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kidill 2017 spring/summer at tokyo fashion week

KIDILLの最新コレクションには、リアルなストリートのなかに丁寧な遊びが散りばめられていた。鶯谷から登るKIDILLからの狼煙に応答せよ!

by Sogo Hiraiwa
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20 October 2016, 6:10am

反骨心はどこに宿るのだろうか? 今年も東京ファッションウィークが始まった。ファッション業界が最も多忙になる時期だ。ファッション雑誌の編集者、カメラマン、ファッションキッズ、ブロガーなどが足繁く渋谷に通うようになる。渋谷ヒカリエがファッションウィークのメイン会場になっているからだ。

KIDILLのショー会場は異様な熱気に包まれていた。エレベーターの扉が開くと、一面に広がる天鵞絨の壁。ランウェイが行われる下の階には、螺旋状にくねる階段でつながっており、薄明かりのなかを木製の手すりに触れながら降りていく。KIDILLのデザイナー末安弘明が今季コレクションを発表する場に選んだのは、鶯谷にある<東京キネマ倶楽部>だった。元グランドキャバレーのこの会場は、木製の床が広がるグランドフロアから上の階まで吹き抜けになっており、半円形のバルコニー席がステージを囲む様は大正のオペラハウスさながら。ステージ上に現れたバンドCOYOTE MILK STOREが演奏を始めるが早いか、観客が降りてきたその階段からモデルが登場し、グランドフロアに並ぶ観客のあいだを進んでいく。コヨーテの顔を重ねた柄を大胆にあしらったセットアップをはじめ、ストリート感溢れるアイテムも多く見られたが、カラフルな毛糸を使って編み込んだニットなど丁寧に作り込まれた遊びの精神が随所に散りばめられていた。

モデルたちが観客と同じ階段から現れ、服が触れ合うほどの隙間をぬって、バンドが演奏しているステージを進んでいくショーの構造は「日常と非日常」あるいは「ストリートとモード」のボーダーを融和させ、越境していくKIDILLの精神に具現化したものだったともいえるだろう。コレクションノートには、ビート・ジェネレーションの代表的な詩人アレン・ギンズバーグの詩集『吠える(HOWL)』からの詩の抜粋と、それに寄り添うようにして次のメッセージが書かれていた——「現代の新しい精神を持った不良達へ」。今季KIDILLのランウェイを歩いたのは全てアジア人のモデルだった。反逆の狼煙はどこから上がるのだろうか? 現代の新しい精神を持った者たちよ、KIDILLからのメッセージに応答せよ。

Credits


Text Sogo Hiraiwa