香港の新進気鋭のアイドル、QQBBGに聞いた「カワイイ」と「闇」を抱えた新しいアイドルの在り方について

香港のアンダーグラウンドシーンにおいてQQBBGはアイドルとして新たなアイドル像を作り出す。「カワイイ」と「闇」を同時に抱え、発信する彼女のオリジナルなメッセージについてのインタビュー。

by Kazuki Chito
|
07 October 2021, 6:53am

日本において女性アイドルの多くはファンに夢と希望を与える存在として地下劇場からスタジアムに設営されたステージで歌い、踊る。彼女たちの多くは愛嬌を振り撒き、純潔であることが求められる。ファンが理想とするアイドル像を裏切ってはならず、恋愛が公式に禁止されていることも今では当たり前となった。しかし、QQBBGは香港から既存のアイドルイメージを破壊する。彼女の曲はアイドルらしからぬハードなサウンドで、そのメロディアスな曲調はチャーリーXCXやアルカ、近年盛り上がりを見せるハイパーポップのサウンドを彷彿させ、ルックスからは日本のアニメやオタクといった文化とレイブカルチャーの融合を感じさせる。今回はこの新進気鋭の香港のアーティストに彼女が考えるアイドル像について、そしてアイドルとして世界へ発信したいメッセージについてのインタビューを行った。

-音楽活動を始めた経緯について教えてください。

2017年にある友達がパーティーを開いてくれて、そこで聞いた音楽や空間から刺激を得て急に音楽を作ってみたいと思い作り始めました。一番最初に作った曲は「夏日閪水禮」っていう曲です。遊びで何曲か作っているうちに楽しくなってきて、もっと作りたいって思って今まで作り続けてきた感じです。

-あなたのトラックの多くは疾走感がありつつ、ハードなサウンドですよね。
 
私はアップビートな音楽を聴くのがとても好きで、心がドキドキするのが心地良いんですよね。私自身、UKのハードコア、レイヴなどのアンダーグランドミュージックが大好きでアングラのパーティーで流れているサウンドは私の重要なインスピレーションの一つです。

-憧れるアーティストはいますか?

SewerslvtLil TexasPerfumeにも憧れますね。

-あなたのサウンドやヴィジュアルからは日本のオタク文化やアイドル文化からの影響を感じさせます。

小学生の頃からACG(アニメ、コミック/漫画、ゲーム)の世界に夢中だったので、そこがルーツなんだと思います。アニメやBL(ボーイズラヴ)漫画は私の人生の一部で、私の音楽やスタイルを形成する重要なインスピレーションです。

-あなたは自分のことをアイドルだと思いますか?

私はアーティストのAyesha Eroticaと日本のカワイイ系アイドルを融合させたような存在だと自分を認識しています。アイドルは世界中に沢山いますが、私は彼女彼らのように完璧に踊れたり、歌ったりすることは出来ないので、自分が抱える闇を全開にして、みんなが持っているアイドルに対する先入観を壊すことを目標としています。

IMG_2594.jpeg

-アイドルの先入観を壊すってどういうことですか?

きっと多くの人がアイドル=カワイイっていうイメージを持っていると思います。私は様々な事象にに対立構造やコントラストを見出す癖があって、私にとって「カワイイ」の対局にあるものは「闇」。その対立構造をQQBBGっていう一人のアイドルから世界に発信して、カワイイ系アイドル以外のアイドルっていう存在を押し出したいと思っています。QQBBGは、外見は純粋にカワイイ系のアイドル、でも中身は邪悪で闇を抱えた淫乱女ってことですね。

-「HENTAI」*文化もあなたの作品の重要な要素のように思えます。あなたにとって「HENTAI」とは何ですか?

私にとっての「HENTAI」は究極で極端な愛や感情を意味しています。私自身が極端なものを見たり、限界を試したりするのが好きなんですよね。私は音楽やスタイルを通して、社会的限界であるタブーな話題に触れているので、そこからある種のHENTAI的要素がみんなに伝わっているのかもしれません。

 *HENTAI: ヘンタイ (Hentai) は、日本のアダルトアニメや成人向け漫画、ギャルゲーやエロゲー、またはその画風を模倣したものを指して、日本国外で用いられている言葉。

-自分の音楽を通して何を伝えたいですか?

私の曲はほとんどが「愛」と「ロマンス」をテーマにしたもので、人間関係こそが私のクリエイティブの源だと思っています。愛と憎しみは本当に素晴らしい力で、その力がピークに達したときにどのように感じるのかを音楽を通じて探求していきたいですね。私という存在を通してファンのみんなが愛を発見し、愛によって破壊され、愛による救いを感じるようになればいいなと思います。

-あなたの次のプランを教えてくれますか?

パンデミック後にはツアーもやろうと思っているので、みなさん一緒に原宿に行ってタピオカを飲みましょう。