奇妙だけれど心はワイルド:デヴィッド・リンチのスタイリッシュな登場人物たち

映画監督、ミュージシャン、ヴィジュアルアーティスト、超越瞑想の第一人者であり、そのうえコーヒーの専門家でもあるデヴィッド・リンチ(David Lynch)が70歳に! お祝いの意味をこめ、i-Dは『ワイルド・アット・ハート』から『ブルー・ベルベット』にいたるまで、リンチが生み出したキャラクターの中でも最もスタイリッシュなキャラクター5人を紹介する。

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10 April 2016, 1:00am

1)『ツイン・ピークス』のオードリー・ホーン

グレート・ノーザン・ホテルの遺産相続人、オードリー・ホーンほど1950年代のリアルなスクールガール像を体現した人物はいないだろう。『ツイン・ピークス』は、2シーズンのみで打ち切りとなり、視聴者たちは多くの謎を残したまま、舞台となったワシントン州の小さな町を後にしなければならなかった。「オードリーが着ると、なぜプリントカーディガンやチェックのプリーツスカート、サドルシューズすらもセクシーに見えるのか」おそらく、これが最も重要で未解決の謎だろう。バーに出入りするシーンでも、タバコを吸いに教室を抜け出すシーンでも、オードリーは存在感に溢れている。2017年公開予定の『ツイン・ピークス』新シリーズではシェリリン・フェンがこのキャラクターのカルトスタイルを現代的に再解釈した姿を見せてくれるはずだ。

2) 『ワイルド・アット・ハート』(1990)のセイラーとルーラ

『ツイン・ピークス』のジェームズ・ハーリーこそはリンチが作り出した中でもっとも強烈なキャラクターかもしれない。しかし、『ワイルド・アット・ハート』のセイラーこそは、間違いなくリンチ作品の中でもっともかっこいいスタイルを持ったキャラクターだ。もうひとりの主人公である(ローラ・ダーン扮する)ルーラとともにハイウェイを行くセイラー(ニコラス・ケイジ)。彼らふたりが、次から次へとタバコをふかし、問題を起こしていく姿は、「伝説的ロードムービー」として映画史に大きな足跡を残した。セイラーのトレードマークとなったヘビ革のジャケットは、「個性と自由への信条」を象徴しているだけでなく、彼を最高に格好いい"バッドボーイ"に仕立てている。セイラーの衣装がこの映画でもっとも鮮烈な印象だったと多くが語る一方、ルーラの黒のボディコンドレスに赤いレオタード、丈の短いライダースジャケット、そして風になびくソバージュのブロンドヘアもまた、"ジョージアのアスファルトよりもホット"だ。

3)『デューン/砂の惑星』(1984)のフェイド・ラウサ

リンチは従来では考えられないようなキャスティングをすることで有名(マリリン・マンソンに映画デビューのきっかけを作ったのも彼)だ。だから、SF小説の名作『砂の惑星』を映画化する際、炎のような色の髪をした悪役にザ・ポリスのスティングを起用したこともそれほど驚くべきことではない。この映画を観たことがあるひとは、陰部だけを隠したような格好のスティングばかりを思い出すかもしれないが、改めて見てみると、戦闘服を着たフェイド・ラウサはフッド・バイ・エアのランウェイから飛び出してきたかと思うほどにかっこいい。

4)『ブルー・ベルベット』(1986)のドロシー・ヴァレンズ

ラナ・デル・レイがこのトニー・ベネットの名曲をメランコリックに歌って人気を博す数十年も前、ドロシー・ヴァレンズはすでにこの曲で「夜よりも青い」とベルベットを謳い、劇中のクラブ、スロークラブで観客を魅了していた。リンチはこのネオノアールの傑作スリラー映画で、イタリアを代表するセクシー女優、イザベラ・ロッセリーニを起用した。彼女の幅広いキャリアにおいてこの役が「もっとも鮮烈なキャラクター」と言っても異論はあがらないだろう。ロッセリーニ演じる"ブルー・レディ"がまとうベルベティーンのローブやガウンは、カイル・マクラクラン演じるジェフリー・ボーモントを事件へと引き込むだけでなく、映画を観ている私たちをナイトクラブのけだるい雰囲気に留めて離さない。

5)『ロスト・ハイウェイ(1997)アリス・ウェイクフィールド

パトリシア・アーケット演じるアリス・ウェイクフィールドの狡猾で魅惑的なブロンドスタイルは、この映画に絶対必要不可欠な要素だった。1997年に公開されたことを考えると、アリスのファッションが90年代の傑作映画からヒントを得ているという事実は驚くことではない(『氷の微笑』のシャロン・ストーン、『クルーレス』のシェリリン・ホロウィッツの衣装を見よ)。しかし、ミニドレスを着たブロンドヘアのアリスが、死の雰囲気が立ち込めるミステリーにしっとりと馴染めていることは特筆されるべきだろう。

Credits


Text Emily Manning
Image via YouTube
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.