Lacoste 17AW:宇宙旅行とグランジの邂逅

歴史あるフランスのブランドLacosteは、創始者ルネ・ラコステが情熱を注いだ「飛行の世界」に焦点を当てつつ、その未来を描いた。

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feb 17 2017, 1:00pm

「宇宙服ほど独創的なものが他にあるだろうか?」——今朝開催されたLacoste 2017年秋冬コレクションのショーノートには、そう書かれていた。「想像力とファンタジー、そしてハイテクが完璧にブレンドされた世界こそ、Lacosteにとってもっとも理想的な新たなる出発点」。Lacoste創始者のルネ・ラコステは、飛行の世界こそが理想的な最終着地点と考えた——テニス選手としての選手人生を終えたラコステは「革新をもって航空機開発を支えたい」と飛行機産業に参入したひとだった。今シーズン、Lacosteのクリエイティブ・ディレクター、フェリペ・オリヴェイラ・バティスタはそんな歴史に目を向け、そしてそこから未来に目を向けた——ルネ・ラコステがスポーツ界を引退した後に築き上げた功績を踏まえて、そこから未来的な機能とファンタジーの世界を作り出したのだ。

フェリペは、ショーのバックステージでこう話してくれた。「ルネ・ラコステは晩年にコンコルドやエアバスといった旅客機に従事した。そこで、生涯を通して創作力を発揮した彼の功績にトリビュートを贈るというのも面白いと思った。僕の父もパイロットで、僕も子どもの頃からよく飛行機に乗せてもらっていたから、飛行機には強く興味を持つようになった。SF映画も好きだったね。そこでコズミック・ボヤージュ、宇宙の旅というテーマを思いついたんだ」。ゴツゴツした岩がそこここに置かれた会場は、まるで火星のようだった。

複雑な構造の宇宙服にインスピレーションを得たフェリペは、カーゴ・ポケットがいくつも配されたパンツや、空気循環パネルのように空気孔があしらわれたオーバーコート、スナップボタンで様々な切り離しが可能なドレス、ジッパーを用いたジャンプスーツなど、コレクションでディテールに重きを置いていた。ジャケットやセーターには、宇宙を描くアーティスト、ロン・ミラー(Ron Miller)による土星と月のペインティングがプリントされ、この色調はコレクション全体のトーンを支配していた。ブラウン、スレート、ダスティ・レッドといった色彩に、青や紫のメタリックが合わせられ、カラー・ブロックのデザインに共鳴していた。

バギー・パンツ、レイヤード要素、そしてオーバーサイズのシェイプを念頭に、バティスタはさらにグランジをも取り入れた。「宇宙の旅」に代表されるレトロフューチャリズムは70年代的な世界観だが、バティスタはそこに、自身がティーンとして過ごした90年代の記憶を盛り込んだ。「あの時代に僕が持っていた服をアーカイブとして見ながら、『こんなの着てたな』と自分の半生を振り返ってみたんだ。カート・コバーンのことを考え、ティーンの僕にとって彼がどれだけパンクな存在だったかを思った。今、カートは時代を超えて、アイコニックな存在になってる。90年代に生まれて、その後アイコニックな存在になったもの——そこにオマージュを捧げたいと思ったんだ。不思議だよね」

バティスタの発想によって、グランジと"飛行"の世界は接続され、思わぬ効果を生んだ。「少し突飛で奇想天外なことを考えてもいいと思うんだ。特に、今のようにストレスに溢れていて、皆が混乱しているときにはね」と彼はいう。ヒラリー・テイマー(Hillary Taymour)のCollina Stradaを始めとし、ニューヨーク・デザイナーたちは、まるで人類の新たな可能性を求めて火星探査に旅立った宇宙飛行士たちのように、果敢に前進しようとしている。バティスタの言葉は、そんな彼らを讃えているように感じられた。「なにか自由を感じられるものを作るための、良い言い訳になった。僕はいつでも自分をプッシュしていきたいし、物事を前へ前へと推し進めていきたいんだ」

Credits


Text Emily Manning
Photography Mitchell Sams
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.