AVALONEデザイナー、三浦進のベルリン前夜

「ゴス」「スケート」「タトゥー」「エロティシズム」などのサブカル要素を取り入れた服作りで世界にファンを持つデザイナー三浦進。イデオロギーへのアンチテーゼや改革主義をコンセプトに展開するブランドAVALONEの正体に迫る。

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01 november 2016, 3:40am

デスメタルバンドのヴォーカルや彫師など、これまでさまざまな職業を経験されていますが、三浦さんの経歴と服作りを始めたきっかけを教えてください。
静岡県伊豆出身なのですが、田舎で育っているので、とにかくミーハーだったのかもしれません。『MTV』をよく見ていたこともあって、洋楽に興味を持ったんです。セックス・ピストルズなどのパンクやニューウェーブが好きでしたね。それでバンド活動もしていました。デザイナーになりたいと思ったのは、中学2年生のとき。ちょうど当時、アレキサンダー・マックイーンのランウェイを『ファッション通信』でみて衝撃を受けました。もともとモードが好きだったので、それから服を作りたいと思うようになったのがきっかけです。
中学3年生のとき、伊豆から上京した際にお金がないので古着を買って、それを持って帰って、パッチつくって縫い付けたりしていたんです。それから、地元の友達からの売ってほしいという要望があって、売るようになりました。自分の作った物を着て高校生たちが東京でスナップを撮られる......そういう流れを見ていて「俺はこの道に進む」と決めました。高校時代はバンド組みながらTシャツを作っていましたね。卒業後は服作りに専念するために専門学校に行こうと思っていたんですけど、服を作らなくなるんじゃないかって、なんとなく自分のなかで想像がついてしまって。それなら、社会勉強した方がいいと思い、高校卒業したあとに上京。NYからタトゥーマシンを購入して、彫師がいる場所に顔を出したり、アクセサリー屋で働いて人脈を作る、という生活をしていました。

ストリート全盛期でもあった時代だと思いますが、モードに憧れていたんですか?
はい、そうですね。知識はそんなになかったのですが、マルタン・マルジェラやクリスチャン・ポエルが作る服は格好いいなと思っていました。

AVALONEをスタートしたのは2013年からですよね。その前は何かブランドをやっていましたか?
2002年から会社立ち上げて、最初はexit for disというブランドをやっていました。けっこう売れたんですよ(笑)。当時、原宿でもショップを出したり、一気に全国展開しました。その後、震災が起きたこともありますし、実家が事業をやっていたので一度伊豆に戻りました。でもやっぱり、服作りを続けたいという思いが消えず、もう一度ブランドをやろうとAVALONEを立ち上げました。

AVALONEでこれまでの思い入れのあるシーズンやアイテムはありますか?
2015年春夏コレクションですね。海外に一番ピックアップされたシーズンでした。そこから自分自身も海外への視野も広がりはじめ、一気に海外での取り扱い店舗やさまざまな雑誌からのリース依頼がきました。そのとき、海外の人たちと仕事をすることで、海外に行きたい気持ちも芽生えたんですよね。海外の人って本能的じゃないですか。それのほうが自分的にもフィットしたし、クリエイションの方向性も今までとはちょっと変わりましたね。

2015-16年秋冬シーズンに公開された、エロティックなビデオルックが衝撃的だったのですが、このクリエイションについて教えてください。
あれは僕の性癖を表現しているんです。つまり、僕はその性癖を形や服に落とし込めるほどの技術はないと認識しているんです。かといって自分の性癖をTシャツにプリントするのは誰でもできるので、何か他のことができないかなと考えました。それで映像が一番伝えやすいと思い、撮影したんです。「ENVY」というタイトルなのですが、"嫉妬"から生まれる自分自身の欲望みたいなのを表現しました。

"エロティシズム"がブランドのキーワードにもなっていますよね。
そうですね。"性"についての問題は常にあるものですけど、それはお互いが素直に向き合うことで解決したり、お互いの哲学を理解し合うことでうまくいくこともあると思うんです。話が大きくなってしまうかもしれませんが、服作りは僕にとってその考えを気づかせるためのフィルターなんですよ。

2016-17年秋冬シーズンのルックブックをベルリンで撮影した理由は何でしょうか?また、今後ベルリンでの生活もスタートするとお伺いしました。
今年の3月に東京でコレクションを発表した後、『HYPEBEAST』にそのルックが掲載されて、それを見たベルリン在住で、スケートチーム「030」に所属しているステフェン・グラップ(Steffen Grap)が「何か一緒にしたい」とダイレクトメッセージをくれました。それで彼が、ルックの写真を撮影することになったんです。初めて海外で撮影したんですが、みんなすごく感度が高いし、とにかくクールなことをしようと楽しみながら作り上げていくんです。ずっと東京でやってきた僕にとって、そういうスタイルは新鮮で、新しい世界が見えたような気がしました。これまで独学でデザインをはじめて、経営もすべてやってきたのですが、今後のことを考えると、ずっと日本にいるのが狭いことに感じたんです。縁があってベルリンでルックブックも撮影しましたし、ヨーロッパを拠点に制作活動を続けたいと思っていたので、そういう生活もアリかなと思い、ベルリンで活動することに決めました。

今後、ブランドをどのようにしていきたいですか?
とにかく、インディペンデントを貫き通したいという気持ちがあります。日本ではもちろんですが、来年の1月にパリでまた展示会もやる予定なので、どんどん海外から逆輸入していくような流れを作るのが今後の目標です。あとは、クリエイションの部分ですよね。自分の工場を持ちたいですし。今、海外のファッション学校を卒業している子たちから、インターン志望の履歴書がたくさん送られてきているんです。そういった経験のある子たちとも働いていきたいですね。今まで東京でやってきたような、立地の良い場所にショップをオープンするようなことはやりたくありません。とにかく、海外に自分のブランドを広げていって、新しい価値観や自分がこれまで見ることができなかった世界を見つけていきたいです。

"PALLAS" AVALONE SS17

Credits


Photography Steffen Grap
Stylist Steffen Grap, Karorose, Susumu Miura
Model Karorose and Johannes
Text Kurumi Fukutsu