LOOTA Interview: 世界とリンクしながら、アイコニックなラッパーになる

言語や国境を跨ぐ、ラッパーLOOTAの最新ソロアルバム『Gradation』。自身のメンターと呼ぶ、KIRIとの対談によって見えたアルバム制作の裏側。

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01 February 2019, 2:20am

コリアン・ラッパーのキース・エイプとオケーション、ジェイオールデイ、そして東京を代表するKOHHとのコラボ・チューン”It G Ma”がグローバル・ヒットを記録し、一気に国境を跨ぐトレンド・セッターとして注目を浴びることとなったラッパーのLOOTA。今回、新作アルバム『Gradation』を完成させたLOOTAだが、その隣にはメンターとも言うべきKIRIの存在があった。アルバムにはアメリカからフランス、アジアからクリエイターやプロデューサーらが参加しており、それらはKIRIのサポートによるものも多い。現在はクロージング・ブランド、PHIRE WIREを手がけ、常にエッジーな視点で東京と世界を見てきたKIRIの目には、一体LOOTAはどのように映るのだろうか。それぞれの意見を交差しながら新作完成までの道のりを聞いた。

── そもそも、お二人の出会いは?

LOOTA(以下、L)確か2016年の9月か10月くらいに、渋谷のBridgeに行った時にKIRIさんを紹介してもらったんです。その時、すでに自分がフランク・オーシャンと一緒に仕事をしたことも知っていて。

KIRI(以下、K)自分は普段、日本のラップはほとんど聴かないんです。でも、フランク・オーシャンやキース・エイプの流れもあって、LOOTAくんの存在は知っていました。初めて会った時は自分がDJをしていて、コダック・ブラックのリリースされたばかりの曲を掛けたんです。MVも出ていないような曲だったんですけど、後で「コダック・ブラック、掛けてましたよね」と言ってくれて。それで、「こういう新譜も追いかけてるなら色々と話してみたいな」と思って、「ご飯行こうよ」と声を掛けたんです。

L:その時、ちょうどパリからKIRIさんとも親しいBROMANCE(※パリを拠点とするクルー/レーベル。現在は解散)のメンバーも日本に来ていたんです。今回、アルバムのプロデュースに関わってくれたサム・チバたちとも話して、別の機会にスタジオにも入りました。その後、年が明けてKIRIさんと同じタイミングでパリに行ったんです。本当に貴重な時間を過ごせて。結局、それがきっかけで繋がったフランス人アーティストの楽曲がアルバムの半分くらい入ってます。

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── 今作は、KIRIさんがクリエイティヴ・ディレクターとして関わっているとのことですが、具体的にはどのように関わっているのですか?

K:メインのアートワークや細かなデザイン、アー写は誰にお願いして…というところをやったり、あとはトラック選びや曲順について意見したり、ですかね。アートワークは、LAのブレンダン(・ファウラー)といってSOME WAREというブランドをやっているアーティストにお願いしました。最近だと、彼のデザインしたTシャツをトラヴィス・スコットがよく着ているみたいなんですけど、元々は僕のブランドであるPHIRE WIREとSOME WAREのコラボレーションをやっていて、それをLOOTAくんがよく着ていたんです。それも、ブレンダンに頼むきっかけになりました。

L:最初にブレンダンから送ってもらったデザインを見たときは意外な感じもしたんですけど、完成版にとても満足しています。自分の音楽のバランスに通じるものがあって。というか、そこらへんもKIRIさんを介してうまく汲み取ってくれたんじゃないかなと思います。

K:日本のラッパーの作品を手掛けるのは彼にとっても初めてだったんですけど、LOOTAくんのMVとか新曲のデモを送ったら、すごく理解してくれて。熱いやりとりを何度もしました。僕もそのあとLAでブレンダンと会ったんですけど、彼もすごいアルバムのリリースに関してエキサイトしてますね。

── KIRIさんにとっても、こうしたラッパーのプロデューサー的な仕事は初めて?

K:そうですね。でも、仕事の感覚は全くないです。LOOTAくんが、曲を作ったらいつも送ってくれて「どうですか?」みたいな話をして進んでいったんですけど、自分にとっては真剣にやる遊びの延長で楽しさしかなかったです。

L:KIRIさんはメンター的存在で、色んな局面で助けてもらいました。

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── 具体的なアドバイスなどありましたか?

L:最初に会った時、「ここで、LOOTAくんが(USの人気プロデューサーの)メトロ・ブーミンとかと曲を作っても、別に面白くないでしょ」みたいに言ってくれたのが気持ちよかったですね。当たり前な話だけど、俺たちがやっていくことって”そういうことじゃない”っていうのを余裕で分かっているのをその時話してハッキリ感じたし、その後のパリでは大きなインパクトを食らわせてもらいました。今作にとってもこれからにとっても自分に作用したポイントの一つです。

K:うちらは、メトロ・ブーミンのことはすごく好きだし、向こうから声がかかったら光栄なことだけど、こっちから、そういうテイストに寄せたくないという話で。あと、僕はラップの細かいことは言えないので、「自分は他の人とどう違って、何を表現するためにラップしてるのか。自分の本質、ルーツと向き合って、そこを磨き上げないと」という話をしましたね。

── 先ほども名前が出てきましたが、LOOTAさんはフランク・オーシャンが2016年に発表したアルバム『blonde』にもKOHHとともに名前がクレジットされましたよね。改めて、その経緯を伺いたいです。

L:「It G Ma」の後に、(A$AP)バリから連絡が来て、一緒に遊ぼうということになったんです。その時にいろんな人と出会って、その中にいたトリメイン(StussyやA$AP MOBらと親しいクリエイター)から「フランク・オーシャンのアルバム制作に参加してほしい」って連絡があって。「3日間スタジオを取っているから、まずは来て」と、とりあえずロンドンに呼ばれて。KOHHも一緒だったんですけど、とにかくデータの持ち出してはダメで、スタジオの中で全て完結させないといけなくて。その時にビートを聴いて(リリックを)書いて録って…というのを、三日間1曲ずつやって、そのうちの1曲が「NIKES」でした。自分が録ったヴァースもあったんですけど、それをどうするかは向こう次第だったんで。

── 実際に、今回のアルバムにはフランスのビートメイカーらや韓国や上海のラッパーたちも参加しています。デンゼル・カリーらを手掛けるUSの人気プロデューサーのロニー・Jも。

L:ロニー・Jは、キース・エイプが繋げてくれたんです。朝、知らない番号からフェイスタイムが掛かってきて、それがロニーでした。もともとラップを始めた頃は、アメリカが一つのお手本で、そことの時差をどんどん埋めていこうというのがスローガンなとこもあったんですけど、「It G Ma」のヒットがあって、その次のステップを考えなきゃいけない段階にきたのかなと思いました。それは自分だけに限らず。だからこそ、今回のアルバムでは<日本人からの一つのアンサー>じゃないですけど「こんなバランスも取れるぜ」みたいなものを見せたかったんです。

K:僕としては、国とかどうでもいいっていうか、ただ、地球ってだけだから。なので、今回も別に日本人に向けて、とかそういうのは全くないです。ただ、とは言っても、うちらはアジア系民族なのでアルバム全体にオリエンタルなムードは漂わせたいという話はしてました。

L:それはKIRIさんに指摘してもらって気付いたことというか。自分は曲ごとに意識して作ったって訳では無いんですが、まとめの段階で曲やアートワーク等全部のバランスを見たときにそれを自分も大きく感じて、結果そのムードがキーになったと思います。

── ちなみに「It G Ma」も、MVがバズの着火点になったと思いますが、今作からのMVもすでに準備中ですか?

L:何曲か撮ってます。そのうち、AWGEのDVDシリーズを作っているJIMMYって友達が撮ってくれたのもあります。最近だとタイラー・ザ・クリエイターとA$APロッキーの「Potato Salad」を撮ってたり。彼は、3年前にラッパーのサー・マイケル・ロックスとかと日本に来ていて、その時、(コリアン・ラッパーの)オケーションから「マイキー達が日本にいるからリンクしてよ」って連絡をもらって繋がりました。

K:いつの時代もMVは本当に重要だと思うんで、僕も出来上がりが楽しみですね。

── アルバムの制作を経た上で、KIRIさんの視点からLOOTAさんに変化はあったと思いますか?

K:彼自身が見ているもの、聴いてるものに対して、より明確になった気がしますね。最初は、色々なものに気持ちが持っていかれてる印象があったんですけど、そこから無駄なものは捨て、研ぎ澄まされた感じはあります。これは自分個人の考えですけど、ラップはエンターテイメントなので音楽だけではなく、生まれ持った魅力、天性のキャラクターが絶対に必要だと思っているんです。それらを含めてのアーティストというか。そういうものが、LOOTAくんには全て備わってるので、もっと覚醒して一緒に命を懸けましょう。

L:光栄ですね。いっちゃいましょう。

Loota New Album “Gradation”

http://urx.space/PPn1

1. Aoi Sora (Prod. by Sam Tiba)
2. Mirror feat. KOHH (Prod. by Clibbo)
3. Another Card (Prod. by Ikaz Boi)
4. 回転木馬のデッド・ヒート feat. mojomossomen (Prod. by Ikaz Boi)
5. Endless feat. KOHH (Prod. by Ronny J)
6. Kurai Bright feat. Vito Foccacio (Prod. by A$AP P On The Boards & Omar Guetfa)
7. Flying Pig feat. mojomossomen (Prod. by Ikaz Boi, Myth Syzer & Sam Tiba)
8. Anywhere (Prod. by Loota)
9. One feat. Charity (Prod. by Clibbo)
10. Good Night feat. YTG (Prod. by 理貴)
11. Keep My Family Close (Prod. by Sam Tiba & Canblaster)

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