Collage by Douglas Greenwood

シンプソン一家のアイコニックなルック7選

今シーズンのBalenciagaとのコラボレーションで驚きを与えた『ザ・シンプソンズ』。全米で最も有名な家族の誉れ高きファッションの歴史を振り返る。

by Douglas Greenwood
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25 October 2021, 7:03am

Collage by Douglas Greenwood

30年以上同じ服を着続けていることで有名な、架空の街スプリングフィールドの住民、シンプソン一家には、意外なほど豊かなファッション・レガシーが存在する。バートとホーマーが毎日のように履いているブルーデニム、マージのパール、リサのふわふわと揺れる魅惑的なドレス……。全米で最も有名な家族のワードローブは、いろいろな意味で、キャラクターと同様アイコニックだ。

Balenciaga 2022年春夏コレクションは、一家のステータスを証明した。10月初め、この長寿番組に対するデムナ・ヴァザリアの愛は、シャトレ座で奇跡のようなショーに結実した。新シーズンのアイテムを着用したモデル、セレブ、エディターが会場外のキャットウォークを闊歩し、会場内のジャーナリストたちは、果たして自分が見ているのは到着する観客なのか、それともショーそのものなのか頭を悩ませた。もちろん、これもショーの一部だった。ショーの後半には、想像しうるなかで最も衝撃的かつ現実離れした演目が待ち受けていた。それこそが、マット・グレイニング本人がショーのために特別に制作した『ザ・シンプソンズ』の短編だ。

ゴールドのクチュールドレスをまとったマージ、ハイカラーのボンバージャケットを羽織ったホーマー、そしてダークなベルベットのゴージャスな釣鐘型ドレスで登場した双子のシェリーとテリー。このショーは、これまでの『ザ・シンプソンズ』に登場した段違いのファッションを走馬灯のように浮かび上がらせた。初回放送から32年、本番組の真の意味でアイコニックなルックを振り返る。

marge simpson's chanel suit

1. マージのChanelのスーツ

1996年に放送された『ザ・シンプソンズ』の記念すべきエピソード「シンプソンズ家の優雅な生活」で、マージはリサイクルショップで90ドルのChanelのスーツを発見し、上流社会の女性になりきる。服の持つエネルギーに駆り立てられたマージはカントリークラブに加入し、町のセレブ女性の仲間入りを果たす。このエピソードは、普段はトレードマークのグリーンのチューブドレスばかり着ている彼女が、権力と欲望の権化として描かれる珍しい回だ。しかし、これはテレビの舞台裏における女性表象の観点からも重要なエピソードだった。監督(スージー・ディーター)と脚本(ジェニファー・クリッテンデン)の両方を女性が務めた初めての回だったのだ。

homer's muumuu

2. ホーマーのムームー

政府がパンデミック後の出社を強制するずっと昔、ホーマー・シンプソンは朝無理やり起床して勤務先の発電所に向かう必要はないということを、独自の方法で証明してみせた。それが、私たちの記憶に未来永劫刻まれるであろうこのルックだ。シーズン7の「キングサイズのホーマー」で、シンプソン家の家長は在宅勤務ができるよう、自分には身体的障がいがあると主張するために61ポンド(約28kg)増量する。彼の体重増加から生まれたのが、このホットなファッション。キュートなぺプラムスカートに変身したハイビスカス柄のベイビーブルーのムームーだ。『Xファクター』(※英国のオーディション番組)に出演したドーン・ザ・ジョッキーを思わせるベイカーボーイハットを取り入れたこのコーディネートなくして、シンプソン一家のアイコニックなルックは語れない。

3. バートとミルハウスの姉妹コーデ

『ザ・シンプソンズ』には、何気ないシーンでも一生忘れられないような瞬間がある。そのひとつが、バートとミルハウスがシックなレディに変身し、「Sisters are Doin’ It for Themselves」を合唱しながらベッドで飛び跳ねるシーズン11のエピソードだ。バートはエッジィなABBA風ウィッグに黄緑色のキャミドレスで決めたが、最高の〈ビッチ〉はミルハウスのほうだ。モコモコしたオレンジのトップス、ブルーの水玉模様のスカート、極め付けは真っ赤なパンプス。ル・ポールもこのルックのミルハウスを見たら引退を決意するだろう。

ned flanders sexy ski suit

4. セクシー・フランダースのスキーウェア

タイトで際どいセクシーさは、いかにも今っぽい要素だ。セックスレスの2020年が脳裏をよぎったかもしれないが、冬も間近に迫りつつある今、今年も静かに年末を迎えるべきなのだろうか? いや、そんなことはない。これからの季節にケーキとともにやってくるのが、クィアとも読み取れるキャラクターの慈善家ぶったクリスチャン、ネッド・フランダースだ。21世紀の幕開けとともに放送された「Little Big Mom(日本未放送)」で、マージが事故でケガをしたため、ホーマーは独りで子どもたちの面倒を見ることになる。話の流れには直接関係ないものの、あの赤と青のスパンデックスのようなスキーウェアに包まれたフランダースの尻は、一度見たら忘れられない。

lisa simpson as a hippie


5. リサの奇抜なヒッピールック

リサ・シンプソンは、シンプソン家にしては控えめな性格だ。頭は切れるが、彼女がもたらすコメディ効果は長らく見過ごされてきた。ずっと背景に溶け込むような目立たない格好が多い印象だったが、それは彼女が真のリーダーとして頭角を現す前の話だ。シーズン7の「ディア・フレンド・リサ」で、バートとリサの人気は逆転する。夏休みでフランダース家の海辺の別荘に向かったシンプソン一家。リサは突然、みんなの注目の的になる。彼女が身につけた90年代を代表する4つのグランジヒッピーアイテムは、NIRVANAの好きな曲のように、誰でもすぐに挙げられるだろう。ダメージデニムのショートパンツ、ルーズなタイダイスウェット、後ろかぶりのキャップ、そして超ミニサイズのサングラスだ。

disco stu goldfish platforms the simpsons

6. ディスコ・スチューの炎柄スーツ

スプリングフィールドの住民の大半は、どちらかといえば保守的な格好をしているが、なかにはピエロやハチの仮装をしたり、例えばディスコ・スチューのように、『サタデー・ナイト・フィーバー』のエキストラのような出で立ちのひともいる。ディスコ・スチューのルックはどれも時代にはそぐわないものの、ここ最近70年代のフレアパンツや大きなラペルを復活させたGucciのおかげで、半世紀ほど前のアイテムにもかかわらず、トレンドを感じさせる。この炎柄スーツも、同様に最近復活を遂げた2000年代後半の〈親友の誕生日パーティー〉Tシャツに近い魅力がある。そしてもっとも注目すべきは、この金魚入りのプラットフォームだ。

gay smithers wearing roller skates

7. スミサーズのプライドルック

ゲイ男性なら誰でもプライドパレードに何を着ていくか悩んだ経験があるはずだ。このイベントは、世界中で社会の周縁に追いやられたクィアの人びとの窮状を訴えるための年に一度の抗議であると同時に、飢えたボトムとトップが路上やナイトクラブで恋愛感情抜きのセックスを求めて互いを追い回す派手な会合でもある。そのふたつのうまい落とし所を知っているのが、バーンズ社長の貪欲な右腕、我らがスミサーズだ。シーズン14のエピソードで、ホーマーは〈スコーンウォール・ベーカリー〉の前で、究極のプライドルックに身を包んだスミサーズに出くわす。それは赤のタンクトップ、レインボーカラーをあしらったブルーのショーツ、そして最も偉大なゲイ・アクセサリー、ローラースケートだ。

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