Adwoa wears rollneck Dior. Earrings (worn throughout) model's own.

ハーリー・ウィアーとの対話

Female Gaze号特集の表紙のために、親密な雰囲気のなかでモデルのアジョワ・アボアーを撮影中のハーリー・ウィアー。場所はカリフォルニア州フランクリン・キャニオン・パーク。いまファッション界で引く手あまたの写真家である彼女に話を聞いた。

by Lynette Nylander
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11 April 2018, 6:23am

Adwoa wears rollneck Dior. Earrings (worn throughout) model's own.

Rollneck Dior. Boots Balenciaga. Briefs Hanro.

Jacket, shirt and briefs Miu Miu. Belt Saint Laurent. Boots Balenciaga.

All clothing Prada.

Jacket Chanel. Rollneck Hermes. Belt Jeremy Scott.

Jacket Jacquemus. Rollneck Dior. Tights Falke. Boots Vetements.

Jacket and socks Vetements. Top Y/Project. Body stylist's own. Shoes Balenciaga.

All clothing Balenciaga.

視覚的な誘惑と美しさにあふれた写真を生み出すハーリー・ウィアーは、近年もっとも影響力のあるファッション・ヴィジュアルの作り手のひとりだ。人の身体の官能性や柔らかさに向けた非凡な視点を通して、ファッション界に流れる意識を見事にとらえてきた。彼女の作品に多く見られるのは、性を感じさせるばかりではない裸体の描写である。

ハーリーの写真を見るのは、鍵穴を通して異世界をのぞくような経験だ。セピア色や暗い褐色、黄土色に彩られ、ロマンティックで豪奢な被写体に満ちた世界。見るだけでは満足できず、手で触れて、その中に入り込みたくなってしまう。

1988年生まれ、27歳(※当時)のハーリーは、緑豊かなロンドン郊外で育った。その後セントラル・セント・マーチンズで美術の学士を取得、授業で学んだ巨匠たちとほぼ同様の方法で写真にアプローチした。彼女の写真は、ザラついた質感のアナログ写真を撮った90年代の写真家たちと、生まれたときからインターネットに触れて育った世代との架け橋にもなっている。ハーリーの作品は、後者の若者たちがTumblrやInstagramで際限なくリブログし、リポストすることで広まっていった。とはいえ、被写体に肉迫する彼女のパーソナルなレンズは、独自の世界観と時の流れをたたえている。

そんな彼女と組みたがる大手ブランドが後を絶たないのも当然のこと。ハーリーはほんの数年のあいだに、Gucci、Calvin Klein、Stella McCartney、McQなどの世界に、ヴィジュアルの変革をもたらしてきた。Proenza Schoulerのプロモーションでは、クロエ・セヴィニー、リヴ・タイラー、ビンクス(・ウォルトン)を同時に起用。また彼女の写真は『Vogue』や『Pop』そしてもちろんi-Dの誌面にも定期的に登場している。i-Dの〈女性の視点〉特集では、表紙を飾るアジョワ・アボアーを親密な距離で捉えるべく、カリフォルニア州フランクリン・キャニオン・パークの自然に還って、撮影を行った。カメラを構え、指先に世界を宿す彼女の話を聞いてみよう。

——あなたのもっとも古い記憶はどんなものですか?

昔は、生まれた日のことを覚えているって宣言してました……窓辺に掲げられて、初めてものを見たときのことを。ぼやけた光がまぶしくて。あの感覚は言葉で説明できないけど、ワクワクするような、でも何も見えていないような。でもそんなの、覚えているはずないですよね?

——写真を撮り始めたのはいつ頃ですか?

初めての遠足で農場に行ったとき、使い捨てカメラを渡されて。プラスチックの箱を通して見ると、動物たちの姿もずっとおもしろいものに思えたんです。すぐに興味をそそられて、それから特別な行事のときにはいつも使い捨てカメラを持っていくようになりました。

——あなたの写真は非常に性的なものと捉えられていますね。意識的にそうしているのでしょうか?

女の子として成長するということは、性的なものとして見られるようになる経験を含んでいます。大人の女性になる過程で、どうにかそれに対処しなくてはいけない。だからそういうものは当然、私の作品に織り込まれていると思います。意識的にせよ、無意識にせよ。

——あなたの打ち出すイメージからは、とてもパーソナルな親密さをいつも感じます。あなたと被写体との関係性はどのようなものですか?

誰かを撮影するのは、コラボレーションです。3Pみたいなものとさえ言えるかもしれない、カメラの存在も含めて。写真のフレームの外側での関係性が上手くいっていようとそうでなかろうと、カメラがそれを変化させます。まったく予想もしない魔法のようなことが起こることもあるし、身構えた表現になってしまうことも、ものすごく居心地の悪い、妙な雰囲気になってしまうこともある。予測するのは難しいです。

——女性の身体の中で、特に写真に収めるのが好きなパーツはありますか?

すべて好きです、睫毛の先からつま先まで!

——クララ・クリスティンの「スカートの中」を写したCalvin Kleinの広告写真はかなりの物議を醸しました。セクシャリティを感じさせるイメージが、社会の特定の人たちに不快感を与えるのはなぜだと思いますか?

あの写真が議論の的になったのは、むしろセクシーさが足りなかったせいだと私は思っています。私たちの社会には、オイルで肌を光らせた女の人が裸で自分の胸を掴むようなイメージがあふれています。そういう姿を真正面からとらえていれば、「彼女はよくわかってやっている」ということになる。私たちは人々にリアルなものを見せていく必要があります、女性の表象についての議論が再燃するようなね。最近では、あまりにもひどくモノ化されたイメージが普通になってしまっている。何がゆがめられた姿で、何が無垢な親密さなのか、その知覚のひずみが浮き彫りになってきていると思います。

——どんなところからインスピレーションを得ますか?

見ること、触ること、嗅ぐこと、聞くこと、読むこと、書くこと、何かに引きつけられるランダムな瞬間……生きていて経験するあらゆることすべて。

——いま、女性の写真家の波が来ているのはなぜだと思いますか?

写真家というのは、「女性的」とされる特質とすごく相性のいい職業だと思うんです。同時に、とても特権的な仕事でもありますが。ほんの1年前まで実家に住むことができる環境だったからこそ今の自分がある、というのはたしか。全力で打ち込まなくてはいけないし、つい最近までは、女性たちがこの道に進むことはそれほど支持されていたわけでもないですから。

——女性の写真家の存在がいま重要なのは、なぜだと考えますか?

女性の視点や観点は注目されるべきだし、普遍的なものだと認められるべきです。男性の視点がすでにそうであるのと同じように。女性の作り出すイメージも、すべての人にとって関わりのあるものと捉えられるべきだと思います。

——被写体が男性の場合と女性の場合では、向き合い方に変化はありますか?

どんなふうに対応するかは、むしろ個々の相手によって変わります。女性の場合はいつもこう、とか男性の場合はこう、と簡単には言えないくらい、それぞれ違います。

——写真家として、自分に課された義務や責任などを感じることはありますか?

写真家としての責任はいろいろありますね。まず他者のイメージを扱うということに対して。撮られる人が自分に自信を持てるようにするのが私の仕事だと感じることが多いです。リアリティのあるものを見せるようにしてはいますが、その人のベストな部分をとらえるのが好き。ただ私の目は(オーディエンスから)被写体の最悪な部分と思われそうなところに引きつけられがちなのですが、それを見せる勇気はいまのところありません。

——写真を続けていきたいと思う理由は、どんなところにありますか?

知を得られるところ。ありふれた言い方かもしれないけど、仕事を通してとてもたくさんのことを学んできました。そうじゃなかったら、きっとすごい大バカ者だったはず。私が学ぶ唯一の方法は、体全部を使うことです。見てもわからなければ、触って、実際にやってみたり、話してみて。自分のものにするまでは大変です。

——これまでもっともあなたの支えになってくれた女性は誰でしょうか。

母と、友人たち。

——仕事で旅することがとても多いですよね。魅力的な女性の被写体が特に多い場所はどこでしたか?

美しさはあらゆる場所にあります。限定することはできません。

——ファッション写真のモデルのあり方は、現代女性のイメージ形成をどのように助ける(または妨げる)と考えますか?

ファッション・イメージは、その特定の時期に文化的に起きていることを反映します。時代を記録するというか。全体的に多様性の欠如が深刻だとは思いますが、ファッション界もそれ以外の世界も、いまが変化のときだというヒントを打ち出してきている。今日の撮影でもそれを感じました。その一部になることができて、誇らしい気持ちです。

——女性だからという理由で過小評価されたり、見下されたと感じたりした経験はありますか?

いつも、しょっちゅうです。でもそこから得るものもあると思っていて。どんなことにもメリットとデメリットがあるものだから。

——あなた自身の言葉で、あなたの作品を説明するなら?

私そのもの。ゆっくりと少しずつ、世界を知ろうとしている。

——次世代に遺したいものはありますか?

女性たちが抑圧的な法や不合理な慣習から自由になった、そんな世代の一員になれたらと思っています。

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Credits


Text Lynette Nylander
Photography Harley Weir
Styling Julia Sarr-Jamois
Hair Tina Outen at Streeters using Bumble and bumble. Make-up Thomas De Kluvyer at Art Partner using Chanel. Nail technician Alexandra Jachno at Aim Artists using Chanel Beaute Des Ongles Extreme Shine. Set design Will Lemon at Owl & The Elephant. Photography assistance Rachel Lamb. Styling assistance Bojana Kozarevic, Rosie Williams. Hair assistance Andres Copeland. Make-up assistance Atlas Ferrara. Production Gabe Hill at GE Projects. Production co-ordinators Beau Bright, Suzy Kang. Production assistance Tyler Ofstedahl. Model Adwoa Aboah at Tess Management. Corey Washington and Alixx Vernet.
‎Translator Atsuko Nishiyama

This article originally appeared on i-D US.