i-Dの創始者テリー・ジョーンズが大英帝国勲章を受章

出版人、編集者、またアート・ディレクターとしてアイコニックな業績を残してきたテリー・ジョーンズ。このほど、「ファッションとポップ・カルチャーに多大なる貢献をしてきた」としてエリザベス女王から大英帝国勲章を授与されることが決まった。

by i-D Staff
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12 January 2017, 2:18am

i-Dを創刊し、初代編集長を務めたテリー・ジョーンズが「ファッションとポップ・カルチャーにおいて多大なる貢献をしてきた」として、2017年新年叙勲者のひとりに選出された。

出版人、編集者、そしてアート・ディレクターとして、テリーはファッション業界に大きな変化をもたらした。彼は、"完璧"という考え方を打ち崩し、既成概念を否定し、才能溢れる若きクリエイティブたちにチャンスを与え(18歳のエドワード・エニンフルにi-Dファッション・ディレクターの役職を与えたのはその好例だろう)、多様性や多文化主義を祝福し、ストリートやサブカルチャーの創造性にスポットライトを当てた。

1970年代には英国版『Vogue』誌でアート・ディレクターを務めていたテリー・ジョーンズ。グレース・コディントンやデビッド・ベイリー、その他ファッション界のレジェンドたちと共に、斬新な表紙を作り上げていった。1977年に制作した『Vogue』の表紙では緑色のゼリーをほおばる口をアップで捉えた写真を採用。また時代を先取るかのように、Diorの服を起用して「乳首解放」のメッセージを打ち出した表紙を世に送り出すなどした。

British Vogue, February 1977. Photography Willie Christie

乳首解放の表紙を最後に英国版『Vogue』を去ったテリーは、当時ロンドンのストリートで巻き起こっていたエキサイティングなスタイルと、爆発寸前だったクラブ・シーンを捉えるため、1980年に独自のファッション・ファンZINE『i-D』を立ち上げた。その体制を否定する姿勢と、"批評家ではなく、あくまでファン"というモットーは、今でもi-Dに連綿と受け継がれている。i-Dの母トリシア・ジョーンズの影響もあり、i-Dは当初から独自の政治的視点と姿勢を打ち出し、移りゆく時代に見る諸々の問題を取り上げて主張を繰り広げながら、一方で動物愛護のメッセージも強く打ち出してきた。i-Dはこの地球という環境と、そこに生きて暮らすすべての生命への愛をカタチにした雑誌なのだ。

i-D, no.1, 1980

また、i-Dはアイコニックなグラフィック・デザインでも知られてきた。i-Dロゴをデザインしたのもテリー・ジョーンズ。手書きで作られた。このロゴと時を同じくして、彼はポスト・パンクのバンド、パブリック・イメージ・リミテッド(Public Image Ltd.)のロゴ「PiL」も手がけている。そしてイタリアのブランドFiorucciでも、後世に残るヴィジュアルを数々生み出した。横にして見るとウィンクをした笑顔に見えるi-Dロゴは、インターネットなどなく、コンピューターも一般化していなかった時代に生まれた、世界初の"絵文字"だったと言っていいだろう。現在は世界で展開しているi-Dが、まだコピー機と糊、ホチキスで手作りされていた時代のことだ。

37年を経た今、当初から掲げていたi-Dの精神が証明された——ウィンクと笑顔だけで、ひとは想像もし得なかった高みに到達することができるのだ。この偉業をスタートさせたテリーに、i-Dファミリー全員から、心を込めて——おめでとう!

Credits


Photography Alasdair McLellan
Translation Shinsuke Kuriyama at WORDSBERG Inc.

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