

2.「Slumberland」
常田:これは遊と俺が路上で座ってキーボード弾いてラップしてた頃からやってた超初期の曲ですね。Srv.Vinciの時のアルバムにも入っていて、それをベースにして新たに付け足したというか。
新井:俺が骨組みを考えたんですけど、最初はもっとテンポが遅くてぬるっとしてたのをパキッとしたいよねって大希と相談して2回くらい変えました。すでにアレンジとして完成された曲だったので前曲にどうぶつけるかというよりこういうビートにするしか余地がなかった。それくらいもとの曲がかっこよかったんです。だからリアレンジで始まったけど新曲の気持ちで作ってます。
常田:あとは、基本的にはサビの「所詮ロックンローラーは愛と人生しか歌えないんだ」ってところが自分たちへの皮肉じゃないけど、人気が出て勘違いするなよって感じですね。

3.「Flash!!!」
常田:ライブではAメロがない状態でやってた曲。曲構成的には特殊でAメロがラスサビ(繰り返し入るサビ)に入れるのは本来J-POPにはない洋楽っぽい構成だと思います。そこにJ-POPに合わせて後からサビを入れたりして、試行錯誤は長いですね。歌入れをツアー中にやってかなりハードでした。これは言葉を聞いてほしくて、俺的には熱苦しい感じではないんですけど、めちゃくちゃ熱いねって言われます。
勢喜:無骨だねとかね。

4.「Sorrows」
常田:アップテンポな曲調はKing Gnuには今まで意外となくて新鮮な曲ですね。ミドルとスロー(のテンポ)が多くて周りのバンドもそうなので、アップテンポな曲も入れていきたいなと思って作りました。より日本のロックシーンとの接続を意識して作ったので、King Gnuにおいては新しいラインの曲です。

5.「Sympa II」
常田:基本的にすごいスペーシーですね。サウンドで音楽性の幅を見せたいと思って作りました。サンプルを切りながらピアノからシンセになっていて、シンセは自分で入れてます。「Sorrows」から「Hitman」に繋げるために一度落とす感じですね。

6.「Hitman」
常田:ライブでやってた曲がベースになってますね。ライブでは俺ギター弾いてなくてずっと鍵盤弾いてたんですよね。
井口:音源にした時にライブの熱量が伝わらなくて苦労しましたね。
常田:ライブだと音数が少なくてシンプルだけど映えるんですけど、音源だとシンプルすぎて面白味がなくなるので、そこに足したって感じですね。
井口:Cメロの最後コーラスで重ねてギターソロで熱くして。あと、歌詞が変わったりCメロがガラッと変わったり……けっこう右往左往しました。

7.「Don’t Stop the Clocks」
井口:これは(キーが)高い。
常田:レコーディングめちゃめちゃ長引いたよね(笑)
井口:大希が裏声のメロディーを書いてくれて、前作の「破裂」みたいな曲が今回もこの曲であったのですごくやりがいがありましたね。ストリングスとアコースティックのギターと歌だけっていう真剣勝負が楽しかったですね。
常田:King Gnuはシンプルに聞かせようって曲は少ないので、そういう意味では挑戦的なアレンジですね。

8.「It’s a small world」
常田:最初に頭の中でシンプル描いたまんまの曲とアレンジというか、あまり奇をてらった要素はないですね。
勢喜:サビの裏のシンセとか攻めてると思うけどね。
常田:自然と力を抜いて大人のスタンスですね。これはビデオが大変でした。理にミュージカルをさせるっていうのを1週間前に話をして……。
井口:ダンスは練習したけど基本当日行かないとわからないって演出で、1週間ビクビクしながら過ごしました(笑)
常田:構成は決まってて細かい演技はその場のフィーリングに任せました。ゴミ箱から飯を出すところとかその場で足していきましたね。
井口:特殊メイクに6時間くらいかかって、しばらく取れなくて大変でした。

9.「Sympa III」
常田:ラジオを色々切り替えてる感じにしました。弦でとりあえず暗くしようって、俺と兄貴の二人でチェロやバイオリンといったストリングスを重ねていきました。今回のアルバム、兄貴はほぼ全曲で弾いてくれてますね。
井口:メンバーより入ってるんじゃない(笑)
勢喜:俺よりも入ってるよ(笑)
常田:リスナーがこういうサウンドを他の曲と並行して聴くっていうのは音楽教育的にいいんじゃないかなって(笑)
井口:(笑)。今後どんなエグいの出しても許容してもらわないといけないからね。

10.「Prayer X」
常田:「BANANA FISH」のエンディングで主題歌って初めてだったので、その力はすごく感じましたね。本来届かないところの人に聞いてもらえました。メロディーが圧倒的にJ-POPでありながらサウンド的にはローが強かったり、そこはJ-POPではないっていうバランス感覚が面白くなったと思います。MVはアニメーションで攻め切りました。昔から一緒にやってたイラストレーターなので、信頼してお願いしましたね。
井口:次の日が締め切りで、大希がチェロとかビートをスタジオで足していって、すごい場面を見ましたね。
勢喜:2日ですごい変わったよね。
常田:その場でアレンジを加えていくっていうのはこれで最初で最後にしたいっすね(笑)
勢喜:その光景が見えたのは楽しかったですけどね。
常田:俺そのレコーディング帰りに「やっぱ俺天才やな」って理に言いまくってた気がする(笑)

11.「Bedtown」
常田:これもライブではミドルテンポでやってて、めちゃめちゃ変わった曲ですね。
勢喜:「Catch」って曲でやってたんですけど、ブレイクビーツくらい速くなってますね。ドラムはサンプルと重ねてるのと叩いた音を一つ一つ切って貼り合わせてて、ブレイクビーツを意識したアプローチです。
新井:ベースは歪んでるベースで録ったんですけど、ロー感が出やすくするようにワウのエフェクターで一度まるっと録り直しました。
井口:全パート速いから単純に録るのが大変でしたね。
勢喜:スキル的に間違いなく一番難しい。リハも一番やりますね。

12.「The hole」
常田:傷口がテーマで、穴がキーワードですね。ロマンチックな曲だと思います。人の心の深いところに突く系の曲なので最後に持ってこれて充実感がありますね。極端に音数を減らしてほしいっていう要望をして、Bedtownの真逆でドラムもベースも音数を減らしてもらいました。今までKing Gnuでこういうことをしてこなかったので実は一番挑戦的な曲で、ネクスト次元のポップスに行けたと感じましたね。
新井:ここまでのバラードをやるっていうのも初の試みですね。
勢喜:新鮮で楽したかったですね。ファーストアルバムではここまでストレートなバラードってやる勇気がなかったというか、そういう曲ができるようになったのも僕的には大きいことかなと思います。
常田:昔からオーケストラとかでかいサウンドが好きだったのでそういった意味ではルーツに近いかもしれませんね。

13.「Sympa IV」
常田:「Sympa I」にかけてて、救助が来たストーリーです。俺らくらい若くてこれだけオーケストラサウンドを使いこなせるって珍しいと思うので、オケに始まって終わることを意識しましたね。