大山エンリコイサム個展「Present Tense」

グラフィティ文化を再解釈し、コンテンポラリー・アートの世界に接続する気鋭の美術家・大山エンリコイサム。NYをベースに活躍する彼の日本初となる本格的な個展が東京・南麻布のギャラリー Takuro Someya Contemporary Artで開催されている。

by Sogo Hiraiwa
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07 September 2016, 2:10am

Enrico Isamu Oyama, FFIGURATI #133 (detail), 2014-2016 Artwork © Enrico Isamu Oyama Photo © Atelier Mole Courtesy of Takuro Someya Contemporary Art

街中の壁に描くという条件ゆえにすぐに消されてしまうことも多いグラフィティ・アート。その歴史を20世紀初頭のアメリカにおける「落書き」から現代まで辿った1冊の本がある。2015年に刊行された『アゲインスト・リテラシー―グラフィティ文化論』(LIXIL出版)は、日本で初めてグラフィティを本格的に論じた研究書として、大きな話題を呼んだ。著者のプロフィールも面白い。この本を書いたのは、一般的な批評・研究書の書き手として想像される社会学者やヒップホップ・カルチャーに造詣の深いライターではない。著者自身、壁画や絵画を描いているアーティストなのだ。

ニューヨークに拠点を置く美術家・大山エンリコイサムは、壁画やペインティングを中心に、ライブ・パフォーマンス、サウンド・インスタレーションまでさまざまな表現形式をつかって制作を行っている。これまでにニューヨークやロンドンで個展を行うほか、COMME des GARÇONSへの作品提供や、現代美術に関する批評の執筆などその活躍の幅は広い。そんな彼の、国内では初となる本格的な個展「Present Tense」が現在、東京・南麻布にあるギャラリー Takuro Someya Contemporary Artで開催されている。

個展のタイトルは"現在時制"を意味する「Present Tense」。あらゆる落書きは、かつてその場にそれを描いた人物がいたことを暗示する。一方、それが描かれるあいだ、かき手はその場所にいることを私たちは忘れがちだ。本展のタイトルには、かき手の本来の時制「is」をあとから見る者の時制に同期させるため「was」にあらかじめ置換することで、時制の乱れを解消したフィクショナルな時間の現在性が立ち上がるという含みがある。どんな芸術表現であれ、同じ作品を観てもその都度その作品の印象は変わるものだ。常に今(is)でしかない各々の時制をもって、大山の作品の前に立ってみてはいかがだろうか。

大山エンリコイサム個展「Present Tense」
Takuro Someya Contemporary Art
tel. 03-6804-3018
開期:開催中—9月24日(土)
開廊日:火曜 - 土曜 12:00 - 19:00(休廊日曜・月曜・祝日)
住所:東京都港区南麻布 3-9-11 パインコーストハイツ 1F
http://tsca.jp

Credits


Text Sogo Hiraiwa

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