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ヒップホップ誕生の瞬間を描いた『ゲットダウン』

Netflex史上最大の予算が投入された『ゲットダウン』。1977年のニューヨーク、そしてヒップホップの黎明期を完全再現したこのドラマを、映画ライター・長谷川町蔵がレビュー。

by Machizo Hasegawa
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14 October 2016, 2:20pm

拙著『文化系のためのヒップホップ入門』を含めて、さまざまなメディアで語られてきたヒップホップ創世記。当時の状況は知れば知るほど興味深いのだけど、その面白さを初心者に伝えるのは難しいなとも思ってきた。というのも、たかだか40年前の出来事なのに当時の映像がほとんど残っていないのだ。でもこれからはこう言えば済んでしまう。「『ゲットダウン』を観ろ。話はそれからだ」と。

『ゲットダウン』の舞台は、ヒップホップのレコードが最初に発売された1979年から遡ること2年前のサウス・ブロンクスだ。主人公は、文学の才能を持ちながら、貧困で未来を阻まれていた少年ジーク。彼は偶然知り合ったストリート育ちのグラフィック・アーティスト、シャオリン・ファンタスティックに誘われて出かけた秘密のパーティで、最初期のヒップホップと出会う。そこで、ラップする喜びを知るジークと、DJへの転身を考えていたシャオリンは、ヒップホップ・グループ、ゲットダウン・ブラザーズ結成へと動きだすのだ。

製作総指揮を手がけたのは『ムーラン・ルージュ』や『華麗なるギャツビー』で知られるバズ・ラーマン。この人選を知ったとき、絢爛豪華なヴィジュアルを売りにするオーストラリア出身の白人監督が、はたしてゲットーのドラマをきちんと描けるのかと心配したものだけど、第1話冒頭に廃墟のような風景が飛び出てきた瞬間、その不安は吹っ飛ばされた。

しかも本作、ブレイクダンスやグラフィティとの密接なつながりはもちろん、ディスコの大流行や市長選挙、真夏に起きた大停電といった周辺トピックにまでも言及する。そう、ラーマンは1977年のニューヨークを丸ごと描くことによって、ヒップホップがどこからやってきたかを解き明かすことに成功したのだ。

ちなみにドラマは全12話中、現在前半6話まで配信中。まずは、これまで文章でしか語られてこなかった当時のヒップホップ・バトルが映像で完全再現された、第6話まで一気見してほしい。

『ゲットダウン』Netflixにて独占ストリーミング配信中

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Credits


Text Machizo Hasegawa