Image courtesy of Bottega Veneta.

Bottega Venetaにロゴが必要ない理由

一目瞭然のアイテムこそが、ブランドの象徴。Bottega Venetaがロゴなしで存在できる理由を探る。

by Tom George; translated by Nozomi Otaki
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01 April 2022, 2:16am

Image courtesy of Bottega Veneta.

ここ最近、ハリウッドきってのスタイリッシュな著名人や現代のファッションアイコンがこぞって手にしているのが、Bottega Venetaのパデッド カセット バッグだ。目に見える場所にブランドのロゴやモチーフはないが、職人技が光る見事なアイテムそのものが、他のアイテムには到底不可能な方法でブランドを体現している。

成功したファッションブランドには、優れたロゴが不可欠だと思うかもしれない。ロゴとは一目瞭然のイメージであり、流行に敏感な通行人の興味を引き、私たちの記憶にブランドを焼き付けるものだ。フリマアプリを見れば、どのプラットフォームのベストセラー欄も、1990年代から2000年代にかけて大々的に宣伝された、ロゴがでかでかと描かれたアイテムで埋め尽くされている。結局のところ、職人が手がけた美しい縫製のアクセサリーにお金を払うなら、誰だって縫い目に虫眼鏡をあてたり内側のタグを読まなくても、そこに注がれたクラフツマンシップがひと目で理解できるアイテムを望むはずだ。

Bottega Veneta's padded cassette bag campaign

しかし、イタリア生まれのラグジュアリーファッションブランドBottega Venetaには、ここしばらくロゴが存在しない。伝統的な職人技と繊細なエレガンスのヴィジョンに基づいてブランドが1960年代に創設されたあと、このスタンスは70年代に〈イニシャルだけで十分〉というキャッチフレーズによって最高潮に達する。つまり、文化とライフスタイルを形づくるのは、あらゆるアイテムに貼り付けられた簡潔なモチーフではなく、どのファッション通もひと目でBottegaと認識できるものを生み出す伝統、レガシー、工芸を想起させることなのだ。このキャッチフレーズは、今から数ヶ月前、現クリエイティブディレクターのマチュー・ブレイジーがブランドの舵取りを引き継いだときに再び採用された。

Bottega Venetaの歴史は、パデッド カセット バッグにも息づいている。クリーンな四角いバッグは、1960年代後半に発展したブランドのシグネチャーである編み込み技法〈イントレチャート〉で制作されている。当時のBottegaのミシンは、基本的に厚手の素材ではなく布用だったので、薄いレザーが選ばれ、バッグの強度を上げるために編み込んで仕上げられた。この技法は今もBottegaのあらゆるレザーグッズに用いられていて、最近ラインナップに加わった長い鞭のような持ち手付きのかごバッグ、オーバーサイズのクラッチ、レザーのサイハイブーツにも使われている。

Bottega Veneta's padded cassette bag campaign

しかし、この技術が最もよく表れているのはパデッド カセット バッグだ。織り目が最大限に誇張され、柔らかな質感を出すために編み込まれたレザーの1枚1枚が、ポップアートのような印象を与える。まるで描かれた模様のように見えるほどだ。たとえバッグを肩にかけているのが魅力的なスーパースターでも、その超然としたデザインに目を奪われずにはいられない。

このバッグがポップアートを想起させるのは、ブランド創設当初の芸術運動との密接な関わりと、家族経営ではなくクリエイティブコレクティブとしてのBottegaの起源を考えれば、しごく当然のことだ。ポップアートというと、有名ブランドのスープ缶や50年代の駆け出しのハリウッド俳優、コミックのヒーローなど、コマーシャリズムが前面に押し出されたものが思い浮かぶかもしれないが、それは同時に輝かしく、大胆で、人目を引くものでもある。今やBottegaのシンボルとなった鮮やかなパラキートグリーンにも通じるポップさだ。

Polaroid from 1995 of the Bottega Veneta Vienna store

Bottegaのアーカイブのポラロイドには、1995年秋の小さなウィーンの店舗が写っている。両サイドの古い建物の白い石に映えるアイコニックなグリーンの塗装が、ブランド名がガラスに金色で印字されたショーウィンドウの中のレザーグッズを縁取っている。もし今、この店舗を訪れることができるなら、Bottegaの最新アプリを開いてみてほしい。画面上にこの店の緑色の壁を映すと、写真、映像、ランウェイのワンシーンが表示され、Bottegaがロゴを強調することなくもたらした文化的な影響に触れるとともに、このブランドが根ざす繊細さを体感できる。

ウィーンの店舗がグリーンに塗られる前から、Bottegaは同じ色の袋にレザーグッズを収納していたという。今、このアイコニックな色のパデッド カセット バッグをグリーンバックとして活用することで、このバッグのタイムレスなファッション性をより深く学ぶことができる。Bottegaがロゴなしで存在できるのは、このようにブランドの遺産と歴史を尊重するとともに、職人技のレガシーによって未来を形づくっているからだ。1キロ先からもひと目でわかるBottegaの磨き上げられたコードこそが、このブランドがTシャツに誇示されたモチーフの外側、すなわちリアルな現実世界に存在することを可能にしている。それこそが、この世界をBottega色に染め上げるのだ。

Polaroid from 1995 of the Bottega Veneta Vienna store

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All images courtesy of Bottega Veneta.

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