「壊れた恋愛関係をアートに」:デビー・ウー

「Insecure Asian Girls」と名付けられた最新のポートレイト作品シリーズで、イラストレーターのデビー・ウーは現代の恋愛関係における“安定”の概念を探っている。

by Tish Weinstock
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16 February 2017, 2:00pm

「こんな親友が欲しい」と誰もが願う——台北に生まれ育ったデビー・ウー(DebbiyW∞)は、そんな存在だ。秘密や不安、失恋話、なんでも話せてしまえるような女の子なのだ。ボーイフレンドが自分との関係に本気ではないかもしれないという不安に駆られたときに電話をすれば話を聴いてくれる女友達であり、彼が「他のひとを好きになった」と別れを切り出されたらまず電話をかけてしまう、そんな女友達なのだ。なぜか?それは、彼女があなたの悲しい体験を美しいアート作品に昇華させてくれるからだ。イラストの本にまでしてくれるかもしれない——『DebbyW∞'s Love Encyclopedias』や『DebbyWoo's Handbook for Healing a Broken Heart』でデビーがそうしたように。最新プロジェクト「Insecure Asian Girls」で、現在26歳のデビーはInstagramで見つけた4人の女性を温かい視線で見つめたポートレイト作品シリーズを通して、恋愛関係における安全と安心の観念を探っている。彼女がポートレイトのモデルとして選んだのは、台湾人アーティストのユイ・ジョン(Yuyi John)、中国人モデルのチェン・シュエ(Chen Xue)、ハーフの日本人女優ローレン・サイ、そして台湾人モデルのジュ・ホ(Ju Ho)。デビーに女の子であるということ、アイデンティティ、そしてインターネットのヴィジュアル言語について聞いた。

あなたの生い立ちは、アーティストとしてのあなたにどのような影響を与えましたか?
一人っ子だからこその独立心が育まれましたが、同時に依存体質にもなりました。恋愛関係においてはまず相手を観察してしまって、簡単に安全を感じられることなどありません。だから私のプロジェクトは関係をテーマにしているものが多いのだと思います。

イラストレーションのどんなところに惹かれますか?
ドローイングをするととても心が落ち着いて、そこに、まるで日記でも書くように自分自身と自分の思考を映し出すことができるんです。イライラさせたり混乱させたりするような思考を綺麗なものに変えることで、それを過去に押し流すことができるんです。

あなたの世界観を言葉で説明すると?
細かく描きこんで完璧に仕上げたうえで、そこにコントラストを生んで完璧じゃない世界を生みたい——そのほうが楽しいんです。細かくて美しいドローイングを作るひとはすでにたくさんいるから、そういうのはそういう人たちに任せます。

あなたをインスパイアしてやまないヒト、モノは?
悲しい歌です。悲しい歌が最高のインスピレーションになります!

作品を通して何を伝えようとしているのでしょうか?
私のイラストレーションが、見る人それぞれだけが知っている何かを思い起こしてくれると嬉しいですね。見てくれる人に、それぞれが抱える問題に直面して、それについて考えてもらえるなら、私の絵が描かれた経緯なんて関係ないです。誰かのことが忘れられなかったり、何かから逃れてしまいたかったり、そういうことを考えるきっかけになれれば嬉しいです。

最新プロジェクトについて少し教えてください。
これまで長いあいだ、私がInstagramでフォローしてきた女の子たちとのコラボレーション作品で、「Insecure Asian Girls」というプロジェクトです。その子たちのルックスとスタイルが好きで、彼女たちの顔を描きたかったんですが、普通のポートレイトとは違うものにしたかった。だから、彼女たちに恋愛関係についてたくさん質問してみたんです。恋をしているとき、簡単に安全を感じられるのかどうか?別れはどう乗り越えるのか?といった質問をね。彼女たちからの答えを、イラストレーション作品のインスピレーションにしました。
それと、彼女たちのネット上でのアイデンティティを作品に織り込みたかったんです。そこで、彼女たちにパソコンの画面のスクリーンショットを送ってもらいました。そして、お気に入りのサイトや日々使っているソフトについて訊きました。見てくれる人たちが彼女たちを身近に感じてもらえるように。

タイトルが意味するものは?
これは、パーソナルな恋愛関係の中で感じる不安な気持ちをテーマにしていた私の2作目の延長線上にあるプロジェクトなんです。恋をしてしまうと感じるあの不安な気持ち——ひとはあれにどう対処しているんだろうと考えて始めたプロジェクトですが、分かったのは、そう感じるのは私だけじゃないんだということでした。

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起用したのはなぜこの4人だったのですか?
まず、彼女たちの顔が好きだということ、それと、彼女たちのスタイルにとてもインスパイアされるからです。何人かの女の子たちをInstagramでチェックしていたんですが、もっと知りたいと思ったのはあの4人でした。可愛かったりクールだったりするだけでなく、もっと深い何かを感じさせるものがありました。

比喩やヴィジュアルの言語など、インターネット特有の表現はあなたの作品でどのような意味を持つのでしょうか?
彼女たちが送ってきてくれたスクリーンショットは、それぞれがそのときの彼女たちのムードを反映していて、彼女たちにとって何が重要なのかを浮き彫りにしていました。だからそこに「家人(家族)」「愛人(恋人)」といったフォルダやエラー・ウィンドウが描かれているんです。@chanchennnnoの絵にいたっては、時計の絵が描かれていて、これは彼女にボーイフレンドがいて、夏が来たら彼女がロンドンから中国に帰らなくてはならなくなって、そこには大きな時差という現実が立ちはだかる——ということを示唆しています。

アジア人女性に関して何を訴えようとしているのでしょうか?
アジア人女性は他の人種の女性よりも、付き合う相手からもっと安全を実感させてもらい、かまってもらい、愛を感じさせてもらわなければ、なかなか関係を前に進めていけないという特徴があるんだと思います。アジア人女性は恋に落ちるとすぐにすべてを捧げてしまいがちで、相手に訊くよりも相手の心を読んで我慢してしまう。だから考えすぎてしまうんです。こういう見えない気持ちを説明するのはとても難しく、自分の気持ちを信じる方法を学ぶべきなんですが、なかなかそれができない——それがアジア人女性というものなんです。

"ガール"であることの良い点は?
感じるものを素直にそのまま受け入れればいい——そして感情の流れを誰に説明する必要もないことです。

debbywooo.com

Credits


Text Tish Weinstock
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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