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スケプタの独占レア・インタビュー

めったにインタビューを受けないグライム・ラッパーのスケプタ。彼が、ロンドンで開催されたライブのバックステージでi-Dのインタビューに応じてくれた。彼が、成功や嫉妬、有名人至上主義、休暇が必要なワケについて語る。

by Francesca Dunn
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27 April 2017, 4:00am

最後にSkepta(スケプタ)と会ったのは、いつのことだっただろう?この1年で、Skeptaは飛ぶ鳥を落とす勢いでスターへと上り詰めた。アルバム『Konnichiwa』がゴールドディスク認定を受け、Apple Musicでは妹ジュリー・アデヌガ(Julie Adenuga)とともにドキュメンタリー映像『Skepta: Greatness Only』を制作し、その後、マーキュリー賞まで受賞した。またDrakeが現在のお気に入り曲を集めたプレイリストにも名を連ね、グライム・シーンに関連するすべての人物が集まったパーティを開くなど、まさにまばゆいほどの活躍を見せた。

彼はブリティッシュ・ミュージックの歴史を更新しながら、Skeptaという存在を打ち出していくのに忙しく、インタビューもほとんどしない。しかし、i-Dは<Assembly Hall>で開催したShelterチャリティ・コンサートを前にバックステージでくつろぐSkeptaと話す機会を得た。話したいことは山ほどある——ラウンドフレームのサングラスをかけ、唇の隙間から金歯を覗かせる彼が、セレブ崇拝の風潮を社会がいちはやく捨てるべき理由や、子ども時代からの夢を叶えたときに起こること、そして彼がいかに休暇を必要としているかについて語ってくれた。

素晴らしいイベントになりそうね! なぜShelterと組もうと決めたの?
Shelterがショーをやってることを知って、マネージャーに「話をしてくれ」と頼んだんだ。

自分の家を持っていなかったときのことを聞かせて。
ここはロンドンだからね!ホームレスの時期は何度もあった。人生のどん底にいるような気がするときは、いかに自分が恵まれているかを考えるといい。俺が今いるような立場の人間だけでなく、誰もが何かをすべきだと思うんだ。今週も色んなことをやってきたけど、俺はずっと今日のこのイベントのことを考えてこの一週間を過ごしてきたよ。

パフォーマンスをするのは楽しみ?
もちろん、歌うのは好きだからね。疲れていたり、気分がのらなかったりしても、俺がパフォーマンスをすれば、そこにいる人たちを、たとえつかの間であっても、一瞬でも現実を忘れさせてあげることができる——いま、俺の音楽はそういう状態にある。それが嬉しい。俺が人生のどんな状態を生き抜いていようと、観客はパフォーマンスを見にきてくれてるんだ。自分が好きな音楽を作れているのは本当にありがたいことだよ。

音楽パフォーマンスは逃避の一種だと思う?
いや、今はそう思わないね。いまはすべてが良い状態にあるから。だから逃避だとは思わない。これは、自分で開いたパーティみたいなもの——人生のどんな段階で、どんなことが起こっていようと、パーティを開けば、みんなで楽しい時間を一緒に過ごすことができる。それはすごいことだよ。「このライブが決定してから、誰もがこれを楽しみにしてくれてる」って、ここで働いてるひとたちが口々に言ってた。みんな、「チケットが完売するかどうか」とか、「この会場が10,000万人収容規模じゃない」とか、そんなことはまったく頭にはなかった。このライブを楽しみにしてくれてるひとがたくさんいるってことが、俺たちにとっては大事なんだよ。

前座には、Conor HとAaron Ferrucci(アーロン・フェルッチ)を迎えていますね。
ふたりとも、Levi's ミュージック。プロジェクトで一緒になったんだ。一緒に音楽コースを受け持って、ヴィクトリア&アルバート博物館でのパフォーマンスも一緒にやった。初対面ではふたりとも俺のことを睨みつけていて、俺は「おいおい、俺たちはこれからコースをともにして音楽を作り、一緒にショーをやるんだぜ」って思ったけど、そこからはあのふたりと素晴らしいものを作り上げた感があった。とにかく、今回、俺がこのショーをやるってことをふたりに伝えたら、やつらは「前座をやるよ」と言ってくれたんだ。最初はただラッパーだけのショーになるんじゃないかって心配したけど、ふたを開けてみたらそこにはあらゆるミュージシャンが参加してた。

いいわね。ひとが聞いたら驚くような音楽の趣味はある?
今はなんでも聴くよ。若いころは、特定の音楽に偏見を持っていたけどね。「俺はこんな見た目になりたくない」とか「こんな話し方は嫌いだ」とか、そう思わせるミュージシャンのやってる音楽ジャンルは嫌ってた。でも今は大人になって、何にでも興味がある。どんなものでも受け入れてみる。昔はずいぶんと凝り固まってたもんだけど、今はさまざまな要素があって初めて全体があるんだと思える。

イドリスがオープニングでスピーチを披露するそうだけれど、彼を起用したのはあなた?
違うんだ!でも、あれは最高だよな。ここにきて、俺が思い描いていたことが現実になってきているんだ。作りたい音楽が作れて、最高な友達に囲まれて、最高のマネージャーがいて、住みたい場所に住んでね。すべてが夢みたいだよ。前は理想があっても、それを周りに伝えるようなことはしなかった。それを言うことで、ひとの気分を害したくなかったから。でも今は、自分の思った通りの世界ができあがっているんだ。俳優が、同じアーティストとして同じ部屋にいて、俺に挨拶をしてくれたりするんだ。かつて体験したあれはなんだったんだ?あの隔離の時代はいったい何だったんだ?って、思うよ。新曲「No Security」では、そんなことを歌ってる。そういうものを根絶したいんだ。ストリートで俺が写真を撮っていても、もう誰も「何撮ってんだよ」なんて俺を止めたりしない。今はもうそんな時代じゃない——イドリスが来てくれるなんて最高だよ。そんな時代になったんだ。ものごとが安定して、世の中が、ひとつの大きな……

……幸せな家族みたいになれば良い?
幸せな家族みたいには絶対にならないね。いつもどこかに嫉妬するひとは現れるから。嫉妬は人間がどうにも取り払うことができない、悪い性(さが)だよ。俺が言いたかったのは、"概念"ということだと思う。人々が成功を「達成不可能なもの」と思わないような、そんな世界の新たな概念が確立されると思うんだ。俺自身、昔は、"Radio 1で曲をプレイしてもらって、こういう人たちに認めてもらって、自分がこういう風にならなきゃ成功とはいえない"って具合に、成功を自分の生きる環境とはまったく別次元のものだと考えていた。成功は別世界にあると思ってたんだ。でも、成功ってのは自分の内にあるものなんだ。有名なひとが俺と一緒にいるときに有名人みたいな振る舞いをしなかったとき、俺は成功したって感じたよ。だから、より多くのひとがそうした"内なる成功"を感じられるようになれば、みんな自信を持って、歌を歌ったり、ラップやブレイクダンスしたりできるようになるんだと思う。才能ある人間がたくさんいても、セレブ(有名人)は見向きもしない。ムカつくだろ?俺はここにいて、自分が何者かを知ってるのに。

もう少し詳しく……
俺はわかってるんだよ。昔よく遊んだ友達と話したりして、あいつらが俺のことをどう話してるかも知ってるんだ。「お前はなんでもできる」って俺が言うと、あいつらは、「お前は成功してるからそんなことが言えるんだよ。なんといってもお前はSkepta様なんだから」って言う。俺は「おいおい、ちょっと待てよ。俺たち、一緒に育ったんだぜ?なのにお前はそんなふうに俺を見るのか?俺がどんな信念で音楽を作ってるか、お前は知ってるだろ?」って返すんだ。"有名人が上"っていうバカげた考えはいまだに根強くあるけど、俺はそれを音楽で取り払っていきたい。みんなに本音で話してもらいたいんだ。

あなたを取り巻く環境が急激に変化しているのね。
めまぐるしく変化してるよ。早すぎるくらいにね。だから、今はちょっと休んでるんだ。立ち止まって、これまで自分がやってきたことを振り返ってみた。じっくりとこれまでのことを吟味したよ。

成し遂げたことは誇りに思う?
うん、心の底から誇りに思うよ。でも、子どもの頃にやりたいって言ってたことをすべて実現させたのは奇妙な感じもする。ほしいと言ってたものを実際に手に入れたとかいうんじゃなく、俺はミュージシャンとして自分の街のためにやりたいと思ってたことがあって、それをすべてやってみせたんだ。いま、こうしてアーティストたちが集まってステージをともにし、コラボレーションをしている——こんなに美しいことはないよ。

多くを成し遂げたあなただけれど、次なる展望は?
まずは休暇をとろうと思ってるよ。表立っては何もしてこなかったけど、それでもずっと働いてきたからね。夜、ベッドに入ったときに「あ、今日なにも食ってないじゃねえか……クロワッサンすら口にしてない」なんて気づいたりするんだ。朝起きて、あれこれやって、家を出てスタジオに入り、そこから仕事でどこどこへ行って、夜、家に帰る。家でようやく息をつける段になって、初めて「酒は少し飲んだけど、今日はなんにも食ってない」って気づくんだ。そろそろ休暇が必要だね。この街でただ休日をもらうっていうんじゃなく、ここから完全に切り離された土地で休む必要がある。今の俺にはまず休みが要るんだよ。

ジェイミーにヴィーガン食を作ってもらうのはどう?
あれって大変なんだよ。肉を食うのはやめたけど、ヴィーガンはそれを生活の中心にしないことにはかなり難しいもの。ジェイミーはヴィーガン食を家に届けてもらえているから続けられてるんだと思う。俺はまだ、1日に1回くらいはチーズ・サンドイッチを食べてる。病気になったりしたら悲しいけど、俺にはたくさんの友達がいて、みんなで肉を絶って、みんながみんなズルもしててさ。食べちゃいけないものって、食べ始めたら止まらない——Netflixやなんかでドラマを見続けちゃうみたいな感じだよ。

Netflixでは何を見るの?
もうしばらく見てない。もっぱらYouTubeで色んなものを見てるよ。どうでもいいものをたくさん見てる。

Drakeとドラマ『Top Boy』で共演するそうだけれど、それについて教えてもらえる?
何も知らないんだよ!さっきTwitterで知ったばかりだから。

最後に見た夢について教えて。
どこかの建物のなかにいて、これからステージに立たなきゃいけないっていうときなんだけど、軍隊が来てそこにいる全員の身体検査をしなきゃならないとかで、ステージに出るのを待たされてるんだ。俺が窓の外を見ると、そこにはたくさんのひとが車で行き交ってる……っていう夢。

Credits


Text Frankie Dunn
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.