ファッションも音楽もビジネスも、ペリにおまかせ

人気ブランドPAMEO POSEのデザイナーであり、DJの顔を持つITガールのPELI(ペリ)。彼女が手がけるブランドの初めてのショップが原宿にオープンした。ショップへのこだわり、そして日本におけるLGBTに対する考えについて訊ねた。

by i-D Staff
|
08 June 2016, 7:35am

新しいショップのコンセプトを教えてください。
店構えは、"トレンディなマンション"がテーマです。建築のガラスブロック、観葉植物、打ちっぱなし、熱帯魚、マグネットモビールなど、自分が育った90年代に憧れていたインテリアを再現しています。若い方にはちょっとダサいかな、と思われそうですが、私的には懐かしさもある最高にかっこいい空間です。

ブランドのスタート時から少しコンセプトが変わりましたよね?
最初はウェブのみで展開するセレクトショップだったんです。ただ、セレクトショップって、画面上だけでの表現になると、一貫した世界観を演出するのがとても難しいんですよね。それで、オリジナルを作ったらすごく反応が良くて。その後、今のようなオリジナルのアイテムがベースになりました。それから3年。出店までは、うちの会社では珍しいぐらい長い道のりでした。

確かに、MARK STYLER社は店舗を出すのも引くのも早いですよね。
そこが燃える部分でもあるのですが、確実に数字を出さなければいけないという当たり前のことがかなりのプレッシャーではあります。事業部では資金繰りや営業面での実績から、数年後までを見据えた中・長期計画を立てて、それをもとに経営することを目指しています。営業面では、基本的に会社の承認を受けてから進めるのですが、数年後の売り上げ目標を決めます。それから実績と照らし合わせて、条件を提示した上でゴーが出るので、上からの指示で動いているわけじゃないんです。ブランドの明暗を分ける選択は全て私たちに任されているのですが、そこが難しい所でもあり、やり甲斐のある面でもあります。ブランドも大勢でやっているわけではありません。全員で1つの目標を目指して日々の戦略や計画をしていくのですが、少人数ならではの団結力はあります。ですが、私たちの下した判断が吉と出るか凶と出るかは、実績と統計ベースで見ていますが、実際やってみないと分からない部分も多く、常に気を抜けません。今回路面店を出せて嬉しい反面、新たな挑戦……試練のスタートだと思っています。

PELIさんの世界観は、レトロでアンダーグランドで、可愛らしい、というイメージがあります。一貫したコンセプトとはなんでしょうか?
それは、「好きなものを着ましょう」ということです。ギリシャが好きで、シーズンのコンセプトにも土地や神様の名称をよく引用するんです。ギリシャ神殿にまつわる神様たちのポージングやスタイルのように、世の中にはいろいろなスタイルがある、ということをテーマにしています。私が作るものって、クセのあるものが目立ちがちですが、意外とシンプルなものもあるんです。自分自身、シーンに合わせてイメージをガラっと変えるのが好きなので。普段はすごくシンプルでユニセックスな服を着ますが、パーティによっては派手めだったりクラシカルにしたり……。あと、レトロな部分は好きです。ノスタルジックで懐かしいものを見て「あぁ、こういうのあった、あった」「そうそう、これこれ!」って友達と共感するのが楽しいです。DJも「あれあれ! 10年ぶりに聴いたじゃん!」っていうのをかけるのが好きなんですよ。だから、服を作るのも"あれあれ系"になっちゃう。つば広のリボンがピーンとしている帽子やメンフィス調のデザインや、配色パイピングなどのディテールは、きっと「あれあれ!」って思ってもらえるはずです。先シーズンの春の"あれあれ"は、「ワルツ」をテーマにしていて、バロック時代の子供服。意味のないロールウエストマークのベルトとか、ピアノの鍵盤からインスパイアされた、ブロックで構築したディテールのシューズなど、カクカクしたシルエットを展開しています。 "あれあれ系"を思い出しながらデザインするのが好きなので、ブランドにレトロなイメージもついたのかもしれません。

後に「あれあれ!」と楽しむためには色んな時代のカルチャーをきちんと把握することが大前提ですよね。PELIさんにとって今ホットなものはなんですか?
やっぱり自分の店の内装ですね。「当時のこの感じ最高!」っていう空間が作れて、さらに90年代初頭のトレンディな感じに仕上がったので、自分的にはすごくホットです。肩が張ったダブルのスーツや、大きい観葉植物が家にあるような湾岸沿いの高級マンション、削ぎ落とされたモダンな90年代の世界観が大好きなんです。90年代でもストリートではなく……当時の舘ひろしや、W浅野と言いたいところですが(笑)。i-D読者様用におしゃれに例えると、セルジュ・ルタンスの資生堂のCMをシンプルにした感じや、イラストレーターのアントニオ・ロペス。90年代に移行していく時の、洗練されていてちょっとラグジュアリーでアーティな感じですね。

PELIさんはDJなど、アンダーグラウンドシーンでの活動をしているだけに、時代感を吸収できて、発信もできるのかなって思うのですが。
まずもって私は、ライフスタイルがおしゃれじゃないんですよ。愛犬の散歩に代々木公園いけば良いほうで(笑)。でも、fancyHIMというイベントは本当におもしろいです。昔からクラブで遊んでいたお洒落な先輩方、海外の方も多いですし、若い子が20歳になって憧れてやってくるようなイベントです。去年、10周年でしたが、今でも異色を放っています。10年前はエレクトロでファッションのパーティが少なく、当時はロンドンやNYのクラブキッズ系が溢れていたんですが、いまはかなりファッションシーンにも浸透してきたので、みんな絶好調な格好をして遊びに来るんですよね。ひと目見れば、みんなにとって一番ホットな格好がこれなんだっていうのがわかる。着ちゃいけない服もなければ、やりすぎもない。みんな一張羅で来るから、本当におもしろいんです。楽し(酔い)すぎて翌日覚えていない、なんてこともしょっちゅう。だけど、みんな同じくらい酔っていて、謝る相手もいないから大丈夫。昔から来ている人たちはもちろん来てくれるし、若い子もいる。ずっとホット。それがすごいですよね。

fancyHIMにはいわゆるLGBTの人も多く来ていますよね。PELIさんご自身もメディアでのインタビューなどに出られていますが、そのような問題についてどのように考えていますか?
日本は階級社会でもなく、人種差別もあまり見受けられないので、それを社会問題とする基盤がないですよね。もともと日本人は、島国ということもあってか、自分に直接関係のないことにあまり興味を持たない性質なのでは? と思います。私自身、困ったことがないし、実際考えたことはないかもしれません……。私が親に話したのは、18歳くらいの時。うちの親にとってはそんなに問題じゃなかったようで「幸せならそれで良いんじゃない?」というくらいの反応でしたしね。ただ、いろんな家庭があると思うし、平和にできる人もいれば、そうじゃない人もいる。だから、LGBTの問題にかぎったことではありませんが、当事者が声をあげればいいじゃん、という単純な問題ではないと思います。VICEも好きでよく見ているんですが、VICEのように、メディアがこういった社会の隙間をピックアップして、それぞれに意見や考えがあるということを広げてもらえたらいいな、とは思いますね。声をかけてもらえれば、自分から声を出す人も出てくるはずです。性のことや政治的なこと、宗教的なことって、それで傷つく人もいます。日本はまだそういう土壌が育ってないので、議論するのも簡単ではないですよね。でもそう言いつづけることで、次の世代は話しやすい環境になっているかもしれないですね。

最後に、10年後はどうなっていたいですか?
もっと、たくさんの経験をしたいです。いろんなものを見て、吸収すれば、モノを作る際にも、さらに深みが出てくると思うんです。10年の間に世界中のいろいろな場所に行って、柔軟性を持って、吸収して、それを形にしていきたいですね。

PAMEO POSE表参道
東京都渋谷区神宮前6-6-8-102
Tel. 03-3400-0860
pameopose.com

Credits


Photographer Ko-ta Shoji
Text Yuka Sone 

Tagged:
fashion interviews
peli
pameo pose