Photography Sean Mundy

コモン・ホリーの新曲「Nothing」のミュージックビデオ公開

デビューアルバム『Playing House』で表現したのは恋愛を通して変わっていく1組のカップル。

by Nick Fulton; translated by Aya Ikeda
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15 December 2017, 10:51am

Photography Sean Mundy

コモン・ホリーの名で音楽活動をするブリジット・ナガールがモントリオールで電話を取ったのは早朝だった。i-Dとの電話インタビューを終えた彼女は、ケベックの厳しい冬を越すためにコートを買いに行くと言っていた。ナガールは1992年にニューヨークで生まれ、生後10ヶ月でモントリオールへ引っ越した。ブルックリンを離れたのには理由がある(当時、彼女の父が街中で銃口を突きつけられるという出来事に2度遭遇し、母親は3階にある自宅で授乳をしている最中に泥棒と鉢合わせたのだ)。

ロックを愛する父は彼女にギターを与えた。それ以来、ギターは彼女のインスピレーション源となっている。「私のライブにレザージャケットを着てくるの」と彼女は誇らしげに語った。

デビューアルバムの『Playing House』は、彼女が18〜22歳のときに付き合っていた恋人との関係をもとに制作された。恋愛を通して一人の少女の考え方や行動が成長していく過程や、男女関係における価値観の違いをどのように認めるか......。もううんざり、と友人に話すように、こうした思いを美しく9曲のエレクトロ・アコースティック・フォークの音に落とし込んだ。

2曲目「Nothing」では、すべてのつながりを絶って恋人との関係を終わらせることを歌っている。「当時付き合っていた恋人に、これ以上辛い思いをさせたくないという思いが自然と湧き上がってきました。そんな内容だけど、明るく歌うことで清々しい気持ちです」と彼女は語る。「Nothing」のミュージックビデオは彼女の旧友マック・デマルコの協力を得て制作された。

——ご両親はお二人とも楽器(ピアノとギター)を演奏するようですが、幼少期からミュージシャンになるものだと思っていましたか?
子どもにミュージシャンになってほしい親はいないと思っているので、両親の育て方のせいにはしたくありません。でもそうした環境が確実に私の基礎を作ったと思いますし、特に父親は私の選択を喜んでくれています。彼が成し遂げたかったであろうことをやっているのが嬉しいんだと思います。

——ミュージシャンなかには作品と個人を区別するためにペルソナを作る人もいます。あなたもコモン・ホリー名義で活動していますが、そこにはどのような意図があるのでしょうか?
本名で売り出すことに可能性を見出せなかったので、アーティスト名をつけるということはすごく重要でした。これはソロで活動する人の共通の悩みだと思います。自分自身を売り込むというのは難しいから。コモン・ホリー(西洋ヒイラギ)という名は、音楽も連想させるし、いい選択だったと思います。どこにでもあるような控えめなところや、色濃くてシャープな葉っぱのような感じが気に入っています。私の音楽も、いい感じの曲とちょっと暗めのアルバムジャケット、そして予想外の演出を持ち合わせているから、コモン・ホリーという名前にすべてが集約されていると思っています。

——「Nothing」のミュージックビデオはVHSを思わせる懐かしさがありますが、制作の背景を教えてください。
監督を務めたネイサン・シュミッドのアイデアです。彼はマック・デマルコの古い友人で、マックがモントリオールで開催したライブのアフターパーティで会いました。会場で踊っているときにコラボしようという話になったのですが、そのときはSNSで友達になっただけでした。私は彼のセンスと動画をとても気に入ったんです。彼の自宅にはたくさんのヴィンテージ品やアナログなもの、莫大な量のVHSコレクションがあって。彼はよくそれらを組み合わせて制作をしていました。MVのなかで背景に吸い込まれそうなエフェクトがかかっていますが、これも彼が持っていたアナログパッドを使って書いたものです。

——グリーンバックで撮影するのは初めてでしたか?
うん。とても楽しかったです。バカみたいに振舞えたので。私の作品は真面目なので、一歩間違えればとても暗い印象を与えてしまう。でも、実際の私はふざけるのが好きなんだって、見る人に知ってもらいたかったんです。

——『playing house』は偽りの世界を表現しているとのことですが、このタイトルは曲の内容とどう関係しているんでしょうか?
8曲目の「playing house」を聴けばよくわかると思います。「わたしはママと遊んであなたはパパと遊ぶでしょう そして私たちは修復不可能になる」という一節があります。実はアルバムタイトルは完全な後づけです。アルバムの題材は、成長しようとしている1組のカップルです。作品のテーマは、大人になるために、経験したことのない永久的な選択をしようとしている恋人のふたりを題材にしています。私の場合、彼と別れたのは私が成長し、そのことに気づいたからです。恋愛には空間があって、それはとても美しいものです。だけど、人は成長に伴い変わっていく。真剣な関係であれば、その美しい空間が永遠のものだと思おうとします。だけど、それが約束されることは決してないのです。

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